代表緊急メッセージ 100周年に向けて「日本一安全な運輸企業大作戦」のキックオフ

両備グループ代表 
小嶋光信

平成21年2月16日に選任し発令した安全インストラクターと、日本一安全な運輸企業に向けた取組み(日本一安全な運輸企業大作戦)は、岡山電気軌道や岡山交通の重大事故を受けて、根本から安全対策の見直しを図る、来年100周年に向けたグループ全体での必達の運動です。
会社目線、管理者目線だけではなく、真に運転者目線となって、個別指導を前提に確実な安全運転を社会やお客様に安全保証する体制づくりと、全社的意識改革を図るものです。

ポイントは、以下の通りです。

  1. 安全インストラクターが運転者の運転技能、安全能力を、「松・竹・梅」の3段階に分け、問題のある運転者をマンツーマンで指導し、安全運転を伝授する。
  2. それぞれの職場の安全トップランナーの運転者などからサブ安全インストラクターとして数人ずつ選定(目安は1人のインストラクターが5人を限度)して、日常的に安全運転をバックアップさせる。
  3. 事故は当事者だけでなく、全社的責任として、労使双方で対応します。
  4. フールプルーフ(ポカ除け防止)のため万が一の際にチェックできる安全機器の導入を図る。
  5. 安全管理は自己管理が前提で、コーチングなどで本人の気付きを重視する教育を図る。
  6. マンネリにならぬよう、常にQCなどで、問題点の重点的対応を図っていく。

死亡事故を起こした岡山交通の事例を、過去の事故歴、指導歴で検証すると、勤続7年61歳で9件の事故を起こしており、ハインリッヒの原則の通り、チョコチョコ事故が大事故を招いていると言えます。また、入社時および各種定期的検査においても平均値を下回る結果を示していました。

重大人身事故を起こした岡山電気軌道の事例では、勤続5年51歳で、事故歴は1回ですが、社内規程違反を繰り返し、出勤停止処分3日を受けていました。会社側の指導歴はしっかりしており、「自分ひとりが優れていると自惚れる性格である」点を常に指摘していたようです。しかるに、会社側の管理や懲罰を批判し、私鉄組合側がそれを鵜呑みにして県労委に不当労働行為としての訴えをするなど、結果として運転手を甘やかしたことが重大事故に繋がったと言えます。

これら結果から、人命をお預かりする事業の使命として下記について徹底して取り組みます。

  1. 入社時の適性検査や動体視力検査や事故歴で、これ以上は駄目という明確な基準を設定します。
  2. 各社における事故惹起者への指導は、1回目の事故に対しては管理者が行ない、2回目は、COOが直接行なう。3回以上なら労使が懲罰委員会で運転者能力の是非を問うなどの対策が必要だと思われます。
  3. 安全教育を8回も受けて効果がないということで、2回目以上の事故惹起者には、教育体制・内容も改める必要があります。
  4. 安全マネージメントでは、会社側の管理責任ばかりが強調されていますが、法的な労働組合を有している運輸企業には、労使が安全マネージメントを共有しているかどうかの指導もいると言えるでしょう。

多くの職場では、労使が真剣に安全に向けて取り組んでいます。両備グループ全体のバス、トラック、タクシー2,510人の運転者がいる中で、たった2人の犯した事故ですが、頑張っている2人以外の運転者全員の名誉に関わる問題ですから、重大事故の発生は1件でも許されません。

両備トランスポート岡山では、14ヶ月無事故が続いています。両備トランスポート全体でもこの1年間で有責事故が半減以上し、重大事故はもちろん0件、10万キロあたりの有責事故率は0.027件と、業界平均0.152件と比較して、5分の1と驚異的安全率を達成しています。
バス会社より安全率が低いとされていた物流企業で、両備バスや岡山電気軌道、中国バスの安全率だけでなく、バス業界でも過去最高という西鉄さんが数十年前に作った10万キロ当たり0.03の数値を上回っているのです。やれば出来る。そのコツは、労働時間遵守や交通法規などのコンプライアンスをしっかり守った労務管理を現場でしっかり行なうということです。

都市型交通のため事故発生率が高い職場といえるタクシー事業でも、両備タクシーカンパニーでは、業界の3分の1、グループ内で比較しても半分以下の事故率と好成績をあげています。

これらから分かることは、事故は運転者の自己管理による自己責任はもちろんですが、労務管理次第で、職場全体が安全な職場になるということです。
この大作戦を、両備グループの威信にかけて、労使一体となって取り組みます。

両備グループ