Message代表メッセージ

2018.04.02

平成30年入社式 式辞 人生を決めるのは君だ!
―AI、IoT、ロボットの時代は多能工化が重要となる―

両備グループ
代表 兼CEO 小嶋光信

希望に満ちあふれた皆さん、ご入社おめでとうございます!両備グループへの入社を心から歓迎致します。

さて、皆さんは今日から社会人ですが、「社会人」とはなんでしょう!

実は、この言葉は日本にしかなく、英語では「worker=労働者」や「adult=成人」、「citizen=市民」という表現になります。自分のために働く欧米の考えに対して、「はた=端、人、側」 を「らく=楽」にすることが日本での「はたらく=働く」の意味で、日本の社会人は、社会の一員になって「はた=人」を「楽」にするということが両備グループでの意味です。

働くは人偏に動くと書きますが、人が動いても働いたことにならず、端=人や社会のために動けば」はたらく=働く」ということになるのです。

任せれば猫も働く

社会人と言っても具体的に人間では分かりにくいですが、ある研究者がたま駅長の働いている姿を見て、「任せれば猫も働く両備グループ」と全国に紹介してくれました。

親猫は、子猫を可愛がって手塩にかけて守り育てますが、1年も経たないうちに親猫は鬼のようになって、咬んだり蹴ったりして子猫を縄張りから追い出します。追い出された子猫は、親猫を慕ってニャーニャー鳴いて親の近くに戻ろうとしますが、親猫はさらに激しく威嚇して追い出します。ついに、親猫に嫌われたとトボトボと去って行って、お腹が空いて、お腹が空いて死にそうになって自ら餌を取った時に初めて猫は親猫になるのです。自から餌を取らず、与えてもらう飼い猫は、一生親猫にはなれないそうです。

自ら稼いで自分の生活を支えることが親猫、即ち「社会人」になったということです。さて、皆さんは親猫になれますか?

ロボットやAI、IoTの時代は働く意味が変わる

そして、この働くということがロボットやAI、IoTの時代になると様変わりになってきます。

大昔の手塚治虫さんの漫画ではありませんが、これからは人間だけでなく、多くの仕事をロボットが担っていくことになります。人間のやっている仕事の40%以上はロボットに置き換わっていくと言われています。

現在、自動運転の車の実用化がすぐそこまで来ています。製造業では既に多くのロボットが働いていますが、これからはあらゆる産業がロボット化されていくでしょう。今は人手不足と言っていますが、これからはどんどんロボットに置き換わって人余り時代になるかもしれません。

じゃあ、ロボット時代の我々の仕事を考えてみなくてはなりません。これからの時代は定型的な反復仕事や口だけの仕事、移動だけの運転の仕事やサービス産業の仕事の多くはロボットができるようになるでしょう。

ロボットは文句も言いませんし、365日24時間働いてくれるし、おまけにミスや交通事故をする可能性が限りなく低く、お給料も基本的に電気代だけです。

文句も言わず、ミスもせずしっかり働いてくれて、おまけにお給料もほとんど要らないロボット時代に、じゃあ、人間は何をしたら良いのか?です。皆さんはそんなロボット時代を生き抜いていく社員になるのですが、このロボットたちに勝てますか?

一口に「はたらく」と言っていますが、ただ動いているだけの「動く(はたらく)」もあるし、体は動かず口だけが動いている「口動く(はたらく)」という人もいるし、人間としてちゃんと「働く」という人もいますが、ロボット時代の人間の仕事は、人偏に考えると書いて「人考く(はたらく)」という時代になるでしょう。

実は、両備グループの100周年を機にグループの経営理念を「忠恕=真心からの思いやり」としたのは、このロボット時代を見据えていたのです。ロボット時代では、過去に経験のある人間の仕事は全てインプットさえすれば間違いなく働くようになります。既に囲碁や将棋では人間がロボットに敵わなくなっています。

