平成26年年頭の辞「忠恕の配慮 本気!根気!やる気!- 日本一心豊かな企業になろう!-」

両備グループ代表兼CEO
小嶋光信

あけましておめでとうございます!

オリンピックの招致も決まり、政治の混迷、経済の低迷、気象や地震などの自然現象の脅威などなど、日本ももうダメかと半分諦めの厭世観が漂っていただけに、これから新しい発展に向かって日本の倍返しです。

両備グループにとって昨年の最大の出来事は11月27日に交通政策基本法が成立したことです。
アベノミクスの効果で政治も衆参の捻じれが解消し、14年掛かり、三政権目にして交通政策基本法がやっと日の目をみることになりました。井笠鉄道の一昨年の事件とも言える破綻を、両備グループで解決したことが端緒の一つになり、全国に広がる破綻懸念の実態が分かったことが成立に貢献しました。

私も昨年11月12日の衆議院国土交通委員会の参考人として、日本の地域公共交通が先進国においていかにガラパゴス化しているか、もはや小手先で治る状態ではなく、抜本的改革が必要なのだということを叫んできましたが、やっと緒についたといえるでしょう。国土交通委員会で規制緩和の幻想を陳述させていただき、心ある政治家の皆さんに感謝です。これで滅びゆく懸念のあった地域公共交通の全国のネットワークが将来的に維持、発展させる基礎、基本が出来たと思います。社会への事業を通じての忠恕が発揮できたことを心密かに喜んでいます。

新事業や新しい仲間のグループ入り

昨年は、グループ内の三つのコアの全てが新たな経営の拡大へ積極的にチャレンジする社風に転換したことは、大変うれしく思っています。

「運輸・観光関連部門のコア」

  • ベトナムで三指に入る総合物流会社TMS社と資本提携
  • たま駅長社長代理に任命
  • お耳の付いたたま電車が岡山と和歌山に登場
  • 京都に観光事業の新拠点となる、両備バス京都営業所が完成
  • バーチャル社員「七葉院まゆせ」さん入社と、まゆせバス登場!
  • 「井笠の奇跡」 – 株式会社 井笠バスカンパニー出発
  • 一般財団法人地域公共交通総合研究所の設立と記念シンポジウムの開催
  • バーチャルなトラベル事業とカフェを融合させた日本で初めて、世界で初めての「トラベルローズカフェ」が岡山髙島屋8階ファミリーローズ内にオープン

「情報関連部門のコア」

  • 両備システムズが「おかやまクラウドセンター」をTOKAIグループと共同開発
  • シンク社が両備システムズグループ入り
  • リオスとKDDIでバスロケとスマホとバスデジタルサイネージを使ってリアルタイムに情報を流し、街の回遊性を創る実証実験を開始
  • たまルンカード20万人突破

「生活関連部門のコア」

  • 山陽自動車道福山SA上りをリニューアル- パヴァリエ ローズマインド福山として初お目見え
  • 都市型スーパーのアンテナショップとして「森のマルシェ桑田町店」がオープン
  • デザイン・クリエイティブセンター神戸でクリエイティブサポート部創設

両備フェアと旅博

昨年春に両備グループのシナジーを創ろうということで、松田専務やJB(両備グループ青年重役会)が中心になって「両備グループフェア2013―お仕事たんけん隊―」を挙行しました。ご来場の市民やお取引先ばかりでなく、グループ幹部社員も一様に両備グループの多岐にわたる事業展開とそのレベルにビックリしました。

JATA旅博2013の出展には、両備観光グループが一丸になって取り組みました。両備観光グループの力は多岐にわたりますが、規模が足りず、世界に打って出るほどの力がありませんので、当初、松田専務には「道楽かもしれないが、みんなの熱意を感じて、やってみなはれだ!」と言って大した成果は期待していませんでした。ところが開催直前にオリンピックの東京招致が決まって、環境がゴロッと変わったのです。「ある時ド-ンと道が開ける」と言いますが、まさにドーンです。東京の御座船「安宅丸」や英語力のあるハロートーキョー、イースタンエアポートモータース、ニッコー観光バスなどの観光レパートリーが有機的に貢献できる素地が生まれました。そして中国バスの高速バス「ドリームスリーパー」も日本一の高速バスに選ばれました。さてこのセレンディピティーをどのように事業拡大に結びつけていくかです。

