両備グループ
代表兼CEO 小嶋光信
両備グループのQC活動「RQC活動」も今回で第8回目の発表会を迎えます。
そして、昨年2019年6月には岡山交通㈱両備タクシーセンターのチームが全日本選抜QCサークル大会の事務・販売サービス部門で見事「QCサークル本部長賞」に輝き、今年(2020年)の9月には岡山地区QCサークル大会で大手メーカーさんたちの強豪を抑え両備バスカンパニー玉野営業所のチームが堂々の銀賞を獲得するなど、全国や地区での賞を狙えるまでになってきました。
両備グループのQCの取り組みは歴史が古く、50年以上前に遡ります。一時期は20~30組も参加する大きな大会をしていて、西日本ではQCの両備として名を轟かせていました。しかし、残念ながら発表のためのQCになってしまい、形骸化したことから、現場でのQCの熱意が失せて、管理職が必死に参加者を募り支えている始末でした。
経営陣からもサービス業や販売業でのQCの効果に疑問が持たれ、そのために効果のない事業として経費削減のやり玉にあがり20年ほど前に両備グループから消滅してしまいました。
10数年前に両備教育センターのQCを熱心にサポートしていたメンバーからQC復活の要望がありました。ちょうど、両備グループも100周年を迎えるところであり、両備バスも新生・両備ホールディングスとして企業体質の大変革を試みていたときでした。当時、グループトップとして何か経営幹部や管理職、そして若手養成機関の両備大学院であるJB制度(青年重役会制度)のメンバーの取り組みや分析力がだんだん落ちてきているのではないか、何か本来、分析的であるべき経営が文学的な取り組みになってきている感じがして、これは教育も変えなくてはと思っていた矢先でした。
QC手法は、現場の品質や生産性などの問題解決の優れた分析ツールであり、PDCA(プラン・ドゥー・チェック・アクション)のサイクルを回すことで経営や事業分析、職場の改善活動にはうってつけの活動だと思います。
交通や販売サービス業主体で製造部門が少ない両備として、果たして上手くQCを復活できるかが課題でしたが、思わぬ良い結果が出たのは、「やらねばならぬ」という会社幹部の思いから現場にお仕着せになっていって失敗した第一世代のQC活動に対して、今回は現場でやりたい社員が主体的に集まり、幹部が支援・サポートに回ったことが第二世代のQC活動に華が咲き始めた主因かもしれません。
今年はコロナ禍でのQC発表会でしたが、和気あいあい、緊張の中にも夢あふれた発表大会になりました。
今回も新しく取り組んだチームが多いため、QC手法という形をもう少しレベルアップする必要があり、まだ初めて間もない期間で、「なぜなぜ」のQCのサイクルを何度も回して、課題解決をしていくというまでには至っていませんが、空理空論の発表のためのQC活動ではなく、実際の職場改善につながる良い取り組みばかりでした。
特に岡山電気軌道の「岡電燃費向上委員会」の「燃費向上計画」の発表は、発表内容はともかく、メンバーが楽しく明るく取り組んでいる姿に思わず皆さんの笑顔が出ていました。そして何より、本来、最もQC手法が役立つICT部門が初めて参加してくれたこともトピックスでしょう。
発表の結果は、両備バスカンパニー岡山営業所の「エアロ・エース両備岡山」チームの「事故削減について」の発表が、強豪の両備バスカンパニー玉野営業所の「チームののちゃん4代目」の「エンゲージメントアップPart2~ほめ合う大切な仲間」を僅差で破り金賞に輝きました。
「事故削減」というテーマは、QC活動でも交通系でよく取り上げられる題材ですが、このチームは現場の皆さんを巻き込んで「車庫内10キロ以下!」の横断幕や「バック誘導をお願いします」という立て看板で職場全員の啓もうをし、備前自動車教習所の実地安全教育やヒヤリハットなどで2019年に取り組みを始めました。2020年の9月現在で接触事故と後突事故はゼロを記録し、10万キロ当たりの有責事故率0.11が0.05へと半減するなど効果を発揮しています。
新交通三悪で運転中のスマホ、飲酒運転、バック事故の絶滅を期して安全活動を両備グループ安全マネジメント委員会が行なっていますが、ケアレスなヒューマンエラーが続いている中で、このQC発表は交通系事業に携わる現場の社員、職員、幹部の意識改革に一石を投じる活動と評価できます。社員の「意識改革」を社員の心の中から引き出さないと問題は解決しないという証左で、今回の取り組みは大きな参考になるでしょう。
僅差で銀賞の「ののちゃん4代目」は、エンゲージメントが如何に事故やサービスやお客様からのお褒めにつながっているかという試みであり、本当に新しい職場改善の方向性を示すものです。今回は「ほめ達」を導入するという試みで、両備グループとして2020年度からの重点テーマである「褒める文化」を創る具体的な職場の活動として、大いに注目できる優れものです。エンゲージメントが高まるという結果が出てきているので、このエンゲージメントが更に無事故やサービス向上というバスの品質を高めることにつながっているか、もう少し時間をかけてPDCAのサイクルを回せば、銀賞を受賞した「ののちゃん3代目」に続いて地区や全国でも評価されるQC内容となるでしょう。
RQCを通じて社員の皆さんのモチベーションやエンゲージメントが上がれば、永遠のテーマであるSSP(安全・サービス・生産性)の課題が解決していくことも夢ではありません!
乞うご期待!