ロボットのできない仕事は、

  • 1.人を思いやること
  • 2.考えて仕事をすること
  • 3.先手をとること

ということで、両備グループでは、「心ある多能工」にならねば21世紀は生き抜いていけないと分析しています。それで、経営理念を「忠恕=真心からの思いやり」としました。

ですから、今後の働くということは、「人にしかできない仕事」をするということです。ロボットにできない心を使って、考えて働くということで、一字で書けば「人偏に考える」=「働く」ということにならなければなりません。

私は、3月にスキーで頭を打って、1週間ほど入院していました。お掃除の人が毎日病室を掃除してくれるのですが、その日にきたおばちゃんを、毎日掃除しているので大してゴミは出ないだろうと思いつつ、じっと見ていたら、床掃除をし始めた途端、真っ黒なゴミがモップの下から出てきたのです。

何で?とじっくり見ていたら、その人はただモップで床を拭いているのでなく、モップの端に足を乗せて圧をかけて拭いていたのです。

綺麗だと思っていた床から真っ黒なゴミがたくさん取れたので、ビックリしました。心を込めて掃除するのと、ただ拭いているのとの大きな違いです。このお掃除方法はきっとロボットにはできないでしょう。たかが掃除と思うでしょうが、されど掃除で、心を込めてする仕事こそが両備グループの経営理念「忠恕=真心からの思いやり」なのです。

そして、一つのことしかできないと、これからの長い人生を生き抜いていけないでしょう。例えば将棋ロボットに敵わなくても、次にそのロボットとオセロゲームで勝負すればロボットくんは訳が分からなくて動かないでしょう。多くのロボットは単能工なので、人間は多能工化することが21世紀を生き抜く秘訣だと思います。

両備グループは、「社員の幸せ=健康×能力×やる気+夢」でしっかり多能工で育てていって、やる気のある人は、21世紀を人として幸せに生き抜いていけるようにキャリアアップしていけるように教育しますから、教育の意味をしっかり理解して楽しみに色々学んでください。

両備の事業コア

これからの「ネクスト100年!」に向けて、両備グループの21世紀の事業を時代に合うように再構築しました。

両備グループには5つの事業コアがあります。

1.トランスポーテ―ション&トラベル部門(運輸交通観光関連部門)
2.ICT部門(情報関連部門)
3.くらしづくり部門(生活関連部門)
4.まちづくり部門(地域開発部門)
5.CSR部門(社会貢献部門)

今回の5部門への再構築の取り組みには大きな目的があります。

現在、「大手に負けない企業体質」で「中小企業並みの小回りと経営効率」を目指して、事業の内容のみならず組織や人材づくりでも大きく変革して頑張っています。

お蔭様で、これだけ多くの部門を総合的に持って、岡山の企業グループから全国の企業グループへ、更に世界へも羽ばたく企業グループへと着実に成長していることは大変喜ばしいことだと、社員と幹部の皆さんに感謝しています。

そして今、次に続く皆さんが大いに夢を抱き、実現していけるように、より一層磨きをかけているところです。 将来の企業成長と、新しい時代に向けた両備の方向性がハッキリしてきたので、更なるブラッシュアップを目指して、これまで親しんでいた事業部門の名称を今年の3月から改めたのです。

1.トランスポーテーション&トラベル部門
陸に、海に、空に、旅に。全国でも珍しいあらゆる交通モードに対応できる両備グループの魅力事業コアを、世界へも羽ばたく運輸交通観光関連事業に相応しく横文字にするとともに、日本で初めて、世界で初めてという乗り物の開発も進めて、旅と移動を楽しく演出します。部門内にはバス、鉄軌道、タクシー、トランスポート、フェリー、トラベルという6つのユニットがあります。

2.ICT部門
西日本最大で、歴史のある情報産業の両備システムズグループも、今後の進化を見据えて、更に新しい領域を求めてICT(インフォメーション&コミュニケーション テクノロジー)とし、スマホ時代に対応し、来るべきAIやIoT、ロボット時代を捉えていきます。

