両備グループ
代表兼CEO 小嶋光信
皆さん、あけましておめでとうございます!
世界中が大変なコロナ禍ですが、新年を迎えると不思議とパッと心が晴れて、新しい一年に希望が湧いてくるものです。皆さんもご家族と楽しいお正月を迎えられたこととお慶び申し上げます。
今までの何でもない平凡な暮らしや、世界中どこへでも行けることが当たり前で安心して生活できる穏やかな日常がどんなに幸せなことだったか、大いに考えさせられました。
昨年は新型コロナウイルス感染で始まりコロナ禍で新年を迎えましたが、どうもこれは今までの常識が覆されて、「世界が変わり、社会も変わり、企業が変わる」大きな潮目のように思っています。
両備グループはマイカー時代が始まった50年前から地域の生活交通を支えるために交通・観光事業の総合交通産業として事業そのものを多角化し、「くらしづくり部門」や「まちづくり部門」、「ICT部門」へと複合化、現在では総合交通産業を「トランスポーテーション&トラベル部門」として4部門に事業を組織化するとともに、さらに国際化も進め今日のような局面でも盤石に経営を支えられるように頑張ってきました。
お陰様で物流を除く旅客交通・観光部門は全体のウエートの3分の1となり、全国の旅客交通大手と比較しても非常に多角化と分散化が進んでいますが、陸・海・空の旅客交通・観光事業が破壊的に悪いという今回の経験は初めてです。
好調なまちづくりとICTばかりでなく物流やくらしづくり部門などの懸命な努力に支えられ、現場の労使の皆さんの頑張りと国や自治体の支援で何とかグループ全体で乗り切るシナリオがしっかりできてきましたが油断はできません。
昨年の経営方針は、
一、一流を目指し、次代を創る
一、明るい職場でワンチーム
でした。
残念ながらコロナ禍で「明るい職場でワンチーム」も「ほめ達」を導入して全社的な運動が出来なかったので、今年は必ずこの「ほめて育てる文化」を確立していきます。
これらの経営方針は共にすぐにできることではなく、今後も進めて行かなければならない方針です。
特に「明るい職場」を創るためのエンゲージメントアップも何をしてよいか分からずに言葉倒れに終わっている各社、カンパニーが多いですが、両備バスの玉野や岡山のように乗務担当社員の皆さんがRQC活動を上手く使って「ほめ達」経営を取り入れたりして、いかにエンゲージメントアップとやる気アップが安全やサービスの向上に繋がり生産性が上がるかを実践してくれています。社員一人ひとりに考えさせ、工夫させ、実践させることが一流を目指すコツでしょう。
今年の経営方針は、
「大ピンチは大チャンス! ~コロナ禍テコに働き方と企業改革~」
とします。
今回のコロナ禍は今までの感染病とは異なり、ワクチンが出来たから元の世界に戻るということにならず、ポストコロナでも「昨日の明日は戻ってこない」と言えるでしょう。
働き方もリモートの導入などで今までの会議や営業、旅行なども現地に行かない。直接会って話さなくても用は事足り、買い物もネットで購入というように、行動様式と価値観が大きく変わってきました。
従って、我われの交通事業も10%から20%縮小するのではないか、観光旅行も大人数から少数に、飲食もお店に行って食べるからお家で食べるなど、仕事の仕方や行動様式までライフスタイルが大きく変わってくるのではと思っています。
今まではマス=密にすることで経営の効率が上がり、コストが下がり、利益が上がっていましたが、マス=密にならないために根本からコスト構造やビジネスモデルが変わってくると思われます。如何にこの変化に対応するかは、小手先のコストダウンや合理化では乗り切れず、業態そのものの構造変化が求められるでしょう。
海外に目を向ければ、不安定なアメリカ情勢に不安がありましたが、2021年は再び世界融和に向かって進むのではないかと期待しています。一度は薄れてしまった「環境問題」が世界の重要課題になってきました。そして、この感染病で新たな衛生思想が重視されるでしょう。
これら環境問題も衛生問題も実は目新しいことではなく、日本は江戸時代前からやっていた生活習慣であり、新たな取り組みというよりは日本の「もったいない」という思想や、手洗いやお風呂、靴を脱いでの生活スタイル、木を切ったら植えるという思想がむしろ世界のスタンダード化していくかもしれません。
