両備グループ
代表兼CEO 小嶋光信
皆さん、両備グループへのご入社おめでとうございます!
2年連続してコロナ禍の中での入社式となりましたが、こうやって多くの皆さんをグループの仲間としてお迎えできて大変うれしく思っていますし、また、経済人として責任の重さを痛感しています。
昨年来、日本のみならず世界中がコロナ禍で大変な状況です。ニューノーマルという言葉が流行っていますが、今までの何でもない平凡な暮らしや、行きたい時に世界中どこへでも行けるということがどんなに幸せなことだったのかを大いに考えさせられます。ウイズコロナ、アフターコロナではどんな経済や社会になるのか、ここが企業経営の分かれ目です。すべての分野で今までの常識が覆されて、「世界が変わり、社会も変わり、企業が変わる」大きな潮目のように感じています。
こんなコロナ禍の最中に入社された皆さんも一体これから会社や職場がどうなっていくか不安であり、心配事も多いでしょうが、両備グループには勝算があります。
両備グループは、マイカー時代が始まった約40年前から地域の生活交通を支えるために交通運輸・観光事業の総合交通産業としての「トランスポーテーション&トラベル(T&T)部門」へと多角化し、さらに「生活総合産業」へと事業そのものを進化させ、「くらしづくり部門」や「まちづくり部門」、さらには「ICT部門」へと複合化し、国際化して今日のような局面でも盤石に経営を支えられるように頑張ってきました。
どんな不況も乗り越えることができるように事業の分散化と多角化を図ってきましたが、今回のコロナ禍不況では両備グループのみならず業界全体の生活交通を支えるビジネスモデルが破壊されてしまいました。
赤字の生活路線を支える収益事業のビジネスモデルであった観光バス(観光事業)や高速バスという事業が全て赤字化したことが、さらに地方生活交通の危機を増大してしまっています。
全国の大手も中小も旅客交通事業者にとって八方塞がりとはこのことで逃げ場がなくなったと言えますが、さて、ではどうやって両備グループはこの苦境を労使で乗り切っていくのかです。
1.今まではマス=密にすることで経営の効率が上がり、コストが下がり、利益が上がったというビジネスモデルでしたが、これからはマス=密にしないために根本からコスト構造やビジネスモデルが変わってくると思われます。
付加価値のある事業に変革しなければなりませんが、如何にこの変化に対応するかは、小手先のコストダウンや合理化では乗り切れず、業態そのものの構造変化が求められるでしょう。
2.両備グループの提唱する「能力主義的安心雇用」や「多能工化」、「ジョブ型」の積極的な取り組みで、この労働生産性をどうやって取り戻すか、付加価値のある仕事をどうしていくかが「明るい豊かな日本」を取り戻すためには必須です。
3.今後のグループ発展の方向性は「安全・安心・エコ(グリーン)で健康」と「AI・IoT・ロボット化」を如何に現在の業務や新事業に取り入れて、付加価値のある事業に転換させるかがキーです。
4.今後の業務にはしっかりとした衛生思想と安全・安心思想が必要だということを植え付ける絶好のチャンスだと思っています。むしろ、コロナ禍をテコにして、労使で頑張って新交通三悪などを絶対に起こさない、真に両備グループで「安全を文化」にし、「安全をブランド」化できるようにしてください。
問題はいつでも起こるのです。問題が起こった時に、冷静に分析し問題解決をすることが大事なのです。
実は「大ピンチは大チャンス」で両備グループはこのウイズコロナ、アフターコロナでむしろ黄金期を迎えることができるのではないかと思っています。
なぜこのコロナ禍で苦しんでいるときに黄金期が創れると思うのかです。それは、
- 人財が育ってきた。
- 会社の理念、方針が明確で、会社組織も能力主義的安心雇用で若手も熟年も年齢に関係なくリーダーが選ばれ、任されることでスピード感をもって思い切って働ける。
- これからの業種のキーは農林水産・鉱・工業というモノづくりと、人・ものを運ぶ交通業、それらを結びつける情報業の3つの融合で、その融合から付加価値が生まれる事業に変身できるのです。両備グループはこの3つのキーを持っており、生活総合産業としてのノウハウをAI・IoT・ロボット化することができる最先端の位置にあると言えます。
- 伸びる地域である首都圏、関西圏とアジアに拠点を置き、今後の市場拡大が図られる。
の4つのファクターが揃ってきたからです。
もちろん、コロナ禍で先が見えない、アジアでもミャンマーで軍事クーデターが勃発して心配事が多いなど青天井ではありませんが、「大ピンチ」にこそ「大チャンス」があるのです。マイナス面ばかりでなく、現に両備トランスポートが進出しているアジアでは、ポストチャイナでサプライチェーンは今後、ベトナムが再有望視されるようになりました。
ミャンマーの軍事クーデターもいずれ解決されれば、ポストチャイナ、ポストタイの流れはベトナムの次に必ずミャンマーに来るでしょう。
実は、両備グループは経済の停滞期にこそ伸びてきた実績がある!