3.くらしづくり部門
少子高齢化や地方消滅が叫ばれる中、活き活きとした豊かな地域を創るために、「安全・安心・エコで健康」をテーマに、暮らしを支え、暮らしを楽しくする事業に邁進していきます。部門内には生活、くるま、STARという3つのユニットがあります。

4.まちづくり部門
コンパクト&ネットワークと言われる日本変革で、スプロール化した都市を再生し、新しい次の時代へのまちづくりが求められています。住んでみたい、住んで誇りが持てる街を創るために英知を結集してワクワクするまちづくりをします。

5.社会貢献部門
夢二郷土美術館を運営する両備文化振興財団や生物学研究を中心に郷土・岡山の文化や芸術、教育研究や文化財保護等への助成事業をしている両備檉園記念財団などに加え、地域公共交通総合研究所や両備ハッピーライフ財団など、両備グループならではの「真に地域と社会にお役に立つ」社会貢献を進めていきます。
これからは、皆さんの「両備グループ社員」というプラットフォームは一緒ですから、これらの部門の中で、また部門間を希望によって移動することもできます。ぜひ、自らの才能で大いに自由闊達に仕事に取り組んでください。
一回の就職努力で、これだ!といえる仕事に恵まれればハッピーで、自分にあっていると思えばその部門で、いやこちらの部門が本当は自分にあっていたということならば、いくらでも移動して再チャレンジするチャンスがあります。

人間産業に取り組む

両備グループは今後、「人間にしかできない仕事をしよう!」という決意のもとに、労働集約産業ではない、「人間集約産業」に取り組んでいきます。どうすればお客様が喜ばれるかを両備グループ9,400人の社員が一丸になって考える…すると、日本一素晴らしい企業グループになります。思いやりの心がCSを磨くのです。そして、お客様がそれを認めてくださったら、そこに付加価値が生まれるのです。

両備グループは、基本的に長期雇用で働く皆さんの生活設計ができるように心がけていますから、不易流行で、流行りものの事業にはあまりスタンスはおかず、社会性の高い、市民の暮らしに直結した長期的な産業へとシフトしています。

退職率が低いことが強み

両備グループは、全国でも新入社員の「退職率が低くて素晴らしい」と誉めていただけるようになりました。以前は、両備グループでも新入社員の退職率が高くて困っていたのですが、毎年、皆さんにこの入社式で、私とする3つのコミットメント(=約束)を守ってくださいと言うようにしたら、退職者が減り、全国にも誇れる定着率になってきました。

また、社員の幸せに向けて、昨年は、厚生労働省からワークライフバランスと育児支援、男性の育児休業取得に積極的な企業として、「くるみん」認定を受けました。今年は、岡山市の健康経営ホワイトプラス企業、経済産業省の健康経営500の認定を受けています。

会長との3つの約束

第一の約束は、「思いやりを持つ」ということです。

私は皆さんに「忠恕=真心からの思いやり」の心が持てそうになかったら、両備グループを希望しない方が良いですよ、とはっきり申し上げていますし、最近では就業規則にも盛り込まれて、理念だけでなく、雇用上の約束という強いものになっています。

「思いやりとは相手の立場で考えること」…忠恕という理念は、私が10数年前、両備グループの代表になった際、あまりに企業理念が幹部・社員に浸透していないので、何とか一言で表現できる言葉はないかと考えあぐねていた時に、頭に閃いた二文字でした。

この言葉を調べてみると、両備グループの創業者である松田与三郎翁の戒名の一部でした。その戒名は、お坊さんではなく、与三郎翁が自ら思いを込めて創られたもので、「天海院忠恕一貫居士」と言います。平たく読めば、「空よりも高く、海よりも深く、真心からの思いやりを一生貫いた男です」との意で、まさに両備グループの理念をダビンチコードのように刷り込んであったのです。

