両備ホールディングス 会長:CEO
小嶋光信
平成23年土地活用モデル大賞表彰式で最高位の国土交通大臣表彰を受賞しました。地元岡山のデベロッパーとして、地域の皆様と行政のご協力のお陰で、全国に誇れる開発となり、名誉なことと感謝しています。
地方都市は、全国的にバブル崩壊後から現在にいたるまで、中心市街地の空洞化を如何に防ぎ、活性化するかが課題です。一時は土地を持たない経営がもてはやされるなど、地方都市の地価下落は現在でも続いています。
都市の活力を再生するには、岡山市で言えば中心市街地に2万人位の人口増加を図らなければならないでしょう。団塊世代のマイホームブームのときに、郊外にスプロール化しましたが、高齢化に伴って、インフラが整い病院や買い物に便利な中心市街地への移動も含めて、都市中心部の人口増加を図り、活力を取り戻さなければなりません。
従って、両備グループとしては「公共交通利用で、歩いて楽しいまちづくり」を基本テ-マに、地域開発に励んでいます。
今は、和歌山電鉄の猫のたま駅長が全国的に有名ですが、地元岡山でも全国で第1回の日本鉄道賞をいただいたMOMO(モモ)という次世代型のLRVや、コンパクトシティーのシンボルとして市の中心に108メートルの高層マンション「グレースタワー」というツインタワーを手がけています。
出石小学校は市内中心部の小学校の統廃合で平成14年に空き地となり、定期借地方式の開発として、平成16年に大手2社と地元両備不動産のコンペで弊社の開発プランの採用が決まりました。
地域を知り尽くした地元開発として、地域の皆さんに喜ばれる開発とするために、3つの指針を与えました。
1.小学校跡地という思い出深い土地なので、その熱き思い出を形に残すこと
この方針で校門や記念碑、そして思い出の木々を残すことができました。
2.地域と融合し、環境に配慮した地域づくりとしての開発をすること
この土地は下石井公園と隣り合わせで、西川緑道公園という岡山市でも風光明媚で環境の良い地域と接続する開発として、如何に環境と緑と自然に調和するかが大事な開発と位置付けました。土地の効率第一に考えることも大事でしょうが、敢えて地域との調和を優先した開発としました。
日照権の問題をまずこの敷地内で解消するために、一番南に中高層の建物を配置し、コの字型に接続道路にアクセスする配置として北側には低層の建物を配置しました。そして敢えて真ん中に階段状の駐車場を配置して、その屋上を下石井公園と連なる里丘と位置付けました。里丘には緑化を施し、庭園公園として、地域の皆さんの安らぎと、子供たちの遊び場と、イベントの舞台や観客席になる工夫がされています。
3.需要創造型の開発とすること
地方都市の土地下落は、土地に需要が無いから起こるのです。従って、何がこの土地の需要かを見極めて、開発をしなくてはなりません。
この地域は、商業施設の流れから外れていて、また中心市街地には商業施設が既に飽和しています。テナントやオフィスビルの需要もほとんどありません。造れば既存のビルが空室になるだけです。病院も市内に十分配置されていますし、行政施設を造る時代は終わっています。
結果として地域環境を配慮して、福祉施設、健康施設、保育園に隣接する住環境から、マンション群とコミュニティーハウスという需要創造型の開発となりました。
すぐに施設の全てが埋まって、需要が供給を上回っているということが、開発の方向性が支持された証左と理解しています。そのうえに、この受賞は、更なる励みです。
地元の開発でGNPをあげるには、GNNが大事です。地域の開発を地元業者がキチンと行うには、地元のG=義理とN=人情とN=人間関係を壊さないように開発しなくてはなりません。
地元は創った後も、逃げられないのですから、サステーナブルに進めることが大事です。
お陰様で、地域と一体になって、星空祭りin西川、おかやま国際音楽祭・里丘スペシャルライブでのジャズコンサート、キャンドルナイトイベント、里丘フェスタや地元連合町内会やライオンズクラブと共同でのクリスマスイルミネーションなど、地元の皆さんと一体になったイベントやまちづくりを行っています。スポーツクラブや有料老人ホームも順調で、マンション部分もフル稼働です。コミュニティーハウスも住民で賑わっています。
その結果として、多くの大型の素晴らしい開発と競って選ばれた受賞と言うことで、心から喜んでいます。
また、「公共交通利用で歩いて楽しいまちづくり」を合い言葉で頑張ってきましたが、この公共交通では、第1回日本鉄道賞をいただき、今回はまちづくりで国土交通大臣賞をいただいたということで、国土交通省の運輸と建設両部門での受賞となり、大変感激しています。
両備グループでは、鉄道やバスをまちづくりのツールと考えて、公共交通で地域の活性化が出来れば、その効果で公共交通も活性化すると考えて行動しています。
この素晴らしい受賞をバネにしてさらに知恵を絞り、努力を重ねて、まちづくりに励みたいと思います。