コロナ禍の最中に両備の黄金期を予測するのは「本当かな?」と疑問に思われるでしょう。
両備グループは、昭和37年に国鉄赤穂線の開業で西大寺鐡道が廃業の憂き目にあったことをバネにして、次代の両備バスにかけ、昭和48年のオイルショック、昭和60年の円高不況や1991年のバブル崩壊後の失われた20年に発展の芽を創り、1997年のアジア金融不況、2008年のリーマンショックという大不況や西日本や関東・東北の大震災、台風や西日本豪雨などの自然災害を乗り越えてお陰様で飛躍的に発展して2020年に創立110周年を迎え、コロナ禍でさらに大変身しようとしているのです。
なぜ、両備グループが困難な時代にも発展できたのか?それは、
1.経営理念の「忠恕=真心からの思いやり」を実践したからです。
両備グループの「忠恕」という経営理念を3つの経営方針に展開すると「社会のため=社会正義」、「お客様のため=お客様第一」、「社員のため=社員の幸せ」となります。
一般的には企業は利益が目的と言っていますが、両備グループは利益が目的ではなく、その3つの経営方針を貫く手段としての利益なのです。社会のために頑張って、お客様の喜びを創った結果で社員が幸せになることが本物の企業なのだと思っています。どんなに企業規模が大きく、利益が多くて社会的評価が高くても社員が幸せにならない企業は良い企業とは言えないでしょう。
両備グループは、110年もの間、大不況でもリストラはせず、今日では約1万人の社員の雇用を守り、労使一体で乗り切りますから安心して頑張ってください。
このコロナ禍でT&T部門の旅客輸送や観光部門など、人の移動や観光に関わる一部の事業所では雇用を守るためにしばらくの間、原則として新人を除く一部の社員の皆さんに出向や配転などでご苦労を掛けることがありますが、是非この苦労を良い経験として活かしていただきたいと思います。
2.両備グループには行動規範があります。
それは、「知行合一(良いと思うことは必ず実行する)」「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」です。良いと思っても実行しなければ何の役にも立たないのです。両備グループに口だけ社員は要りません。良いと思っても「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」には「覚悟」がいるのです。
成功の秘訣は、「やる」ことで、反対に「すぐやらないことが大失敗の原因」になっているケースが多いのです。
3.両備の経営には伝統的な特色があります。
両備グループの伝統でもあり、個性でもある信託経営や、労使‘強存強栄’の思想と、新しく構築してきた能力主義的安心雇用、そして、グループの各種委員会やグループ監査本部の設置等の経営システムの整備も進め、徐々に大手に負けない企業体質を作り上げていっています。
4.企業即教育体として大手に勝るとも劣らない教育システムがあります。
両備グループは教育産業かと言われるくらい、色々な教育を実施しています。
両備グループヒューマントレジャーセンター(HTC)と両備グループSSP-UPセンターを中心とした教育研修をはじめ各社の専門教育で、人間として、社会人として、専門性のある社員として教育していきます。新入社員教育から先輩が指導員としてついてくれ、仕事のみならず人生まで同じ目線で相談にのってくれます。
また、両備健康づくりセンターが中心となって社員の健康をサポートします。
今年の経営理念は、
「大ピンチは大チャンス!~コロナ禍テコに働き方と企業改革~」です。
両備グループは、今年の7月31日で111周年を迎えます。
地方企業だけでなく上場企業なども含めて全国で比較してみても業績だけでなくそれ以上に将来の夢がある事業グループに育ってきたと言えるでしょう。両備グループは大企業ではありません。大企業になりたいとも思っていません。「ユナイテッドカンパニー オブ チュウショウキギョウ」であり続けようと思っています。一つ一つは中小企業の効率を維持しながら、グループ全体では大企業に負けない企業力、信用力、ブランド力をつけていこうと思っています。両備グループは大企業のガバナンスのように株主に配当だけすることが目的ではありません。経営方針の「社会正義」で社会のために、「お客様第一」でお客様のために、そして、その結果として社員が幸せにならなければならないという「社員の幸せ」のためにも、実は、利益を出して国に納税し、株主に配当するという最低限の企業責任を果たしていなければ社員の幸せは追求できないのです。
社会人とは何か?