新コロナの感染も飲食の際にクラスターになることが多いですが、私の子どもの頃は親から「食べるときは黙って食べなさい」と言われていたことが思い出されます。
労働生産性の低さが問題
日本は先進諸国中で一番低い労働生産性を今回のコロナ禍で働き方を思い切って変えて企業の変革につないでいかなくてはなりません。
コツは、「ムリ・ムダ・ムラ」を如何に解消するかで、無駄な会議を思い切って減らしたり、行ったり来たりを如何に減らし、転記作業や要らない資料作りをやめて効率を上げるということが大事です。
日本の、
1. 1人当たり労働生産性は、81,258 ドル。(2018年時)
OECD 加盟36 カ国中21 位の体たらくです。
2. 製造業では98,157 ドルで、OECDに加盟する主要31カ国中14 位。
この数字から見ると、労働集約的なサービス業が製造業のレベルまで上がれば、日本はかなり労働生産性を改善することができます。1996年にはアメリカに次いで世界第2位のGDPになりましたが、その後の停滞でアメリカの7割程度まで落ちてしまいました。
両備グループの提唱する「能力主義的安心雇用」や「多能工化」や「ジョブ型」の積極的な取り込みでこの労働生産性をどうやって取り戻すかが、「明るい豊かな日本」を取り戻すためには必須です。
労働生産性のアップがきちんと行なわれるかは各社各カンパニーのCOOをはじめとするリーダーの力量そのもので決まります。しっかりと執行責任を果たしている事業と今までの右にならえの事業運営との違いで業績や社員のやる気に大きな差が出てきています。
従って、皆さんに「われらの誓いカード」などでこれまで示してきた「5つの執行責任」を少し分かりやすく整理し、「業績向上」「思い切った改善・改革」「エンゲージメントアップと人財育成」「方針の完全遂行」「新事業の取り組み」とします。
また、3カ年の経営方針が2018年に始まり2020年が終了年でしたが、2020年はそれどころでなかったので終了年を1年間延長し2021年とします。この3月までに過去の3年間をチェックして2021年度までに3カ年の経営方針を遂行しましょう。
ちなみに3カ年の経営方針は、
- 営業力と労働生産性の向上
- 対流型経営への転換=エンゲージメントでやる気のアップ
- 日本一安全・安心な企業づくり=安全力を磨く
- 人を育てる経営の強化=現場力を磨く
- 伸びる地域へのシフト
です。
「安全こそがブランド」の両備グループが、何故新交通三悪違反が根絶できないか?
たった一人の乗務担当社員のスマホ運転問題で、あれだけ全国のバッシングを受けた両備グループが、未だに新交通三悪(アルコール検知違反、スマホ・携帯ルール違反、バック事故)を根絶できないでいます。車は「走る凶器」で、お客様や自らの命がかかっている運転を甘く見ないでください。
乗務担当社員のみならず運転する全社員が守らねばならないルールは必ず守るように気持ちの切り替えをしてください。このくらい良いだろう、誰も見ていないからと思ってもICTの時代は、どこかで証拠が残っているのです。これらの三悪はまさしくヒューマンエラーで、2021年でこの愚かな行動を根絶しましょう。
コロナ禍でも頑張った各社、各カンパニー
コロナ禍で世界が縮んでしまいましたが、両備グループではコロナ禍に負けず抗菌・抗ウイルス事業の展開、深紫外線ロボットの開発、地元再発見を目的とした「じもツアー」やおみやげの応援販売など、コロナ禍でのソリューションばかりでなく、コロナ禍だからできる働き方や企業改革でピンチをチャンスに変えていくように経営の舵取りを進めています。
私が参加した事業だけでも下記があり、また各部門、ユニットのトピックスは一覧表にしてまとめてありますので今後の構想も含めてぜひ見てください。
・両備トランスポートで45年無事故社員 1月
・みまもり通知タクシー開始 2月
・永忠堤の説明看板が旭川分流部に設置される 2月
・猫城主「さんじゅーろー」の家来たちがたま神社代参 2月
・中国バス尾道営業所が改装 3月
・国際両備フェリー㈱が誕生 4月
・「じもツアー」のブランド発表 7月
・両備テクノモビリティーカンパニーが抗菌抗ウイルスサービス新開発 7月