「チャレンジ5で日本一!」の五カ年計画

「チャレンジ5で日本一!」の5カ年計画も業績面では連結決算も出来、両備グループ全体で経常利益は約50億円、経常利益率5%をうかがうところまで伸長し、概ねキャッチアップするところまできました。まだまだ体質の弱いところが多々ありますが、この改善を含み利益として、更に安心して働いていただける企業を目指して頑張りたいと思います。

会長方針として大企業並みの企業力をつけるということで、その最大のポイントは人材の養成です。年功序列と身分と職制が各社でバラバラになっていますが、今年は職制の肩書きをいったんクリアにして、全社的に試験を実施します。昨年中間テストをして、全員合格できるように磨きをかけています。やっとみんな勉強しようという方向に向かってきたことは大変喜ばしいことです。

今年の試験の内容

今年の総合職や管理職などの一斉のテストの大まかな内容は、ペーパーテストと必要な資格取得をして仕事のプロを目指して自分の課題を全員にレポートしていただくことです。自分の仕事でプロになる、プロという仕事としての技量レベル、知識レベル サービスレベル、経験レベル、心と精神レベルと、その目標に対する自分の仕事ぶりに対する評価と今後の改革の方向を自ら考えていただきます。普段からの仕事ぶりと実績を第一に、このレポートを本年最後のテストの後の面接の材料にし、来年4月から能力主義的安心雇用に基づく新たな役職でスタートします。

社員の幸せは「健康×能力×やる気」ですが、共に自らが努力し、自己管理して磨き上げねば、幸せは手に入れられません。幸せは努力の係数で、自ら努力しなければ、手にすることはできません。裏を返して考えれば、努力すれば誰でも幸せになれるはずです。なれなかったとすれば、自分の心が貧しいのです。

現場力の弱さの露呈

事業や業績面では、昨年は素晴らしい事柄が多く起こりましたが、一方において現場力の弱さも露呈しました。
車検切れの問題、料理の表示の問題など、大きな不始末がありました。社会正義、お客様第一という経営方針に反する重大な問題です。

しかし、一皮むいて何故こんな問題が起こったかというと、ひと言で言うと「うかつ、そこつ、不勉強」な現場管理力と、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という行動規範に反し、問題の解決をすぐしなかったからです。問題はほとんど事前の社内チェックで分かったものばかりで、会社としての故意や悪意はありませんでした。ガッカリすることはありません。「過ちて改めざる、是を過ちという」で、過ちと疑う事案が発生したら直ぐその行為を止めて、調査して、過ちだと確認できたらしかるべき機関と一緒に再発防止をすることが大事です。問題を真正面から受けて、一つひとつ丁寧に解決していけば、どこよりも強い企業体質に変身していくのです。今年はこれらのチェックをする仕組みをしっかり構築します。

今年は、業種ごとの法的知識の研修を行ない、今年末の試験に加えます。当たり前のことですが、今後、管理、監督職はこの法的知識を必須とします。

両備グループの管理の要諦は、「即断・即決・三日の原則」で、三日考えて分からなければ「分かりません」と言えば責任を問いません。しかし、分からぬことを分かったふりや横着で放置する管理、監督者は残念ながら、ネクスト100年の人材とは言えないでしょう。
過ちを発見したときは「即断・即決・出来ねば直ぐホウレンソウ(報告、連絡、相談)」です。

運輸安全マネジメントの取り組み

両備グループは運輸安全マネジメントを全面的に採用し、昨年から安全マネジメント委員会に改組して進めています。グループ内でも中国バスのように最高の安全レベルを確保している会社から、最低レベルまで極端な開きができてきました。スピード違反や、居眠り、酒気帯び、運転中の携帯利用やバック事故などこれがプロの乗務社員かというレベルが若干いることも事実です。