実は、両備グループが100年以上に亘り、今のように成長できたのも、忠恕の心で、社員を逞しく育てて、決して安易にリストラしなかったからなのです。

つまり、人材が余った時、他社では大抵リストラをしますが、両備グループでは100年以上、余剰人材を適材適所で活用するよう図ってきたため、不況の時にこそ大きくなったのです。両備グループが、5つの事業コアを有する51社、9,400人を超える企業グループに成長したのは、まさに「忠恕の発揮」だったのです。

第二の約束は、「3年の我慢」です。

「桃栗三年、柿八年」、また、「石の上にも三年」と言うように、初心を忘れず、色々なことがあっても3年は辛抱してください。その代わり、両備グループは必ず3年で一人前になるように皆さんを育てあげます。

一般的に、入社後2~3年間で30~40%も離職する原因は、

1. 些細なことで叱られた
2. 思ったような仕事でなく、やる気を失った
3. 上司や同僚と良い人間関係が結べない

ということのようです。もちろん、不安もあるし、失敗して叱られることもあるでしょうが、3年は叱られることが仕事だと思ってください

最初の危機は5月の連休です。次は夏のお盆休みです。久しぶりに仲間に会うと、友人の仕事が「隣のバラは赤い」で、凄く魅力的で友人が頑張っているように感じてブルーな気持ちになってしまうのです。これを5月病と言います。この5月病を乗り切ることが第一関門です。

五日市剛さんという詩人が、「失敗と書いて経験と読む」と言っていますが、まさにその通りです。失敗して叱られたら、「有難うございました」と言える逞しさを持ってください。そこから本当の仕事が見えるのです。その前に辞めてしまうと、人生がいつもリセットされ、いつも振り出しに逆戻りとなり進歩がなくなります。

仕事は単純なことから学びますが、基礎・基本は仕事の土台で、まずは、単純な基本の仕事をしっかり身につけてもらわなくてはなりません。

社会人の一番大事なことは、職場の人間関係を築くことで、まず挨拶から始めよ!です。この挨拶という字に答えが込められています。挨拶とは、心を開くという意味で、まず自分から心を開いて飛び込まねば、挨拶にはなりません。心構えさえしっかりしていたら、仕事は楽しいものです。

両備グループの場合は、これから一年間、皆さん方のお兄さん、お姉さん的な先輩が指導員として、日々サポートしてくれます。皆さんも仕事や環境が変わって悩むことがあるでしょうが、指導員となった先輩がそれを親身に聞いてくれますので、何でも隠し事をせずに相談してください。必ず皆さんに正しい方向と対処の仕方を教えてくれるでしょう。

第三の約束は、「ご両親やご家族、先生方への感謝の念の発揮」です。

まず皆さんに思いやりを実践してもらいたいのは、皆さんをここまで育ててくださったご両親やご家族、先生方にお礼を言って欲しいということです。

今日、帰ってから、また電話でもメールでも結構ですから「今日までありがとうございました。これから社会人として頑張ってやっていきますから、安心してください」と感謝の気持ちを伝えてもらいたいのです。両備グループでは、まず「良き社員」の前に、「良き息子」であり「良き娘」であって欲しいと思います。

今までお世話になったご両親にお礼の言葉が言えなければ、見も知らぬお客様に思いやりの気持ちなど持てるはずがありません

皆さんは失われた20年がやっと終わり、雇用環境の良い時期に就活をやってきた恵まれた世代です。しかし、この「売り手市場」時代で就職した社員は、実は離職が多くなる傾向、すなわち、どこでも勤められるのではないかという錯覚から、甘い考えが芽生えやすいので要注意の世代です。5月病にならないように気持ちを引き締めてください。

新入社員がしくじらない三原則

今年は「甘い気持ちの離職が危ない」と言いましたが、辞めていく一つの原因に仕事に失敗するということがあります。今日は皆さんにプレゼントとして、仕事にしくじらない三原則を伝授しておこうと思います。それは、

1.メモを取る
2.すぐやる
3.ホウ・レン・ソウ(報・連・相)の実行

の3つです。仕事での「しくじり」の多くは、良く聞かず、メモも取らず、直ぐにやらずに、叱られるような失敗につながるのです。そして、仕事は、報告・連絡・相談という「報・連・相」を実行すれば、失敗をすることが少なくなる上に、必ず成果が上がります。

