Message代表メッセージ

2010.04.01

平成22年入社式式辞「思いやりとプラス思考が未来を創る」

両備グループ
代表 小嶋光信

ようこそ両備グループへ、ご入社おめでとうございます。

厳しい就活(就職活動の略)戦線を勝ち抜いてきて、やっと手に入れた安らぎかもしれません。両備グループの100周年という節目に、就職出来た喜びと期待の気持ちを、大事に持ち続けてください。

今日、皆さんを歓迎してくれているのは、グループ労使の幹部のみなさんと、社員の有志で編成された100周年記念両備バンド「オルケスタ デ ブルースプリングス」と両備バスガイドのみなさんです。ケンミンショーで岡山県を代表されるコマソンに選ばれたこのアップテンポの両備グループのコマーシャルソングの「街は青春」で、明るい皆さんの将来を予感していただければと思います。

このコマーシャルソングのように、この大不況のなかにも拘わらず、両備グループの話題は歌詞のように花盛りです。21世紀型ライトレール「MOMO」、グレースマンションや出石小学校跡地の「おかやまインターパークス」の開発での街づくり、津エアポートラインでの公設民営の実証から始まって、和歌山電鉄や中国バスの再生で、両備グループの地域のお困りの問題の解決力に期待がかかっています。たま駅長に代表される楽しい話題づくりに全国が注目してくれています。思いやりの発露から、お困りの難題に真摯に取り組む企業力が評価されて、今日から岡山高島屋への出資で、テーマである「歩いて楽しいまちづくり」としての岡山市の魅力ある買い回りショッピングゾーン造りを始めます。人口当たりの商権人口が60万人で、やっと人口規模しかない岡山のショッピングの魅力を、お隣の高松市くらいに人口の2倍の140万人の商権創りを目指して、岡山市の賑わいを創り出します。

花が咲いても実を付けなくては意味がありません。しかし、まず咲かねば実はつきません。植物工場「やさい蔵」、バスやタクシーのウィルス対策の開発、太陽光発電への取り組みなど、安全・安心・エコで健康を経営テーマに、新しい時代造りに邁進します。これからの企業は、安全と安心が信頼の絆ですし、エコと健康に目を背けて存在することはありません。実は、この社会ニーズへの解決力と開発力が両備グループを光らせるソースなのです。独創的アイデアが信条なのです。グループコラボレーションを進める一つのツールが、今情報系が開発中のR-Webです。真似をせず、スピーディにことを進め、交通運輸観光部門、情報部門、生活関連部門3つの部門を有機的にコラボレーションさせることが両備グループの強みで、より進化を続けていきます。

こんなに大不況でも両備グループは元気ですねと皆さんが言ってくれます。大不況は両備グループにも例外ではありませんが、グループで収入ダウンは約10%、経常利益は18%増益見込みと堅調です。この大不況でも社員のリストラをせずに、しっかり改革しています。それは経営理念がしっかりしていて、目標や経営方針が明確だからかもしれません。両備グループの伝統でもあり個性でもある信託経営や、労使強存共栄の思想と、新しく構築してきた能力主義的安心雇用を中心にした経営システムの整備のお陰かもしれません。そして誠実にコツコツ頑張る社風が光っているのかもしれません。

この大不況で苦しいのはみんな一緒です。社員も苦しければ、会社も苦しいのです。苦しいから社員だけをリストラして済むものではありません。苦しさは分かち合って、乗り切るしかないのです。

社内が明るいのは、社会にお役に立つ仕事を社員一同がしているという誇りと、思いやりがあるからです。我々は、目先だけの仕事をしていません。

和歌山電鉄の企業再生は、貴志川線が廃止になるということで、市民団体のみなさんがお困りになって、何とか存続の知恵を貸して欲しいということで、岡山電気軌道と両備グループの経営のノウハウをボランティアで教えて差し上げた結果生まれました。それなら再生を是非岡電で、両備グループでということで、それならお力を貸しましょうと始まったのです。 スーパー駅長たまちゃんも、和歌山電鉄の開業日に、公道に小屋を置いていたため、行政に撤去を求められ、困って私のところに頼みに来られたことがきっかけです。それで気の毒だから駅に住めるように駅長にしてあげたら、みなさんたまちゃんを大事にしてくれるだろうと思ったからです。

