2020年年頭の辞
一流を目指し、次代を創る!

両備グループ
代表兼CEO 小嶋光信

みなさん、明けましておめでとうございます。令和となって初めてのお正月をご家族の皆さんと楽しく過ごされたことと思います。

お蔭さまで、両備グループは1910年に西大寺鐵道として創業して以来、今年の7月31日に110年となります。2010年の100周年からこの10年間、「感謝の100年、思いやりでネクスト100年」を合言葉に、「忠恕=真心からの思いやり」を経営理念として事業を進めてきました。嬉しいことは、社会やお客様、仲間たちへの優しい思いやりや気配りが現場で活き活きと実践されてきたことです。

世界における自分主義、自国第一主義や宗教戦争を思わせる民族間の争いは冷戦時代以上にタチが悪い状況です。また温暖化が原因か、世界各地での異常気象をはじめ日本も信じられないような台風や線状降水帯による集中豪雨などの災害が毎年続き、その上に地震などの脅威が繰り返し起こって、まさに天変地異の時代です。これからは、今までの「大丈夫」という安全神話をかなぐり捨てて、常に「何かある」と安全・安心に気配りしなければならない時代に来たと意識改革して、心の戸締りをしっかりとしてください。どこの事業所もハザードマップなどを熟知して、いざという時にはお客様や社員を守れるように機敏かつ冷静な対応をする癖をつけておいてください。

そのような厳しい状況の中ですが、昨年は岡山の路面電車「おかでんチャギントン電車」や旅客船フェリー「おりんぴあどりーむ せと」などの登場で、リアルな街を楽しい乗り物が走り回る、世界で初めての「楽しい乗り物たち」の街への取り組みがいよいよ姿を現してきました。岡山市街地の「杜の街づくりプロジェクト」は全国でも数少ない市内中心部の大型開発で、「スマートシティ」を目指し、夢を創り出すまちづくりに総力を挙げています。また、松田敏之社長が進めてきたグループシナジーが始動し、ICT部門などとのグループ内各事業やお客様との化学変化が広範囲に起こってきました。

「瀬戸内海を世界の観光地に」することを目指し「ツーリズムEXPOジャパン」に出展したワンダフルセトウチの取り組みは、「ワンダフルセトウチ+DISCOVERWEST連携協議会」として、JR西日本との協働で遂にグランプリを受賞しました。一地方企業が始めた取り組みに21もの自治体が加わり、さらにJR西日本さんとのワンチームでここまできたことは皆さんのご協力とともにスタッフの皆さんの知恵と努力の賜物でしょう。

昨年も本当にすべての部門、ユニットで素晴らしい事業が営まれ、数多くのトピックスが生まれました。各部門、各ユニットのトピックスは巻末に一括して記載してありますから、ご参照ください。

今年の経営方針

昨年の経営方針は、
1.モラルアップ、エンゲージメントアップ!
2.より良く働き、より良く生きよう!
でした。

日本では失われた20年で夢を忘れた民になったのか、やる気のある社員が上場企業全体でも6%しかおらず、なんとアメリカの32%に比して1/5以下です。さらに、やる気のない上に会社に悪さをする社員が24%あり、中国の19%より文句言いが多く、やる気のない社員が70%とは、日本は情けない状況となってきました。両備グループはお蔭さまで現場のモラルは「忠恕=真心からの思いやり」の取り組みで平均より4倍以上のやる気がある組織だといえますが、もっともっとやる気をあげていかなくては世界との競争に伍して勝ち抜いていくことはできません。

ここ数年、「働き方改革」が叫ばれていますが、「働けない改革」にならないように「より良く働き、より良く生きよう」で活き活きと働き、生きている喜びを実感できるように自らが努力することが大事です。幸せは他人が与えてくれるものではなく、自らが創り出すもので他力本願では「社員の幸せ」にはなりません

今年の経営方針は、
一、一流を目指し、次代を創る
一、明るい職場でワンチーム!
です。

一流を目指し、次代を創る

一流とは、「心の一流」を目指すということです。本当の一流とは上場しているとか大会社ということではなく、仕事の量と質においてその業界では一目おかれるトップクラスを目指すことです。

社員一人ひとりの行動が「忠恕=真心からの思いやり」を基に行なわれることで、仕事と社員が思いやりで化学変化を起こして、人に優しい温かい価値が生まれてきています。両備グループは心を込めた仕事の量と質において一流になるように事業を進めていきます。