両備グループの理念と経営方針

両備グループは、「忠恕=真心からの思いやり」を経営理念に、社会への思いやりとして「社会正義」、お客様への思いやりとして「お客様第一」、社員への思いやりとして「社員の幸せ」を中心に企業活動をしています。

行動規範

両備グループの行動規範は「知行合一」、即ち「良いと思うことは必ず実行する」、「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」です。

「知行合一」は、陽明学の大事な言葉の一つで、いくら多くの事柄を学んでも、実際に実行しなければ、学ばぬことよりもっと悪いという意味です。

この経営理念と行動規範が、他社ができない困難を乗り越え、数々の企業再生や資本提携、業務提携へと結びついているのです。
 
簡単に言うと、「忠恕」と行動規範の「良いと思うことは、すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」が両備グループの原動力です。良いと思っても実行しなければ「クソの役」にも立たないのです。両備グループに口だけ社員は要りません。

例えば、今年の2月に両備バス、岡電バスの31路線の廃止届を提出したニュースを聞いて、皆さんもビックリしたでしょう。

「小嶋さん、多くの地域の公共交通の再生で地域を救ってきて、何で今回は廃止届なの?」と、多くの方が疑問に持たれるかもしれません。

2000年、2002年の規制緩和によって公共交通とは名ばかりで、「儲からない交通事業者は潰れなさい、儲からない路線は辞めなさい」ということになり、全国33のバス会社が破綻し、多くの路線が消えて、日本は全国が公共交通では繋がらない国になったのです。その規制緩和の弊害を外堀から直すために津エアポートライン、和歌山電鐵、中国バス、井笠バスカンパニーを再生し、地域公共交通活性化法、交通政策基本法の成立にも携わっていたのです。

1980年代のイギリスの公共交通への「競争政策」で、世界的に有名な大失敗の事実の勉強をせずにアメリカ型の競争原理主義を日本へ持ち込んで、地域公共交通はガタガタになったのです。その上、タクシーも増えすぎて賃金が下がり、生活ができず、観光・貸切バスでは劣悪なる競争で、多くの死者が出て、その度に規制緩和とは裏腹の規制を強めてパッチワークしていますが、この競争自由の法律を直さねば、完治しないのです。両備グループはそれを生産性でアップして、必死に守ってきましたので産業平均では賃金水準を維持しています。

タクシーでも地方都市の岡山市において全国4番目の賃金水準で、東京都内にあるタクシー2社はトップクラスです。再生した企業は元々が低いので、現在、賃金改革をどんどんやっています。

そんな少子高齢化で需要が減退する市場に競争自由を持ち込めば、会社も路線も破滅的競争で維持できないのに、国はこの法律の改革を本気で取り組んでいないのです。

そんな隙をついて、今回は両備バスの西大寺線に競合会社が出てきたのですが、利益が減るから反対して頑張っているのではないのです。

8割が赤字事業の公共交通事業の、その僅かな黒字路線で多くの赤字路線を支えている現状を国は直視せず、少子高齢化の時代に合わない法律を振り回して全国の悪例となる認可をしたため、今後の日本の地域公共交通を守るために戦っているのです。国への抗議と問題提起であって、廃止届を出した両備バス、岡電バスの31の赤字路線はほんの一部の黒字路線で維持されているという地域公共交通の現状と、現状を踏まえての今後の地域公共交通のあり方を提起したのです。

多くの同業事業者は、「国にモノを言うとしっぺ返しを食うぞ」とか、「所詮、地方企業だから相手にはされないぞ」と思っているかもしれませんが、両備グループの理念と行動規範である「地域への思いやり」と「良いと思うことを必ず、すぐに実行すること」で、抗議と問題提起として敢えて廃止届を出したのです。

