両備ホールディングス会長兼CEO
小嶋光信
日本が世界に誇る大型和船によるフラグシップを創ろうというコンセプトで開発した「御座船 安宅丸(ござぶね あたけまる)」を、ディナークルーズやランチクルーズにショーシップの要素を加えて、この3月1日から定期航路投入する事にしました。
日本のお客様にクルーズを楽しんでいただくのは、西洋式のクルーズ船で良いでしょうが、世界からお迎えするお客様には、ぜひ和の文化を感じていただきたかったのです。昔「江戸湾」と呼ばれたこの東京湾で、江戸情緒という和文化を味わっていただこうという趣向です。
御座船というのは、将軍様や殿様が乗られる、即ち御座のある楼閣を持った船ということで、最も大型で絢爛豪華だった御座船が徳川家光公の御座船でした。
この安宅丸が現代に現れたというコンセプトで私が企画し、外観をデザインしたものです。一番苦労したところは、帆船らしく帆が膨らんだように見せるところでした。もし普通の帆を張れば後ろに膨らんでしまって、「あ帆」らしく見えるだけなので、メッシュを使い、ステンレスの骨組みで膨らませて、風が吹くと膨らんでいるように見える目の錯覚を利用したところです。これを考えつくことで、帆船としての御座船らしくなりました。
江戸湾の素晴らしいクルージングとともに、お楽しみいただくのは、劇団四季を経験された方を含む素晴らしい役者さん達で今回のために結成された「安宅丸一座」のショーで、森健太郎座長を中心に情緒溢れる大江戸演舞劇を味わっていただきたいと思います。演じてくださる中にはものまねで有名なコロッケさんの娘さんがいたり、正当な血筋を引く伊賀忍者の方々による、本物の忍者の凄さ、多彩さ、サプライズを楽しんでいただける演目が季節ごとに用意されています。
また、日本食が世界遺産になりましたが、大相撲や歌舞伎でお馴染みの幕の内弁当のセットを中心に、海外のお客様に、これが日本食だとお伝えするため、食べて和食文化を味わっていただくように工夫してあります。
世界でただ一隻の大型和船「御座船 安宅丸」で、江戸湾のクルーズを楽しみ、このクルーズ独自の安宅丸一座の演舞ショーを楽しみ、日本の伝統的な幕の内弁当をご賞味いただいて、日本文化や江戸情緒を粋に楽しんでいただけたら幸いです。もちろん世界のお客様のおもてなしですから、英語を中心に外国語への対応を充実させていきます。
2月25日、マスコミや関係する皆様をお招きして、お披露目クルーズを実施しました。
あっと驚く出来映えで、これからの定期運航で、世界のお客様に喜んでいただけると大いに確信をしました。