人様のお命をお預かりしているという自覚が足りません。これらの人は自分に甘く自分の心の制御の出来ない人で、自分が可愛い自己中ですが、実は自分を最も大事にしていないのです。

昨年安全マネジメント研修でバスケット好きなゴリラの映像でのテストを経験し、びっくりしました。F1の中島悟さんが安全運転の秘訣は「前を見て走る」と言ったのですが、「心そこにあらざれば見ても見えず、聞いても聞こえず、食してもその味分からず」で他に意識が行っていると、見えるべきものが見えなくなるのです。だから携帯、酒気帯び、居眠りは言語道断であり、常に安全の危険予知を感じなければならないのです。危険運転の事故は、故意による傷害、殺人に匹敵する刑事罰になった社会と法律の変化に気がついていないのです。

昨年のヒヤリハットに続いて、今年は両備グループ独自の運転違反のポイント制を作り、両備交通反則点数制度を導入します。労使で安全マネジメント管理をして、分からなければ交通違反をするという乗務社員を改心させることを目指します。分からなければ悪さや交通違反ということでは昔でいうクモスケであり、違反を常態化する悪い根性を直して、プロの運転社員を目指します。運輸安全マネジメントでは万が一の人身事故の対処で人命尊重をしっかり意識させ、危険予知トレーニングと実地訓練で人様の命をお預かりする仕事に誇りを持つようにしていきます。安全の数値目標はもちろん「有責事故ゼロ」です。

相手に優しく自分に厳しくあれ

何事も「相手に優しく自分に厳しい」が基本です。自分に甘く、マンネリ化している、仕事に対する基礎、基本が出来ていない、会社に来てその時間は家庭や自分のことを持ち出してはならないという社会人としての常識欠如がチョコチョコ目立ちます。プロの世界を目指して、まずマンネリの打破が大事です。社員同士の好き嫌いを論ずることも禁止事項だということを忘れないでください。

好き嫌いはアフター5で、勤務時間中は「好きか普通か」です。お互いに冗談が言い合える楽しい職場を自ら創る努力をし、職場を明るくして、良い仕事をしましょう!

ちょっと厳しいとすぐ音を上げてはいけません。厳しさが仕事の筋肉をつけるのです。教育を活かす「やる気管理」ができていないので、この構築が課題です。

出来る社員と出来ない社員の差は能力以上にすぐやるかやらないかで、出来ない社員は物事を後回しにします。問題を起こす幹部は、必ず問題を後回しにして大騒動になります。仕事も問題解決も「すぐやる 必ずやる 出来るまでやる」が基本です。

教育

両備グループは、企業即教育体として「教育は最も効果的な投資である」と規定しています。実務教育に力を入れ、現場実務のマニュアル化、ケーススタディー化を図り、身体で覚えるまで徹底します。

今年の経営方針は、「忠恕の配慮 本気!根気!やる気!」

昨年の経営方針は「思う、感じる、配慮する」でしたが、残念ながら未だ一部の人材しか配慮の出来るレベルにありません。大企業では、決められた仕事しかしないのであれば正社員とは言えません。問題解決や配慮の出来ない社員は幹部にあらずとまで言われます。配慮の足りなさが課題です。

今年の経営方針は、「忠恕の配慮 本気!根気!やる気!」とします。

配慮が出来て初めて忠恕の実践です。自分のことしかできない人は三流、自分のことが出来て、人のことをちょっと考えられる人は二流、自分のことも出来て、人のことも考えられれば一流です。

大事なことは、現場でものを考える、お客様の気持ちになって考え、配慮することです。
何事も本気で取り組んで、困難があっても根気よく出来るまでやる気で頑張ることが大事です。

真面目だけではダメで、時に冗談を言い合える職場は、冗談の言えない堅苦しい職場より倍の80%程度の満足度があるということが分かりました。何となく毎日同じことをマンネリで作業するのでなく、本気、根気、やる気で毎日充実した楽しい一日にしていきましょう!