しかし、この問題提起で、「少子高齢化の地域では競争と路線維持は両立しない」という国の認識を引き出しました。

18年もパッチワークで悪法を遵守してきた国が、今後、果たして本気で直すかが問題ですが、我々には心を同じくする地域活動家や、心ある政治家の皆さんが与野党ともに取り組む意向を示してくれていますし、国交省の中にも多くの優れた国を思う官僚がいますし、必ず制度化して地域公共交通を全国的に救いたいと思っています。

「過ちて直さざる、それを過ちという」…小嶋さん、何も得にもならないことをやらなくてもと思われるでしょうが、これが「忠恕の両備魂」なのです。損得ではなく、社会のために頑張っている両備グループの姿をよく見ておいてください。「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」には「覚悟」がいるのです。

21世紀の仕事の合言葉

世界にも通用する経営判断のスピードを身につけた両備グループは、東南アジアで、また、日本でこんな意志決定の速い会社があるのかと言っていただいて、仕事の幅がバリバリ広がっています。「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」が21世紀の仕事の合言葉です。

昨年はベトナムのホーチミン市に4温度帯の最新鋭の大型冷凍冷蔵倉庫が完成しました。また、ミャンマーのヤンゴン市でも9温度帯の大型倉庫を起工しました。コールドチェーンを主体に、東南アジアでの事業構築をスピーディーにしていきます。

成功の秘訣は、「やるか、やらないか」で、「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」ことができれば、であり、また反対に「すぐやらないことが大失敗の原因」になっているケースが多いのです。

経営テーマ

事業を進めていくためには、時代、時代で経営テーマが必要です。両備グループは「忠恕=真心からの思いやり」を経営理念に、経営方針として「社会正義、お客様第一、社員の幸せ」を掲げ、社会にお役に立つ仕事を事業の方向性としています。

そして、経営テーマは、「安全、安心、エコで健康」と「AI、IoT、ロボット化」で、現状の事業の再編成と活性化を行っています。

特に、全ての事業において安全を最優先にして、「安全こそがブランド」と決意していますので、最近は「ご安全に!」が両備グループの合言葉です。

両備グループは、この経営理念と経営方針、経営テーマに沿って、社会や地域の問題解決を図る提案型企業として成長していっているのです。

CMソングで「まちは青春、花盛り~♪」と歌っていますが、花が咲いただけでなく、次世代の実をたくさんつけ始めています。

両備の経営の特色

現在、両備グループの伝統でもあり、個性でもある信託経営や、労使‘強存強栄’の思想と新しく構築してきた能力主義的安心雇用、そして、グループの各種委員会やグループ監査本部の設置等の経営システムの整備も進め、徐々に大手に負けない企業体質を作り上げていっています。大手ではできなかった年功序列を改善し、若い人も熟年の人も、能力に応じて70歳くらいまで働ける職場環境が着々と整備されています。

一昨々年(2015年)までの3年間の教育で総合職を磨き上げ、その3月31日で過去の全ての役職を返上してもらって、4月1日から新しい役職で意識改革して再出発をしました。重層的な役職の構造を変えて、プロジェクトチーム並みのシンプルな意思決定方式を取り入れ、リーダーは一人、後はサポーターとしてチームを支えるという考え方です。この思い切った変革が両備グループの真骨頂です。

そして、誠実にコツコツ頑張る社風が、困難な状況でもしっかりした業績を上げることができる結果に結びついていると思います。

法政大学大学院 中小企業研究所 特任研究員の藤井正隆さんが『ウサギとカメの経営法則』という書籍で、「日本を元気にしてくれる18の会社」の1社として両備ホ-ルディングスが選ばれていますが、その紹介文がふるっていて、前述のように「思い切って任せるとネコも働く」と評して、両備グループの信託経営を紹介してくれています。

今日ここに、皆さんの入社を祝って集まってくれているグループ各社、各カンパニーのCOOの皆さんに、経営の執行を全面的に任せて、全社独立採算で自立しているため、ほとんど全ての会社が黒字です。それぞれの企業とのグループシナジーの発揮が、逞しい成長を実現しているのです。
 