中国バスも、破綻の寸前に、藁をもすがる気持ちで私を訪ねてこられて、誰も助けてくれないので両備さんが最後の頼みですと前社長が言われたときには、そのご心労を思って、再生を決めました。

これらの気持ちが生まれた背景は、両備グループが100周年を迎えることに大きく起因しています。次の100年元気に発展していくために、経営理念や目標、経営方針を整備していたからです。忠恕:思いやりの精神は、創業者の松田与三郎翁が戒名に刷り込んでいた、両備の守らなくてはならないダビンチコードだと思っています。和歌山電鉄もたまちゃんも、中国バスも、社業ではありませんがヘルスピア倉敷スケートリンクの存続も、お困りなら、何とかしてあげたいという気持ちが、忠恕の理念から湧いてきたのです。ここで何とかしてあげなくては、忠恕の精神にもとると思ったのです。

いま両備グループは、CS=カストマー・サティスファクション=顧客満足に必死に取り組み始めました。お客様の苦情や要望、お困りのことを何とかして差し上げたいという、お客様への思いやりがなければ、CSは出来ません。サービス業の基本は、お客様への思いやりです。

両備グループの3つのコア、交通運輸観光事業、情報産業、生活関連産業とも共通点は、労働集約産業、言い換えると人間でしか出来ない仕事です。お客様へのサービスであり、ソリューションであり、イノベーションであり、お客様のご期待への思いやりのお返しなのです。お困りなら、どうしてあげたらお客様が喜ばれるかを両備グループ7000人超の社員が一丸になって考えたら、日本一素晴らしい企業グループになります。思いやりの心がCSを磨くのです。そして、お客様がそれを認めてくれたから、付加価値が生まれるのです。儲かるという字は人偏で切れば諸人、信で切れば信者で、諸人が信じてくれるから利益が生まれるのです。

最近教育問題が全国的な課題になっていますが、両備グループでも、両備グループは教育産業かといわれるくらい、色々な教育をやっています。両備教育センターと両備健康づくりセンターと各社の専門教育で、人間として、社会人として、専門性のある社員として教育していきます。新入社員教育から先輩が指導員として就いてくれ、仕事のみならず人生まで同じ目線で相談にのってくれます。そして、やる気のある30歳までの社員教育のアンダー30、コーポレートユニバーシティとしての両備大学である経営管理基礎講座、両備大学院としての青年重役制度とこれだけの教育システムは大手でも稀でしょう。今年は100周年を記念して、地域の人材育成に両備大学を一部無料開放することにしました。

しかし、中々社員の資質を大幅に変えるまでにはいたっていません。何故だろうと思っていたとき、「幸せな猫の育て方」という本が目に留まりました。たまちゃんが活躍しているので、面白そうと本屋で立ち読みをしていたら、目から鱗が落ちました。その本によると、猫は一年間母猫が育てると、母猫は、ある日物すごい形相で子猫たちを巣の外に追い出すのだそうです。子猫たちは母猫が恋しいので、ニャーニャー母猫にすがりつきますが、猫パンチ、猫キック、あげくは噛んで、追い払うのです。母猫に嫌われたと、子猫たちはトボトボと去って行って、お腹が空いて、お腹が空いて、どうしようもなくなって、餌を自分で取った子猫だけが生き残るのです。そして、餌を取ったときにはじめて親猫になるというのです。おまけにこう書いてありました。「餌を与えている家猫は一生親猫にならない」と。 餌を取ったとき、すなわち自立したとき、初めて親、すなわち大人になるのです。はっと思いました。会社でも、社員一人ひとりが今までの家庭から独立して、大事なお客様から仕事をいただいたという気持ちがなければ、甘えた社員ばかりになってしまいます。仕事で自ら苦労して、自分の給料の3倍以上稼いだという自信がなければ、いつまでも自立しない社員ばかりになってしまいます。給料の3倍以上稼がなければ、会社もやっていけないのです。福沢諭吉先生が、「一身独立して、一国独立する」といわれましたが、みんなが働いて、稼いで、自立した家庭を築かなければ、一国の独立もないのです。「順境は人を殺し、逆境は人を育てる」といいますが、是非、逆境に強い、ハングリー精神と思いやりの心を持った社員になってください。