まず、
第一に安全、安心において一流になることです。
業界屈指の安全、安心と、セキュリティ上でも万全を目指さなくてはなりません。両備グループはお客様の命や社会の生命線である暮らしや情報の仕事に携わる重要な仕事に特化しています。どの分野も個人のヒューマンエラーで安全、安心が脅かされており、今回の法改正で交通関係は「ながら運転」が厳しくなり、「両備交通三悪」で飲酒や酒気帯び、スマホとバック事故を重点にこの3月まで徹底的に意識改革して安全運転に専念できる体質を創ります。

「ながら運転」での事故は1回で免許停止となり、その上、懲役刑(6カ月以下)の重大罰となります。前方・周囲を見ないで走る恐ろしさを知ってください。

ICT部門もくらしづくりやまちづくりの部門も、どんな危険が潜んでいるか危険予知をシッカリして安全、安心、セキュリティの一流を目指してください。

第二にサービスの一流では、「忠恕=真心からの思いやり」で一味も、二味も違った心のサービスで「流石に両備!」といわれるように一流を目指します

第三に生産性の一流ですが、先進諸国中労働生産性は最低で、これが企業の大問題です。なんと三次産業の労働生産性はアメリカを100として日本は31で、アメリカ人の1/3しか稼ぎがありません。低価格の競争が低賃金を生み、時間給や年功給だけで評価する仕組みが社員のやる気を引き出せないで生産性の向上を阻んでいます。この改善方法が「正直者が得をする」両備型の「能力主義的安心雇用への転換」で、まずそれぞれの企業でベンチマークにする国内大手に匹敵する生産性を確保して、社員一人ひとりが「一流の働きだね!」と言っていただけるように頑張ります。もちろん、大手並みの生産性なら賃金、労働条件も大手並みにしていくことが「能力主義的安心雇用」の基本です。幹部の皆さんは社員を一流に育てることが重要な任務の一つだとしっかり認識してください。

岡山や日本全国、そしてベトナム、タイ、ラオス、ミャンマーにわたり約1万人の素晴らしい人財が集まり、プロ中のプロと言われるように、生産性をあげながら“思いやり”で「心の一流」を目指して次代を創っていきます

明るい職場でワンチーム

「働き方改革」が全国的に叫ばれていますが、大事なことは如何に明るく楽しい職場の雰囲気を作って「仕事の喜び」を感じられるようにするかです。嫌々仕事をしても少しも楽しくありませんし、人生のハリも生き甲斐もありません。モラルアップ、エンゲージメントアップで、自らの仕事に誇りをもって毎日仕事をすればこんなに楽しいことはありません。

「社員の幸せ」に日々大事なことは「明るい職場」つくりです。明るい職場をつくるにはどうするかです。特に交通系の職場ではちゃんとやって当たり前で、褒められるよりは叱られることが多くなる傾向があります。今までに表彰制度や決算賞与、職場ではトップランナー制度、サプライズプレゼントなどいろいろな取り組みをしていますが、更に日々が明るくなる取り組みはないかと探していました。昨年サルボ両備が取り入れている「ほめ達」に効果があるのではないかと思います。「お互いに褒め合う文化」「褒めて育てる文化」が大事だと思っています。今年はこの「ほめ達」を一つの参考に、全社的に褒める文化を職場に築いていきたいと思います。

昨年は「ラグビーワールドカップ2019」での日本チームの活躍で日本中がわきました。
私もにわかラグビーファンですが、日本戦のすべての試合をテレビで観戦し、感動しました。「ONE for all, ALL for one:一人はみんなのために、みんなは一人のために」というラグビーの言葉が有名ですが、まさしくこれがチームプレーの原点です。チームプレーは運動競技に限ったことではなく、皆さんの仕事もみんなが支えてくれているからできるのですし、皆さんも社員一人ひとりがみんなのために、家庭のために、自分のためにと頑張ってくれているからできるのです。
職場ではいろいろなことがあるでしょうが、ぜひこのフェアプレーの精神で、職場でワンチームを創って、毎日が明るく楽しい仕事になるように一人ひとりが心に誓っていただきたいと思います。

両備グループの仕事は「4部門+社会貢献部門」で、ともに社会にとって、人々の生活にとって欠くべからざる大事な仕事をしています。社員の皆さんが人生設計できるのは、目先の仕事ではなく、人類がある限り必要な長期的な仕事をしているからです。中には毎日毎日、同じ仕事をして面白くないなと思っている人もいるでしょうが、単純に繰り返しているように見える仕事でも、毎日愚直に、マンネリにならず働くことはとても大事なことです。両備グループは、社会のため、お客様のために仕事をして、結果として「社員の幸せ」になることが目的なのです。