企業即教育体

両備グループは教育産業かと言われるくらい、色々な教育を実施しています。両備グループヒューマントレジャーセンター、両備グループSSP-UPセンターと両備健康づくりセンターを中心に各社の専門教育で、人間として、社会人として、専門性のある社員として教育していきます。新入社員教育から先輩が指導員としてついてくれ、仕事のみならず人生まで同じ目線で相談にのってくれます。

そして、やる気のある25歳と30歳までの社員教育カリキュラムとしてのアンダー25やアンダー30、コーポレート・ユニバーシティとしての経営管理基礎講座(両備大学)、両備大学院としての青年重役制度や、女性経営職・管理職養成講座等とこれだけの教育システムを有している企業は大手でも稀でしょう。創立100周年を記念して、地域の人材育成の一助となればと両備大学を一部無料開放していますが、今後はこの公開講座を増やしていきます

夢を実行しよう!

人生はたったの一回、さてこれをどうやって生きるかです。失われた、あまりにも長かった「20年」で多くの日本人が夢を失い、夢を持つことをためらい、大きな夢を語ることが恥ずかしく、実現可能な小さな夢を追い求めるというような風潮になってしまいました。

そして、些細な重箱の隅を突っついて大騒ぎする文句言いがはびこる、エンゲージメントの低い世界になり、日本は何と世界の139カ国中132番目にしかランクされない国となってしまいました。

両備グループは、こんな国の呪縛から逃れ、多くの夢を実現して行っています。「小さな幸せ」も大事ですが、どうせ生きるなら夢ぐらい「ワクワクする夢」を持とうではありませんか!

皆さんも「夢を持ってもできっこない」と思い込んでいませんか?実はできると思って実行すればできるし、できないと思った瞬間できる仕事もできなくなるのです。

私が三毛猫の「たま」を駅長にした時、「猫に駅長なんかできっこない」、「子どもを引っ掻いたらどうする」、「死んだらどうする」とマイナス思考の意見ばかりでした。

しかし、たま駅長は見事に人間にもできない世界的な猫駅長として務めて、猫社会を復権させてくれました。今、このたま大明神の部下として7匹の猫社員がいます。一番若手の夢二郷土美術館の「お庭番 黑の助」は、猫にはできないだろうと言われていたお手やお座り、ボール拾いを、遊びながらすぐ覚える利発な社員で人気者になっています。

そして、地方の経営者にできっこないと言われた公共交通の再生や、国の法律制定に尽力した結果、法律を創ることができ、多くの地域公共交通を救う基盤が整いつつあります。

両備グループは、会社が儲けることだけが目標ではありません。収益を上げていく会社そのものは手段です。目的は社会のため、お客様のための仕事を通じて社会に貢献し、その結果として頑張った社員の皆さんが「幸せ」になることなのです。社会や皆さんを幸せにする原資として、事業の収益を上げなくてはいけません。

「夢」という目標を持って、頑張って達成した時に、「できた!」という幸せ感が生まれるのです。将棋の神様とも言われた大山名人の名台詞で「着眼大局、着手小局」という言葉がありますが、着眼大局、即ち大きな夢や着眼点を持って、できること即ち小局から始めるのが成功の秘訣です。

両備グループには、「社員の業績=健康×能力×やる気+夢=社員の幸せ」という「社員能力UPの方程式」があります。

「夢」は目標であり、方向性であり、意識なのです。昔から「心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」と言います。夢や目標がない人にはチャンスが見えないのです。人生は一度きり、これから社会人として50年以上あるのだからボツボツやろうと思っている人はいませんか?

「失った時間は二度と戻って来ない」のです。夢を持てないロボットたちと違い、皆さんは「夢を実現することが仕事」であり、「夢なくして、していることは作業」です。作業でなく仕事という気持ちを持たなければロボットに勝つことはできません

「人生を決めるのは皆さん一人一人」なのです。何事にも「本気、根気、やる気」で素晴らしい社会人としての一歩を踏み出してください。

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