Message代表メッセージ

2017.01.11

「市民に寄り添う公共交通プロジェクト」の準備会発足!

一般財団法人 地域公共交通総合研究所 理事長
両備グループ 代表 兼CEO
小嶋光信

平成24年10月12日に経営破綻を発表した後、わずか19日で、岡山県の西部と福山市の東部のバス路線を担っていた井笠鉄道が幕を閉じるという事件が起きました。各方面からの要請で、急遽、両備グループで再生された中国バスの支援もあり、井笠バスカンパニーとして再建され、路線維持されたことはご高承の通りです。

しかし、井笠地域の全ての路線が赤字、その収支率は50%以下であり、関わる井笠地域の行政も財政的には厳しく、通勤・通学と生活の足の最低限の維持を図る形で再生せざるを得なかったのが実情です。

お陰様で、幾多の困難を乗り越えて、行政と一体になりながら再建を果たし、今日を迎えていますが、今後どの様な形で地域の発展につながる公共交通へと進化させるかの課題が残っています。

そのために地域の生活交通として、「乗って残そう井笠バス!」を合言葉に、後述する交通政策基本法や地域公共交通活性化再生法の改正に沿った改革を如何にしていくかを模索するために「市民に寄り添う公共交通プロジェクト」の準備会を発足しました。

この命名の由来は、小林笠岡市長が話題の中で「市民に寄り添う交通」と言われて、まさにその通りで分かりやすい表現なので使わせていただきました。

  1. 如何に乗っていただけるように創意工夫して、「乗って残そう井笠バス!」を実現するか。
  2. 現状の路線をどのように強化し、需要に応じた輸送手段の知恵を絞り、多様な取り組みで総合的地域の足を確保するか。

の2点がテーマです。

主宰は当総研とし、全国に先駆けて今後の悩める地域公共交通を具体的に分析し、方策を実証実験で継続可能で有効な手立てを講じるソリューションを提供したいと思っています。その実証実験の舞台には、劇的な倒産と奇跡的な再建が行われた井笠バスカンパニーの協力を得て行い、資金提供は「両備ワッショイ創生1%基金」の援助で行うことにしました。

準備委員会の構成は、名古屋大学大学院准教授の加藤博和先生を委員長に、後述のように当総研の研究員と井笠バスカンパニーの幹部並びに両備グループで実際に苦境の公共交通の再建に携わったメンバーを選任しました。

ご高承の通り、2000年、2002年の地域公共交通関係の規制緩和によって、今まで赤字を補填する補助金によって手厚く保護されていた公共交通は、一転、利用者の利益を重視する競争原理を重んじる法律に改正され、30数社の地方鉄道や路線バス会社が破綻し、再生されていきました。

その窮状を救う方法は何かと研究したところ、補助金による支えからヨーロッパ型の公設民営による抜本的改革が必要ということが分かり、私は津エアポートラインで公設民営の有効性を実証し、その方法で貴志川線を和歌山電鐵として再生し、鉄道において公有民営が公的に認められました。

また、中国バスの破綻を通じて、補助金制度の経営のモラルハザードと労使間の不仲の助長という副作用を指摘し、方々当地の宮澤洋一議員に地域公共交通の窮状をご説明し、「地域公共交通活性化及び再生に関する法律」が生まれ、政権の交代を乗り越え、井笠鉄道の驚愕の倒産劇で加速されて今日の交通政策基本法が成立しました。この基本法に沿い地域公共交通活性化・再生法も改正されて、現在はそれに沿って交通網形成計画等が各自治体で検討されています。

これらの法制化による肝は下記の二点です。

  1. 今までの交通事業者による孤軍奮闘型の地域公共交通から、国、地方自治体、市民と交通事業者が一体になり、地域の活性化につながる公共交通として連携して維持発展させていく。
  2. 国はその法制化と財源を確保する。

従って、交通事業者とともに、地域の路線維持には、市民の公共交通への意識改革と参画と、自治体の主体性が不可欠です。

また、これらを実現する財源が明確でなく、別途、しっかりした財源の構築が地方創生や一億総活躍社会には必須でしょう。移動手段のなくなった地域では、創生も、活躍も不可能と言え、公共交通の維持確保が要になります。公共インフラとして、少子高齢化社会では、道路とともに移動手段として公共交通の確保がキーになるでしょう。

現状は少子高齢化社会では、地方の公共交通は通勤や通学の利用者の減少が止まらず、生活者は高齢化によって利用が減り、路線の維持を図ることが厳しい状態が続いています。補助金に代わる公設民営や公設民託による地域公共交通の維持のためには、如何に市民に寄り添い、市民に利用していただける公共交通にしていくかが急務です。

この準備会の期間は半年で、今年の7月7日をたたき台の発表の日とし、正式な「市民に寄り添う公共交通プロジェクト」は、地域行政や市民団体と十分摺合せをした上で、心を同じくするメンバーを加えて後日発足させたいと思っています。

 

プロジェクト・メンバー (敬称略)

準備委員長: 加藤博和(名古屋大学大学院 環境学研究科 准教授)
(一般財団法人 地域公共交通総合研究所アドバイザリー・ボード委員/平成28年8月10日付で株式会社井笠バスカンパニー相談役に就任。国土交通省交通政策審議会委員ほか多数の公職を務め、日本全国の地域公共交通の現場の課題解決において知見を活かしている)
準備副委員長: 渡邉寛人 (株式会社井笠バスカンパニー代表取締役専務)
委  員  : 渡辺 徹 (株式会社井笠バスカンパニー常務取締役)
原 雅之 (両備ホールディングス株式会社 代表取締役専務・両備・バスグループ長)
礒野 省吾 (岡山電気軌道株式会社 代表取締役専務)
谷田貝 哲 (岡山電気軌道株式会社)
事務局責任者 : 渡辺 徹
※事務局は、井笠バスカンパニー内に置き、町田敏章(一般財団法人 地域公共交通総合研究所 専務理事)が補佐する。
広報責任者 : 山木慶子 (両備グループ広報部長)

以上

20171110

2017.1.10
地域公共交通総合研究所

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