両備グループの黄金期へ向けて

21世紀の両備グループの経営の方向性を「歩いて楽しいまちづくり」とし、サブテーマに「子どもも楽しいまちづくり」として、100周年後の10年間の経営のテーマを「安全、安心、エコで健康」としてきました。

安全、安心は企業の生命を制する問題となり、トランスポーテーションやICT、くらしづくり、まちづくりの各部門でSSP-UP運動などで取り組んでいますが、うっかりミスなどのヒューマンエラーという壁をどう打ち破るかが大問題で、個人個人の「自己責任」の意識改革の範疇に入ってきました。

ライン作業のように仕事中に自分の判断で持ち場から離れられない仕事と違って、両備グループの多くの仕事はバスやトラック、タクシー、営業職のように会社を出たらまさに「しゃちょう=車長」で「自分で自分を管理」する「自己管理」型の裁量労働の仕事が多いのです。

従って、「休憩」や「仮眠」「食事」を取る等の労働時間の適切な管理は「労働の自己管理」であり、「安全の自己管理」「健康の自己管理」などもすべて、しっかり自分の責任で法律や諸規則を守って自己管理していくことがルールです。この労使の信頼関係の上に成り立っている自分の裁量を、規則、規則でがんじがらめにしてしまうとやりがいや生きがいまでも失いかねない堅苦しい職場になってしまいます。両備グループの管理の基本は「自己管理」であることを自覚し、当然その決まりを守れなかったときは上司に報告し、承認を受けなければなりません。

110周年以降の経営のテーマは、「AI、IoT、ロボット化」です。

人財養成の両備大学の経営管理基礎講座、両備大学院のJBやWJBに加え、30歳以下のU30、25歳以下のU25からは素晴らしい人財が育っています。

RQC活動では一昨年にグループ内発表した岡山交通が、全日本選抜QCサークル大会で審査員特別賞を受賞するまで成長し、昨年は玉野の若手のバス乗務担当社員がエンゲージメントアップに向けた素晴らしい取り組みを実施し、感心しました。U25ではICT部門も積極的にグループ教育に一緒に加わるようになり、ストアのメンバーがお客様から商品の場所を聞かれることの問題を聞いて、ICTメンバーの一人が簡単なソフトを活用してタブレットで分かる方法を数カ月で完成させるなど、現場のソリューションに大きな化学変化が起こっています。

両備グループは、一般的には鉄道やバスなどの交通系企業に分類されていますが、他の交通系企業との大きな差異は西日本有数のICT部門を持っていることです。そして交通や観光のみならず生活に直結した「くらしづくり」や「まちづくり」に加えて社会貢献部門とこんなに幅広い事業展開は全国では非常に珍しい企業グループであることが強みです。今まではICT部門と交通や生活関連の部門は異質の事業のように少し溝がありましたが、この溝が取れてアイデアやテーマを交通や生活系のリアルな仕事から見出してICT部門がソリューションすることで現場は効率化し、生産性が上がり、ICT部門は開発したソフトの売り先である出口も確保できるという相乗効果でどんどん新しい事業が生まれてくる期待があります。

IoTは、製造業のテーマとして21世紀の世の中を変えていくと言われていますが、世の中は「モノ」から「コト」へで、サービス業や労働集約型産業などの「コト」をAIやIoT、ロボット化することで知的サービス業や知的労働産業に変わっていきます。ぼやぼやしているとロボットに仕事を奪われてしまいますが、これからはロボットなどにはできない、人間しかできない仕事に価値が生まれてくるのです。ロボットにはできない「忠恕=真心からの思いやり」の心で両備グループの各部門がAI、IoT化し、単純労働はロボット化することで思いもよらない仕事に化学変化が生まれ、新しい事業となる大きな可能性を持っています。私はこれらの変化と世界への進出で両備グループは110周年からの10年間が両備グループの「黄金期」になると思っています。

心豊かで多彩、多能な皆さんとともに黄金期を実現できるようにオペレーションしていきます。

2019年のトピックス一覧

トランスポーテーション&トラベル部門
1月 和歌山電鐵 「ニタマ駅長」と「よんたま駅長」ダブル昇格
2月 両備バス 玉野市「シーバス」、渋川特急ダブルお披露目
2月 総社両備タクシー 新社屋完成!
3月 和歌山電鐵 「おかでんチャギントン」ラッピング電車登場
3月 岡山電気軌道 「おかでんチャギントン電車」営業開始
3月 岡山電気軌道 「おかでんチャギントンバス」運行開始
4月 和歌山電鐵 「うめ星電車」に「梅にうぐいす」のマスコット設置
5月 両備フェリー「おりんぴあどりーむ せと」就航、令和元年記念 初日の出クルーズ(5月1日)運航
6月 岡山交通 本社 起工式(岡山交通)
7月 岡山電気軌道 「尾上線」バス路線延伸
8月 地域公共交通総合研究所 第6回シンポジウムin熊本 開催
10月 総社両備タクシーと中国交通が岡山交通へ合併
10月 ツーリズムEXPOジャパンで両備グループが21の自治体とJR西日本と共同出展した「ワンダフルセトウチ+DISCOVER WEST連携協議会」が初のグランプリ獲得