・「よんたま駅長」が「道の駅四季の郷公園」の名誉駅長に 7月
・たま大明神鎮座5年祭 8月
・内海フェリー経営支援と航路再編 9月
・両備テクノモビリティーカンパニー新工場起工 9月
・華が咲き始めた第二世代RQC発表会 10月
・「路線良いとこどり」阻止に国が法制化 11月
・「杜の街づくりプロジェクト1」の概要発表とテナント募集開始 12月
順境は人を殺し、逆境は人を育てる
ポストコロナでは経営の上手いヘタと体力勝負で、業界内の序列や地図が大いに変わるでしょうし、業界再編が進むと思われますから、この逆境である大ピンチを大チャンスにするように各カンパニーは全精力をつぎ込んで対応してください。
両備グループは、実は景気の良い順調な時に伸びてきた企業ではなく、国鉄赤穂線で西大寺鐡道が廃業を余儀なくされ次のチャンス、と両備バスに転身し、そして交通事業から多角化して、岡山企業から全国企業へ、国際進出と「失われた20年」をむしろバネに成長してきました。
昨年新しく発足した菅政権の政策の目玉はグリーンとデジタルです。これは両備グループの定めた21世紀の経営テーマの「安全・安心・エコで健康」と「AI、IoT、ロボット化」でもう既に取り組んでいる戦略です。このテーマを具体的な事業戦略に落とし込み、その貫徹こそが世界を揺るがすコロナ禍という逆境をテコに両備を育ててくれるでしょう。
いつもの合言葉の「守って勝った大将無し」で、「世界が変わる!社会が変わる!両備が変わる!」で大ピンチを大チャンスにしましょう!
参考:両備グループの2020年トピックス
■<トランスポーテーション&トラベル部門
(バスユニット)
- 高速バスWEBトラベルセンター立ち上げ、個人型旅行商品造成
- 中国バス尾道営業所が改装
- 赤磐市の委託事業「がんばろう赤磐コロナ対策売上回復支援事業」実施
- 「路線良いとこどり」の阻止に国が法制化
- 岡電と両備の路線の共同経営を国と協議開始
(トランスポートユニット)
- 45年無事故という快挙の社員が表彰される
- 群馬支店内に危険物倉庫増設開始
- 岡山地区で宅配事業を開始
- 両備スカイカンパニーがANAクオリティアワード定時性部門Bグループ2年連続1位、JALランプ内無事故18年で表彰
(タクシーユニット)
- 両備タクシーカンパニーと岡山タクシー統合で岡山両備タクシーが誕生
- みまもり通知タクシー開始
- おつかいタクシー開始
- 岡山交通新社屋完成
(フェリーユニット)
- 国際フェリーと両備フェリーが合併し国際両備フェリー㈱が誕生
- 内海フェリーの経営支援と航路再編着手
- 瀬戸内観光汽船で個人旅行対応の旅行代理店事業本格化
(鉄軌道ユニット)
- 岡山駅前広場への路面電車乗り入れ事業の特許申請認可
- 猫城主「さんじゅーろー」の家来たちがたま神社代参
- 和歌山四季の郷公園の道の駅化に伴い、ニタマが名誉駅長就任
- たま大明神鎮座5年祭
- 電車運転教室(運転体験)を1回1組の貸切で開催
- 貴志川線「こどもと乗り放題キップ」を発売
(トラベルユニット)
- 成人式や記念日に対応した「前撮り事業」を開始
- 中国トラベルで府中支店を福山支店へ統合
- 「じもツアー」のブランド化と推進
■ICT部門トピックス
- 3月 理化学研究所スーパーコンピューター富岳の設置インフラ作業に参画(富士通殿経由)
- 4月 ジャパンシステム社よりセキュリティ事業を譲受
- 5月 コロナ感染症対策として、健康観察アプリ「eへるすLite」をリリース。年内無償で提供開始
- 8月 コロナ対策ソリューションとして、「オンライン予約」「オンライン相談」「オンライン診療」等リリース
- 8月 児童虐待対応など自治体向け児童相談システムをリリース。
- 9月 おかやまクラウドセンター第3棟が竣工(最大520ラック)
- 9月 GIGAスクール事業で自治体12団体約77,000台を受注
- 9月 岡山県Go To Eatキャンペーン事業を両備ホールディングスより受託
- 9月 JETRO DX促進事業を受注(健康観察システムにて調査・実証事業 ラオス)
- 11月 健康観察アプリ「eへるすLite」 おかやまIT経営力大賞「特別賞」受賞