ところで、皆さんは、今日から社会人ですが、「社会人」とはなんだか分かりますか?
実は、この社会人という言葉は日本にしかなく、英語では「worker=労働者」です。そして欧米では「賃金は労働の対価であり、忍耐の対価」だという考え方をしています。
ところが日本では、欧米の「自分のために働く」という考え方に対して、「はた=端、人、側」 を「らく=楽」にすることが「はたらく=働く」の意味であり、日本の「社会人」には、社会の一員になって「はた=人」を「楽」にするという意味が込められているのです。
欧米型のように我慢してイヤイヤ働いてお給料をもらうなんて嫌ですよね。
私は働くことが嫌だと思ったことはありません。なぜなら、自分で何をしたいかということがはっきりしているからです。
猫も働く両備グループ
両備グループは、「たま駅長」の活躍で世界の猫ブームを創って、ある研究者が「たま駅長」の働いている姿を見て、「任せれば猫も働く両備グループ」と全国に紹介してくれました。
親猫は、子猫を可愛がって手塩にかけて守り育てますが、一年も経たないうちに親猫は鬼のようになって、咬んだり蹴ったりして子猫を縄張りから追い出します。お腹が空いて、お腹が空いて死にそうになって自ら餌を取った時に初めて猫は一人前の猫になるのです。自から餌を取らず、与えてもらう飼い猫は、一生、成猫にはなれないそうです。
自ら稼いで自分の生活を支えることが一人前の成猫、即ち「社会人」になったということです。さて、皆さんは成猫になれますか?
退職率が低いことが強み
両備グループは、全国でも「新入社員の退職率が低くて素晴らしい」と誉めていただけるようになりました。
退職率が低くなったきっかけは、3つの約束です。
会長との3つの約束
新入社員の定着率が上がった一つの要因は、私と皆さんとの3つの約束の実行です。
第一の約束は、「思いやりを持つ」ということです。
私は皆さんに「忠恕」の心が持てそうになかったら、両備グループを希望しない方が良いですよ、とはっきり申し上げていますし、最近では就業規則にも盛り込まれて、理念だけではなく、雇用上の約束という強いものになっています。
「思いやりとは相手の立場で考えること」で、忠恕という文字は両備グループの創業者である松田与三郎翁の戒名の一部にもあり、その戒名を平たく読めば、「空よりも高く、海よりも深く、真心からの思いやりを一生貫いた男です」との意で、まさに両備グループの理念をダビンチコードのように刷り込んであったのです。
第二の約束は、「3年の我慢」です。
「桃栗三年、柿八年」、また、「石の上にも三年」と言うように、初心を忘れず、いろいろなことがあっても3年は辛抱してください。その代わり、両備グループは必ず3年で一人前になるように皆さんを育てあげます。
一般的に、入社後2~3年間で30~40%も離職する原因は、
- 些細なことで叱られた
- 思ったような仕事でなく、やる気を失った
- 上司や同僚と良い人間関係が結べない
ということのようです。もちろん、不安もあるし、失敗して叱られることもあるでしょうが、3年は叱られることが仕事だと思ってください。
五日市剛さんという詩人が、「失敗と書いて経験と読む」と言っていますが、まさにその通りです。失敗して叱られたら、「有難うございました」と言える心の広い逞しさを持ってください。
社会人で一番大事なことは、職場の人間関係を築くことで、まず挨拶から始めよ!です。この挨拶という字に答えが込められています。挨拶とは、心を開くという意味で、まず自分から心を開いて飛び込まねば、挨拶にはなりません。
両備グループの場合は、これから一年間、皆さん方のお兄さん、お姉さん的な先輩が指導員として、日々サポートしてくれます。皆さんも環境が変わって、仕事等で悩むことがあるでしょうが、指導員となった先輩がそれを親身に聞いてくれますので、何でも隠し事をせずに相談してください。必ず皆さんに正しい方向と対処の仕方を教えてくれるでしょう。
第三の約束は、「ご両親やご家族、先生方への感謝の念の発揮」です。
まず、皆さんに実践してもらいたいのは、皆さんをここまで育ててくださったご両親やご家族、先生方にお礼を言って欲しいということです。
今日、帰ってから、また電話でもメールでもLINEでも結構ですから、「今日までありがとうございました。これから社会人として頑張ってやっていきますから、安心してください」と感謝の気持ちを伝えてもらいたいのです。併せてコロナ禍でも「両備グループは大丈夫だよ」とご両親に伝えて安心してもらってください。
両備グループでは、まず「良き社員」の前に、「良き息子」であり「良き娘」であって欲しいと思います。
今までお世話になったご両親にお礼の言葉が言えなければ、見も知らぬお客様に思いやりの気持ちなど持てるはずがありません。
人間集約産業に取り組む
両備グループの経営方針は明白です。「社会のために=社会正義」、「お客様のために=お客様第一」、「社員のために=社員の幸せ」を標榜し、両備グループは今後、「人間にしかできない仕事をしよう!」という決意のもとに、労働集約産業ではない、AIやIoT、ロボットを駆使した「人間集約産業」に取り組んでいきます。
不易流行で、流行りものの事業にはあまりスタンスはおかず、社会性の高い、市民の暮らしに直結した長期的な産業へとシフトしています。
夢を持とう!