ICT部門
1月 両備システムズ ラオスに現地法人(AMZ社)とRyobi Laoを設立
2月 リオス(現両備システムズ) 粗大ゴミ収集支援システムが首都圏で好調、大規模自治体4団体を受注
3月 シンク・両備システムズ 新商品「THINK CreMaS Cloud」リリース、自治体2団体で稼働
4月 両備システムズ・リオス(現両備システムズ)・リョービシステムサービス(同) 自治体向けプレミアム商品券事務代行業務にて、大規模自治体から受注
4月 両備システムズ 「大人の風しん対策」システム改修・BPOで多くの自治体から受注
7月 リオス(現両備システムズ) バス、タクシー、トラック業界に続き、航空業界でも点呼・健康管理システムを受注
7月 両備システムズ 大手医療機関から病院情報システムを受注
7月 両備システムズ・リョービシステムサービス(現両備システムズ) AIを活用した自治体向けの保育園入園選考システムの販売を開始し2団体受注
8月 両備システムズ 名古屋支店 移転
9月 両備システムズ おかやまクラウドセンター第2棟 起工
10月 両備システムズ 富士通からTop Technology Company 1位を受賞
10月 両備システムズを存続会社とするICT部門6社の合併を発表(2020年1月1日合併)
11月 両備システムソリューションズ(現両備システムズ) 会員管理ATOMS-Vの販売が好調、140ユーザー、670店舗にて稼働
12月 両備システムイノベーションズ(現両備システムズ) 学校向け校務支援システムの販売が好調、小倉営業所開設

くらしづくり部門
「くるまユニット」
2月 岡山三菱ふそう自動車販売 2018年 三菱ふそう優秀販売会社表彰で第1位を獲得
3月 両備テクノカンパニー 新幹線通路用走行台車を受注・納品
5月 ソレックスカンパニー 日本初の公道対応農業トラクター用トレーラーを開発・お披露目
11月 両備テクノカンパニー 倉敷工場が、中国運輸局 岡山運輸支局認定「環境に優しい自動車整備事業場等優良事業場」を受賞
11月 岡山三菱ふそう自動車販売 2019年度三菱ふそう カスタマーサービスコンテストで、岡山東支店の武田さんが全国第1位を受賞
「STARユニット」
4月 両備リソラ 50周年の節目となり、次の50年へ向けて礎コラムをSTARユニットに迎えたシナジー効果による事業拡大
6月 AAコーポレーションジャパン 九州の4つ星クラスホテルの案件の納品完了
8月 礎コラム 東京・汐留の大手企業本社ビル等の大型案件の工事施工
8月 トーキョーリョービ 竹久夢二生誕135年の巡回展にあわせて夢二グッズを製作
「生活ユニット」
2月 両備ストアカンパニー 「森のマルシェ柳川店」オープン
3月 両備スポーツセンターカンパニー 歩く健康をサポートする「アルクラックス」オープン
3月 サルボ両備 安佐SAの梶谷さんが西日本高速道路主催 接客コンテストでグリンプリを受賞
4月 両備エネシス 2019年4月から車検・車販・保険の粗利益を3年間で1億円、上積みさせる計画でカーテンダー課を新設
10月 サルボ両備 岡山高島屋ファミリーローズに「クラフトビアホール」をオープン

まちづくり部門
1月 まちづくりカンパニー 「杜の街づくりプロジェクト」起工
2月 まちづくりカンパニー ハレクロス・グレースタワーⅢ 竣工
5月 まちづくりカンパニー 「杜の街グレース」のまちづくりオフィスビル棟起工
10月 両備不動産広島カンパニー 「ザ・グレース翠町」起工

社会貢献部門
8月 夢二郷土美術館 生誕135年「竹久夢二展」開幕
9月(岡山藩郡代 津田永忠顕彰会が協力) 倉安川・百間川かんがい排水施設群が「世界かんがい施設遺産」として認定・登録
10月 両備檉園(ていえん)記念財団 第41回助成金贈呈式で助成総額が3億円を超え、新産業創出に係わる奨励賞を2回目の授賞