両備グループ
代表兼CEO 小嶋光信
小豆島の草壁港から高松港へのフェリーを運航している内海(うちのみ)フェリー㈱への経営支援の打診は、もともと2016年5月8日に元オーナーのK会長から「経営不振で万が一の場合は両備で支援いただきたい」との要請があり、万が一の場合はお引き受けしますと口頭にて約束をしていました。
しかし、K氏が急逝されO氏が社長として引き継がれた際、出来るだけ自力でやってみるということで2017年以後毎年航路についての方向性の話し合いは続けていました。
2019年5月と11月には、O社長からフェリーの新造船計画について説明がありましたが、現状の内海フェリーの体力からは新造船建造は無理で、フェリー航路は池田航路に集約し、高速艇2隻新造での草壁航路の存続を勧めましたが、彼はフェリーの建造に踏み切りました。
ところが、今回のコロナ禍により2020年7月2日に急遽、正式に経営支援の依頼がありました。
理由は、
1.コロナ禍による50~60%減収という業績不振
2.コロナ禍の減収にコスト削減として減便しようとしたところ、更に年間約60百万円の大口取引を失った
3.コロナ禍の最中、9月24日に新造船(フェリー)が完成し、フィリピンへの旧船の売却も進まず、一気に資金繰りに窮することになった
内海フェリー㈱は、7月実績において運輸収入18百万円に対して月10百万円の赤字が続き、加えて9月以降新船の減価償却などで月に20百万円ぐらいの赤字となり、収入を超える赤字が見込まれます。
更に将来ともに1億円以上の赤字が10年以上続くと予想されるなど経営再建の見込みが立たない状況にあります。
そこで近隣航路をもつ両備グループの国際両備フェリー㈱が内海フェリーの資本と経営の譲受を8月31日に行い、同日O氏は代表取締役を退任し、両備グループが資本と経営を引き継ぎました。
O氏には内海フェリー㈱の経営状況では新造船を建造できる体質ではないと再三忠告していましたが、「赤字でも資金繰りで回せる」というニッチな可能性に賭けたことがコロナ禍で全て裏目に出る結果となりました。
精査の結果、赤字脱却が出来ない草壁港―高松港航路(以後内海航路という)維持は継続不可能という結論になり、同航路は来年3月31日まで運航して以後休止し、国際両備フェリー㈱の池田港―高松港航路(以後池田航路という)に集約することとしました。
池田航路に集約する理由は下記の如くです。
1.現状池田航路は8便で、内海航路は5便であり、多い便数に集約することが顧客利便になる。
2.航路再編後は池田航路を2便増便し、10便体制にすることで、更に顧客利便が高まる。
3.草壁港と池田港は市町村合併で同一町内にあり、その間わずか8キロメートル、約15分に近接する競合航路、内海地区の皆さんにとって若干の距離的な差はあるが、小豆島町全体としての利用客にとっても大きな立地的不便にならない。
4.内海航路は30キロメートルと、池田航路22キロメートルに対して36%も長く、池田航路がはるかに短絡航路として利用客にとっても経営的にも効率的で利便性が高い。
5.運賃はほぼ両航路は同一であり、利用者の経済的負担も変わらない。
6.コロナ禍が航路再編の直接の引き金になったが、少子高齢化の続く小豆島町にとって、人口は1980年22,170人のピークから、2020年は13,714人と既に約4割減少しており、内海フェリー航路分が供給過剰になっている。更に2040年の人口推計では9,308人とピークから6割も人口減少することになり、小豆島町のみならず小豆島の今後の航路再編は不可避になるだろう。
以上から、このまま航路維持をしようとすれば共倒れの懸念が大きく、少子高齢化の進む小豆島町の海上アクセスを如何にサステナブルに継続するかを考えれば、町民の高松への生活航路を維持することが最大の利便になると判断し、今回の内海フェリー㈱の資本引き受けと航路再編するという結論になりました。勿論雇用については希望される全員を継続雇用いたします。
永年ご利用いただいた内海地区の皆さんにとっては草壁港からの航路がなくなることは寂しいことでしょうが、将来を見据え小豆島町から高松への今後ともに太い海上アクセスを維持するためには体力が残っているときに再編することが最善だとご理解いただき、今後ともにご利用をよろしくお願いします。
また、小豆島町よりせめて高速艇の高松航路の復活をとの要望がありますが、今後の検討課題として真摯に受け止めて、いかなる条件なら復活できるかの可能性を皆さんと協議を続けていきたいと思います。