人生はたったの一回、「小さな幸せ」も大事ですが、どうせ生きるなら「ワクワクする夢」を持って、付加価値のある仕事ができる社会人になろうではありませんか!
岡山市内には世界で初めて、アニメの世界の電車を実写化した「おかでんチャギントン電車」、MOMOやKURO、たま電車やたまバス、SAIBUS(さいバス)やSOLARVE(ソラビ)など楽しい電車やバスが走り回り、「世界一楽しい乗り物が走る街」を開発してきました。
また、海にはクルーズフェリー「おりんぴあどりーむ せと」が小豆島航路に登場し、楽しい電車やバス、タクシーやフェリーがリアルな街や海を走り回る乗り物のテーマパークのような楽しい都市を創出しています。
そして、まちづくりでは地方都市では最大となる「杜の街グレース」が進んでおり、21世紀のスマートシティづくりをめざします。T&T部門とまちづくり部門がコラボレーションした「歩いて楽しいまちづくり」の一環として「楽しい乗り物」で「子どもも楽しいまちづくり」を実践しています。
ICT部門は、ラオスにも進出し、日本で培った情報技術でアジアにチャレンジします。今後、社会のキーポイントはAI・IoT・ロボット化に結びついた輸送とICTです。
くらしづくり部門は、T&T部門、ICT部門、まちづくり部門と一体になり、新しい暮らしを提案し創り出していきます。
両備グループの幅広い業種に展開した起業力が無限の可能性を秘めています。
「夢」という目標を持って取り組めば、達成した時に「できた!」という幸せ感が生まれるのです。
「人生を決めるのは皆さん一人一人」なのです。何事にも「本気、根気、やる気」で素晴らしい社会人としての一歩を踏み出してください。
今日は皆さんに素晴らしい楽しみをプレゼントします。新入社員の皆さん全員に「両備フレッシュパスポート」を差し上げます。和歌電や岡電の楽しい電車たち、東京湾の御座船「安宅丸」、神戸ベイクルーズ、「おりんぴあどりーむ せと」をはじめとする小豆島航路のフェリー、夢二郷土美術館、夢二生家記念館・少年山荘の入館券、ひるぜん塩釜キャンピングヴィレッジやおかやまガーデンの食事券等々、両備が実現した夢の数々にご家族や友人たちと一緒に触れてみてください。
「両備・社員の幸せの方程式」の実践で幸せになろう!
両備グループには「社員の幸せの方程式」があり「健康×能力×やる気+夢」としています。人間の幸せの原点は健康ですが、経済産業省などが特に優良な健康経営を実施している企業を「健康経営優良法人2021」に認定しています。「大規模法人部門」の全国500社の上位法人である「ホワイト500」に両備ホールディングスが、認定法人として両備システムズと岡山三菱ふそう自動車販売が、「中小規模法人部門」の上位法人である「ブライト500」に両備リソラ、浅口タクシー、両備グレースタクシー、サルボ両備、中国トラベルが、「中小企業部門」の認定法人としてアール・エステートサービス、岡山交通、岡山電気軌道、岡山両備タクシー、国際両備フェリー、両備エネシス、両備住宅、両備トランスポート、両備文化振興財団、両備ヘルシーケア、リョービツアーズ、津エアポートライン、神戸ベイクルーズ、トーキョー・リョービ、青野石油、瀬戸内観光汽船、東備バス、中国バス、井笠バスカンパニー、和田コーポレーション、てぃーだ観光など計29社ものグループ内の企業法人が認定を受けることができました。
両備グループは「社会のため」に仕事をし、「お客様の喜び」を創り、その結果、頑張った「社員の幸せ」が実現できるように経営しています。
今現在、グループ内外への出向や配転などを経験している社員の皆さんは、これも得難い人生の経験として今後に活かしていくのだと「夢」をもって取り組んでください。この歴史的にも未曽有のコロナ禍不況を乗り切って、皆で「大ピンチ」を「大チャンス」に変えて、大いに夢を実現させていきましょう!