[国土交通省宛抗議書]
平成30年4月20日
国土交通省
国土交通大臣 殿
自動車局長 殿
中国運輸局長 殿両備ホールディングス株式会社
代表取締役会長 小嶋 光信
岡山電気軌道株式会社
代表取締役社長 小嶋 光信抗議書 当社は、岡山県を中心とした地域の足を守る公共交通事業者として、今回の「めぐりん益野線」の許認可に関する貴省の対応について、地域公共交通網の維持・発展を願って、以下のとおり厳重に抗議いたします。
現在、当社と国の間で、中国運輸局長長が平成30年2月8日付で行った八晃運輸株式会社の「めぐりん益野線」に関する事業計画変更申請に対する認可処分(以下、「本件認可」といいます)の取消訴訟(以下、「本件訴訟」といいます)が係属しております。本件認可については、岡山市長が八晃運輸株式会社に対して行った道路占用許可処分(以下、「本件許可」といいます)が、不可欠の前提となっています。当社は、その本件許可の手続的瑕疵について岡山市長に対し抗議すると共に、本件訴訟においても、本件認可の違法性を根拠付ける明白な事実として主張しております。
本件許可は、岡山市が道路占用許可を申請する者に対して課している「特記占用許可条件」に明白に反してなされたものであり、いかなる詭弁を弄そうとも、本件許可及び本件認可がなされた時点でその瑕疵があったことは覆すことのできない事実です。そのため、当社は、岡山市長に上記の手続的瑕疵を通知した時点で、当然に岡山市長が全体の奉仕者たる公務員として、また、行政の長としてこの誤った手続きを取り消すものと考えておりましたが、岡山市長は、自らの明白な過ちを認めるどころか、あろうことか道路法第87条という本件手続的瑕疵とは直接関係のない条文を根拠にこの明白な手続的瑕疵を合法であると主張し、道理を曲げようとしています。
そもそも、岡山市長が本件許可の正当性の根拠として挙げる道路法第87条第2項は、同条第1項に基づき附すことができる条件について、「当該許可、認可又は承認を受けた者に不当な義務を課することとならないものでなければならない」とするものであり、これは条件そのものを附す際の基準を定めるものであり、同条第1項に基づき、行政に付与された許可条件の設定に関する裁量権を狭めるために設けられた条文です。
すなわち、道路法第87条第2項は、許可条件を設定する際に、申請者に対して過度の負担を強いることとなる条件を設定してはならない旨を定めるものであり、既に定められた許可条件を申請者に遵守させるかどうかを判断するための条文ではありません。
そして、岡山市長が本件許可書に許可条件として「2 別紙特記占用許可条件を厳守すること。」と明記していることから、岡山市長は当該特記占用許可条件を道路法第87条第2項に反するものと解釈していないことは明白です。そのため、岡山市長が道路法第87条第2項を根拠に、本件許可を取り消さないとすることは明白な法令解釈の誤りと言えます。
この明らかな法令解釈の誤り自体からも、岡山市長の本件許可を取り消さないという判断が違法であることは明白ですが、さらに、本件許可を取り消さないことは、行政活動における大原則である平等原則にも明確に違反しています。
当社も、公共交通事業者としてこれまで岡山市に対して、道路占用許可を求めてきましたが、その際には必ず本件許可と同様の特記占用許可条件を課され、これを遵守してきました。現に、岡山電気軌道株式会社が平成26年11月4日付で岡山市長に対して行った道路占用許可申請については、同年11月17日付で本件許可と同様に「2 別紙特記条件を厳守すること。」との条件の下許可(以下、「岡電許可」といいます)を得ておりますが、岡電許可と本件許可で共に厳守すべきとされている許可条件に変更はありません。そして、岡山電気軌道株式会社では、この特記占用許可条件を厳守するよう岡山市より厳しく指導を受け、これに従い、特記占用許可条件を充足してきましたが、岡山市より本件特記占用許可条件が過度の負担を課すものであるから必ずしも遵守しなくても良いなどといった指導は一度たりとも受けたことはありません。
このように事業者ごとに異なる対応がなされる合理的理由は存在せず、これは明白な平等原則違反であり、行政に対する信頼を根幹から覆すものです。
当社としましては、岡山市、そして公共交通の将来のために、本件許可に対して、岡山市に対して厳重な抗議を行っていますが、貴省におかれましても、かかる違法な本件許可を根拠とした本件認可を直ちに取消し、法の支配に基づいたあるべき行政の姿を取り戻されるよう強く抗議いたします。岡山市が行った違法許可の瑕疵を貴省の認可に連鎖させてはなりません。
また、岡山市長の道路占用許可の対象ではない純粋な民有地であるバス停留所についても、その所有者はバス停留所の設置を認めないとの意思を明確に表明しています。このような中、敢えて明白な手続的瑕疵から目を背け、無理を通す理屈を作り出すことに固執するのではなく、貴省に置かれましては、行政にとって何よりも優先すべき国民の声を真摯に受け止め、本件認可を取り消されますよう強く要請します。そして、運行開始の既成事実が作られてしまえば、その影響は拡大の一途を辿り、地域公共交通網の破壊に直結することは火を見るより明らかです。よって、本件認可の取り消しと共にまずもって4月27日に予定されている運行開始を止めるべく、道路運送法第40条第1号に基づき、事業停止命令の発動を強く願います。
