神戸ベイクルーズの事業継承

両備ホ-ルディングス
社長 小嶋光信

4月1日に神戸港中突堤で観光船事業をしている神戸ベイクルーズの事業を引き継いで、運航を開始した。

この会社は神戸の海運会社をリストラされた3名の方々が、阪神淡路大震災の爪跡がまだ残っている神戸港で観光船事業を開始され、苦労の挙げ句に事業化に成功された武勇伝ものの事業だった。ところが昨年創業者が急死されて、奥様と息子さんが事業を継承されたが力尽き、事業存続のために観光船事業の経験がある両備ホ-ルディングスに事業継承の依頼があった。

我々にも博多で観光船事業をやったが、客足が安定せず、アンテナ事業だけで撤退した経験もあるので、脱サラで一から船を買って大震災後の神戸港で事業化された努力と熱意に対して、その亡くなられた創業者に心から敬意を表した。また、生き馬の目を抜くような厳しい競争に打ち勝つため、引き継がれたご家族の並々ならぬご苦労も察せられた。一言で言って「疲れた」という気持ちは分かるが、

  1. 社員全13名、船2隻で資本金300万円の小さな家族的事業であること。
  2. 港での営業が、厳しい客引きに競り勝たなければならない業態だったこと。
  3. 新船投入では事業規模からして経営が難しいこと。

これらの理由により当初は躊躇したが、義をみてせざるは勇無きなりで、その健気なご努力にエールを送る意味でお引き受けする決断をした。

具体的には

  1. 両備も大きくなって、このような商売の原点みたいな、野性味があり、熱気あふれる事業姿勢が薄れてしまっているので、経営マインドのトレーニングにはうってつけの教育的事業であること。
  2. 神戸港の好立地に拠点をもてることで、御座船や小豆島航路の営業また観光バス事業にシナジーが発揮できる。

の、2点からだ。

引継ぎの条件としては、創業者の心がこもった会社名と2船の船名と社員全員をそのまま引き継いで欲しいということで、もちろんそのお気持ちを大事に守るお約束をした。

3月31日に神戸ベイクルーズの皆さんと神戸の中華料理店で会食しながら引継式をさせていただいたが、みんな逞しい社員で、アパレルや他業種で苦労したやる気に満ちた皆さんだった。両備グループとまた一味違った社風だが、持ち味を感じた。

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両備ホールディングス