- 12月 富士通殿より「FUJITSU Software Master Award 2020」において、Top Technology Company受賞
■くらしづくり部門トピックス
(STARユニット)
- 両備リソラ・礎コラム・AACJ・アール空調及び東京不動産にてプロジェクトを立ち上げ、クロスセル(両備リソラ・礎コラム連携及び両備リソラ・アール空調連携)にて本年度実績を上げることができた。さらに各事業体の連携にて新たな事業分野を開拓すべく活動を行なった。企画・設計から建築業務、空調、家具までの一貫事業体を目指しリノベーション案件のコンペに参加し企画提案実施。
- トーキョー・リョービは、新型コロナウイルスの影響で夢ニグッズでは苦戦をしているが、広告部門で公共交通の営業外収入を増やすため新たにタクシーと連携を始めたり、まちづくり部門と連携して損害保険を獲得するなど収益を伸ばすべく対応。
(生活ユニット)
- 〈両備エネシス、青野石油店〉原油価格の下落により減収となったが、利益は燃料油マージンとカーケア収益の確保等で増益となった。また、SSでは緊急事態宣言下において、お客様に次亜塩素酸水を無償配布、9月からはオゾン発生装置で無償除菌サービスすることで安全・安心を提供でき、お客様の信頼を得ることに繋がった。
- 〈両備ヘルシーケア〉 4月 丸の内ヒルズ住宅型有料老人ホーム24室オープン
- 〈両備ストアカンパニー〉コロナ禍の中、お客様の減少により影響を受けた飲食店や土産物店の応援セールの実施、また「銀八」ブランドの寿司を販売開始し多くのファンの皆様に喜んでいただいている。さらに地元有名店とのコラボをした総菜を開発して販売。コロナ禍で厳しい経営環境にある飲食店の支援となっている。
- 〈両備スポーツカンパニー:現まちづくりカンパニー〉 アルクラックス(arklax)では、新メニューの開発を行ないゴルフ場・スポーツ店等へ営業を行なった。
- 〈両備スポーツカンパニー:現まちづくりカンパニー〉丸の内ヒルズスポーツセンターでは、コロナ禍での会員減を防ぐためオンラインレッスンを行った。
(くるまユニット)
〈岡山三菱ふそう自動車販売株式会社〉
- 2月 2019年度三菱ふそうトラック・バス年間優秀販売会社表彰で全国第1位を獲得
- 3月 2020年3月期決算において10期連続対前年増益を達成
〈両備テクノモビリティーカンパニー〉
- 3月 生ゴミ処理機「ミズナル」の開発、製造販売
- 4月 ソレックスとテクノを統合し両備テクノモビリティーカンパニー発足
- 4月 北海道でのトレーラー拡販を目的に札幌営業所を開設
- 6月 両備テクノモビリティーカンパニーが両備モーターズ株式会社を統合
- 6月 電気工事部が東京進出のため東京工事部を開設
- 7月 日本初のAnti B&V Techno Service(抗菌・抗ウイルス技術サービス)を開発
- 8月 福山開発センターを開所
- 9月 吉備中央町に新工場を起工
■まちづくり部門トピックス
- 杜の街グレース 岡山ザ・タワー(総戸数363戸)の完売
- 8月に岡山市北区大内田 大型物流用地(開発面積4ha)の造成着手
- 4月にコワーキングスペースTOGITOGIがオープン
- ロイヤルガーデンタワー幸町(総戸数232戸)の着工
- 2月に両備APプライベート投資法人設立
- 4月に御堂筋フロントタワー出資持分売却
- 高級リノベーション分譲である東京港区元麻布MAJESの完売
- 「杜の街づくりプロジェクト1」の開発概要発表とテナント募集開始
■共通部門トピックス
- 両備グループ全社(制服がある事業などを除く)でドレスコードフリーを開始
- コロナ対策として、採用面接・社員のテレワーク・時差出勤など随時実施中(両備会・経営戦略会議等主要な会議は全てTV会議にて実施
- 両備グループ全社に共通なグループウエアBiZiONを全社導入が完了
- GoToイート岡山をたまルンプロモーションセンターがビザビさんと共同受注。岡山県内の飲食店の活性化の一助となる(10月~)
- 第二世代RQCが全国や地域単位のQC大会で表彰される
- (一財)岡山藩郡代津田永忠顕彰会で百間川の荒手を「永忠堤」と命名し、旭川分流部に説明板が設置される