誤った判断をしてしまうことではなく、それを正さないことこそが行政にとって何よりも恥ずべき、行ってはならない行為です。
違法認可を改め、国の信頼を取り戻すべく賢明なご判断を切に望みます。以上
[岡山市長宛抗議書]
平成30年4月20日
岡山市長 殿
両備ホールディングス株式会社
代表取締役会長 小嶋 光信
岡山電気軌道株式会社
代表取締役社長 小嶋 光信抗議書 当社は、岡山県を中心とした地域の足を守る公共交通事業者として、今回の「めぐりん益野線」の許認可に関する貴殿の対応について、地域公共交通網の維持・発展を願って、以下のとおり厳重に抗議いたします。
貴殿もご承知のとおり、現在、当社と国の間で、中国運輸局長が平成30年2月8日付で行った八晃運輸株式会社の「めぐりん益野線」に関する事業計画変更申請に対する認可処分(以下、「本件認可」といいます)の取消訴訟(以下、「本件訴訟」といいます)が係属しております。
当社は、貴殿が八晃運輸株式会社に対して行った道路占用許可処分(以下、「本件許可」といいます)は、中国運輸局長が行った本件認可の不可欠の前提であることから、本件許可の手続的瑕疵について貴殿に対し抗議すると共に、本件訴訟においても、本件認可の違法性を根拠付ける明白な事実として主張しております。
本件許可は、貴市が道路占用許可を申請する者に対して課している「特記占用許可条件」に明白に反してなされたものであり、いかなる詭弁を弄そうとも、本件許可及び本件認可がなされた時点でその瑕疵があったことは覆すことのできない事実です。
そのため、当社は、貴殿に上記の手続的瑕疵を通知した時点で、当然に貴殿が全体の奉仕者たる公務員として、また、岡山市長としてこの誤った手続きを取り消すものと考えておりましたが、貴殿は、自らの明白な過ちを認めるどころか、あろうことか道路法第87条という本件手続的瑕疵とは直接関係のない条文を根拠にこの明白な手続的瑕疵を合法であると主張し、道理を曲げようとなされています。
そもそも、貴殿が本件許可の正当性の根拠として挙げる道路法第87条第2項は、同条第1項に基づき附すことができる条件について、「当該許可、認可又は承認を受けた者に不当な義務を課することとならないものでなければならない」とするものであり、これは条件そのものを附す際の基準を定めるものであり、同条第1項に基づき、行政に付与された許可条件の設定に関する裁量権を狭めるために設けられた条文です。
すなわち、道路法第87条第2項は、許可条件を設定する際に、申請者に対して過度の負担を強いることとなる条件を設定してはならない旨を定めるものであり、既に定められた許可条件を申請者に遵守させるかどうかを判断するための条文ではありません。
そして、貴殿が本件許可書に許可条件として「2 別紙特記占用許可条件を厳守すること。」と明記していることから、貴殿は当該特記占用許可条件を道路法第87条第2項に反するものと解釈していないことは明白です。そのため、貴殿が道路法第87条第2項を根拠に、本件許可を取り消さないとすることは明白な法令解釈の誤りと言えます。
この明らかな法令解釈の誤り自体からも、貴殿の本件許可を取り消さないという判断が違法であることは明白ですが、さらに、本件許可を取り消さないことは、行政活動における大原則である平等原則にも明確に違反しています。
当社も、公共交通事業者としてこれまで貴市に対して、道路占用許可を求めてきましたが、その際には必ず本件許可と同様の特記占用許可条件を課され、これを遵守してきました。現に、岡山電気軌道株式会社が平成26年11月4日付で貴殿に対して行った道路占用許可申請については、同年11月17日付で本件許可と同様に「2 別紙特記条件を厳守すること。」との条件の下許可(以下、「岡電許可」といいます)を得ておりますが、岡電許可と本件許可で共に厳守すべきとされている許可条件に変更はありません。そして、岡山電気軌道株式会社では、この特記占用許可条件を厳守するよう貴市より厳しく指導を受け、これに従い、特記占用許可条件を充足してきましたが、貴市より本件特記占用許可条件が過度の負担を課すものであるから必ずしも遵守しなくても良いなどといった指導は一度たりとも受けたことはありません。
これは明白な平等原則違反であり、行政に対する信頼を根幹から覆すものです。
仮に、かかる対応の差異を平等原則違反でないと主張されるのであれば、本件許可と岡電許可の間でこれほどまでに真逆の対応がとられる合理的な説明を求めます。
当社を含めた両備グループは、創業以来108年の長きに亘り、発祥の地である岡山を愛し、岡山の発展のために最大の努力を尽くしてきました。その両備グループが貴殿の誤った法令解釈に基づく強引な許可により、甚大な損害を受けようとしています。これは、両備グループのみならず、公共交通を利用される岡山市民の方々、ひいては日本全国の交通弱者に甚大な悪影響を及ぼす行動です。
当社としましては、岡山市、そして公共交通の将来のために、地方の公共交通網を破壊しかねない本件認可及びその前提としてされた本件許可に対して、厳重に抗議を行います。貴殿がこれほどまでに明白な違法許可に道理を曲げてまで固執されるのであれば、当社としても極めて厳しい対応をとらざるを得ません。
誤った判断をしてしまうことではなく、それを正さないことこそが行政にとって何よりも恥ずべき、行ってはならない行為です。
違法な本件許可を改め、岡山市民の信頼を取り戻すべく賢明なご判断を切に望みます。以上