今年最初の3カ月間のガンバローコールは、「“忠恕の配慮 本気!根気!やる気!”でガンバロー、ガンバロー、ガンバロー」とします。3カ月後は「すぐやる 必ずやる 出来るまでやる!」のガンバローコールとしてください。それ以降は月初のガンバローコールを「忠恕の配慮 本気!根気!やる気!」、月末のガンバローコールは「すぐやる 必ずやる 出来るまでやる!」として、月中は各COOが大事にするテーマでガンバローコールを創ってください。

三カ年計画の策定

今年から3カ年計画の策定を確実に行います。基本的にはリボルビング型で、3カ年計画を毎年修正しながら進めていきます。

昨年和田コーポレーションが両備グループの一員に加わって、和田さんの経営を垣間見て、大いに反省させられることがありました。
仕事への情熱、計画的な事業の進め方、事業の絞り込みとブランドの確立などなど、まさしく本気、根気、やる気の事業です。仕事に甘えがない、社員の徹底的なプロ化と頑張れば成果配分が期待できる思い切った仕組みなどです。土地の仕込みは3カ年分できており、売り上げの見込みは一、二年前から既に出来ています。半年で売り上げを確保し、残りの半年は先の仕事をやっています。

業種が違うと言ってしまえばそれまでですが、3カ年計画は両備グループも一部の企業ではやっていました。しかしあまりに社会変動が激しく形骸化したので、緩やかな5カ年計画に変更していました。再度3カ年計画にチャレンジし、数字の遊びでなく、単年度のレベルしか考えていない風土を改め、3カ年前から考えておかなくてはならない事柄や課題、仕入れや計画などをしっかりキャッチアップする体質を目指します。

目標管理には、尊敬するライバル企業の設定を採用し、その企業に追いつき追い越す戦略を定め、毎年の積み上げ方式を改め、目標完徹を目指します。

アグレッシブさとスピード感の業績課題

3カ年で経常利益75億円、うち不動産関連経常利益30億円(構成比40%)をアグレッシブにスピード感を持って進めていきます。

「お・も・て・な・し」

日本一サービスの良い観光グループを目指して、両備観光グループの「お・も・て・な・し」の総見直しをして、ネクスト100年のおもてなしレベルをあげてください。そのために、

  1. 各社「おもてなし隊」を結成して、現状のおもてなしの分析と対策をして、目標を決めてPDCAのサイクルを回して出来るまでやってください。
  2. 毎月社員、スタッフのおもてなしレベルの評価を行ない、四半期ごとに好事例の発表と表彰をし、低レベルクラスの再教育もするようにしてください。
  3. 崎原真弓さん(両備ホールディングス)を「お・も・て・な・しアドバイザー」として両備観光グループの観光バス、タクシー、オーキドホテルと観光営業所のそれぞれを見ていただき、アイデアを事業化してください。

おもてなしは五感と気と心でするものです。

命を預かる崇高な仕事

銀行はお金を預かっているだけですが、両備グループは大事なお客様の生命をお預かりしている仕事をビジネスコアにしています。崇高な仕事をさせていただいているということに誇りを持って経営しています。 

この崇高な夢を実現する事を仕事といい、目の前にあるものをこなすだけなら作業と言います。日々進歩のためには、作業でなく仕事をすることが大事な要素です。

両備グループが業績を追い続けるのは、業績が確保できなければ皆さんのお客様の信頼を戴けていないということであり、働く皆さんの生活を守れないからです。しかし、業績が良ければ良い会社といえるでしょうか? 業績に加えて忠恕の配慮で、社会やお客様に心が通じる仕事をしましょう。

アジアの人たちは、日本という国は嫌いだけれど、日本人は好きだと言ってくれます。東日本大震災で、パニックや略奪も起こさず、自分のわずかな食料や水をお年寄りや子ども達に分け与える姿が世界に感動を与えました。
日本一心豊かな企業になろう! これが両備の目標です。

夢二は両備のイメージと言われて久しいですが、今年9月で生誕130周年です。高島屋各店を中心に新しい切り口の展覧会を挙行しますし、夢二バスなど楽しい企画をいっぱいしますので、グループこぞって応援をよろしくお願い致します。

20140106

両備グループ
両備ホールディングス