3つの約束

今日から皆さんと約束してほしいことが3つあります。

第一の約束は思いやりをもつことです。

皆さんが、昨年の就活で両備グループの説明会に来ていただいたときに、私はみなさんに「忠恕:思いやり」の心がもてそうもなかったら、両備グループを希望しないほうが良いですよとはっきり申し上げました。就活では、売り手市場であれ買い手市場であれ、両備グループの採用方針はブレません。思いやりがなければ、両備グループを選択することはやめたほうが良いですよと申しあげているのは、一生皆さんがお勤めしていくときに、企業の理念やポリシーに共感が覚えられなければ、いずれ去っていくことになり、お互いが不幸になるからです。ですから、皆さんは、少なくとも思いやりを持とうと集まってくださった頼もしい社員であると信じています。

第二の約束は3年の我慢です。

桃栗三年柿八年と言いますし、また、石の上にも三年と言うように、初心忘れず、色々なことがあっても3年辛抱してください。不安や失敗と叱られることもあるでしょうが、3年は叱られることが仕事だと思ってください。叱られても失敗しても挫けずに、「教えていただきありがとうございました」と言えるたくましさを持ってください。そこから本当の人生が見えるのです。その前に辞めてしまうと、人生はいつもリセットで、いつも逆戻りで進歩がなくなります。

オリンピックで銅メダルを取った高橋大輔さんは、私も携わっている岡山県スケート連盟の皆さんが育てた逸材ですが、彼は大怪我を克服してオリンピックで日本人男子として初めて銅メダルを手に入れました。オリンピックに行くとき、再起不能かと思われた大怪我の前はガラスの心臓だったので、心配して、大輔さんのお母さんにたまの御守り「たまもり」を「猫はどこからジャンプしてもキチッと着地しますよ」と言って渡しました。それを大輔さんのお母さんが新聞記者の取材で言ってくれたことが紙面に載りました。実は、彼が大怪我を克服したことで、かえって股関節が柔らかくなり、演技がより素晴らしくなってメダルを得たのです。まさに、逆境が彼を大きく育てたのです。幸せは自分の力でしかつかめないのです。壁にぶち当たって、途中で止めてしまったら、成功は無いのです。

第三の約束はご両親、家族や先生方への感謝です。

皆さんに思いやりを発揮していただきたいことは、みなさんをここまで育てていただいたご両親やご家族、先生方にお礼を言って欲しいということです。帰ってから、また電話でもメールでも結構ですから「今日までありがとうございました。これから社会人として頑張ってやっていきますから、安心してください」と感謝の言葉を言っていただきたいのです。両備グループでは、まず「良き社員」の前に、「良き息子」であり「良き娘」であって欲しいと思います。お世話になった両親にもお礼の言葉が言えなければ、見も知らぬお客様に思いやりの気持ちなど沸くはずがありません。

両備グループが他の企業からみて、変わりましたねと言われるのは、今まで損得を中心に仕事を考えていたものを、社会やお客様や社員への思いやりで考えるように切り替えたからです。面倒だ、厄介だと思わず、良いことをするためには火中の栗でも拾うプラス思考で臨んだ結果といえます。思いやりとプラス思考で行動すれば、素晴らしいみなさんの人生と幸せを保証してくれるはずです。是非一緒にネクスト100年を頑張りましょう。

心から歓迎の言葉を申し上げ、式辞といたします。
ありがとうございました。

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