2019年入社式 式辞
たくましい社会人になろう!

両備グループ
代表 兼CEO 小嶋光信

両備グループへのご入社おめでとうございます!皆さんを心から歓迎致します。

今日は平成最後の入社式で、「令和」という新しい元号の決まった最初の入社式でもあり、キッと一生忘れられない入社式となるでしょう。

ところで、今日発表された元号ですが、ひょっとすると、両備グループの経営理念の「忠恕」のどちらかの文字が入るのではないかと、ワクワクしていましたが、「令和」に決まりました。

天皇陛下が50歳の皇太子さま時代の記者会見で「好きな言葉は何ですか?」との質問に「忠恕です。人を思いやることが大事です。」とお答えになっているのでもしや?と思っていたのです。

「忠恕」は、今から109年前、両備グループの母なる西大寺鉄道を創立した松田与三郎さんが大事にしていた言葉であり、両備グループの経営理念ですから、そのことを誇らしく思うとともに、ますます「思いやり」を大事にしたいと思っています。

「平成」は、「外平らかにして内成る」という「史記」の言葉から作られ、「国の内外、天地とも平和が達成される」という願いを込めた元号でした。

しかし、現実は日本内ではバブル崩壊後20年の失われた時代という政権取りの時代で、経済が停滞した時代であり、阪神淡路大震災や東日本大震災、逆走台風や西日本豪雨での大水害などの天変地異の激しい時代でもありました。

日本国外でも世界的な金融恐慌や宗教戦争を思わせるテロなどの新しい世界リスクで、とても内も外も天も地も平和な時代とは言い難い時代でした。

国書から初めて選ばれた「令和」という新元号を聞いて、すぐに聖徳太子様の「和をもって貴しとなす」を思い浮かべました。内外共に厳しい時代であった「平成」を越え、真に新しい希望と、世界が穏やかさに満ちた平和な時代になることを祈ります。

両備グループは経済の停滞期にも伸びる!

両備グループはこんな困難な「平成」の時代の2010年に創立100周年を迎え、飛躍的に発展することができました。なぜ、両備グループが困難な時代にも発展できたのか?

それは、経営理念の「忠恕=真心からの思いやり」を実践したからです。

私がトップになった1999年以後、2000年、2002年に交通業での規制緩和が行なわれ、全国の名だたるバス会社や地方鉄道業者など34社が経営破綻し、再生されていきました。

そんな時、一本のリース会社の信用照会の電話が「このままの両備グループではいけない」と思うきっかけになりました。

「両備さんはバス会社ですね?大丈夫ですか?」という、本来、銀行から信用照会するものをその企業のトップに直接電話してきたのです。

バスや地方鉄道は潰れるという社会的通念がここまで浸透してきていることに驚きを感じました。

そこで、バス事業の立て直しだけではなく、両備グループの経営の足枷にもなっていた厚生年金基金や健康保険組合の赤字原因を解決し、企業の業績の立て直しを図るとともに、両備バスと両備運輸を合併させて両備ホールディングスを創設し、「忠恕=真心からの思いやり」を旗印に、首都圏やアジアへと積極的に進出展開してきました。

こうして今日のトランスポーテーション&トラベル部門、ICT部門、くらしづくり部門、まちづくり部門、社会貢献部門の5部門で社員総数9400人、50社を超える企業グループへと成長できたともいえます。

実は、「ピンチはいつでもチャンス」なのです。

日本人は世界中が失われた時代だと思っていたのですが、日本以外の世界の国々は先進国も経済は伸びていたのです。

「忠恕=真心からの思いやり」を経営理念にしている両備グループは、創立以来、どんなに苦しくてもリストラはせずに基本的に社員の雇用を守り、社員の生活を維持し、家庭をつくり、産み育める正社員主義をとってきたのです。

縮み志向の安易なリストラではなく、余った人材を活用する積極経営で事業領域や、事業の拡大を図ったことが大きな原動力になりました。

私は破綻した中国バスを再建しましたが、昔は3000人もの大会社だったのが、引き受けた時はリストラの連続で10分の1の300人規模の会社になっていました。

一方、西大寺鉄道を廃業した両備バスは40数名の全社員をリストラせず、今日9400人の会社へと成長したのです。

一般的なマネージメントでは、社員が余ればリストラが常識ですが、両備グループは人こそが宝であり、「社員の幸せ」を考えた結果がむしろ企業を大きくしたと言えます。

社会人とは何か?

ところで皆さんは、今日から社会人ですが、「社会人」とはなんだか分かりますか?

実は、この社会人という言葉は日本にしかなく、英語では「worker=労働者」です。そして欧米では「賃金は労働の対価であり、忍耐の対価」だという考え方をしています。

ところが日本では、欧米の自分のために働くという考え方に対して、「はた=端、人、側」 を「らく=楽」にすることが「はたらく=働く」の意味であり、日本の「社会人」には、社会の一員になって「はた=人」を「楽」にするという意味が込められているのです。

欧米型のように我慢してイヤイヤ働いてお給料をいただくなんて嫌ですよね。

私は働くことが嫌だと思ったことはありません。なぜなら、自分で何をしたいということがはっきりしているからです。

私たちは経済というところで働く社会人ですが、経済とは「経世済民」から創られた言葉で「経世」とは「世を収める」、「済民」は「民の苦しみを救う」という意味で、まさに「はたらく=はたを楽にする」という意味です。

嫌々働いていると思うと「働かされ感」がありますが、みんなを楽にしてあげようと思って働くと、自ら働いてる感がして楽しくなってくるし、仕事の目的ができていろいろキャリアアップしていこうというやる気が出てきます。

また、「働く」は人偏に動くと書きますが、人が動いても働いたことにはなリません。「端=人や社会のために動けば」、「はたらく=働く」ということにはなるのです。

猫も働く両備グループ

今年完成したグレースタワーⅢの4階には、水戸岡鋭治さんがデザインしたポケットパークがあり、和歌山の「たま神社」が分社されて子どもたちが健やかに育つよう見守ってくれています。

両備グループには大明神になった「たま駅長」の他に「ニタマ」「よんたま」という和歌山電鐵の駅長2匹、岡電の「SUNたまたま」、おかでんミュージアムの「美宇ちゃん」と夢二郷土美術館のお庭番「黑の助」、ベトナム ホーチミン市の両備トランスポートの物流倉庫に3匹の計8匹の猫社員が働いています。

社会人と言っても具体的に人間では分かりにくいですが、ある研究者がたま駅長の働いている姿を見て、「任せれば猫も働く両備グループ」と全国に紹介してくれました。

親猫は、子猫を可愛がって手塩にかけて守り育てますが、1年も経たないうちに親猫は鬼のようになって、咬んだり蹴ったりして子猫を縄張りから追い出します。追い出された子猫は、親猫を慕ってニャーニャー鳴いて親の近くに戻ろうとしますが、親猫はさらに激しく威嚇して追い出します。ついに、親猫に嫌われたとトボトボと去って行って、お腹が空いて、お腹が空いて死にそうになって自ら餌を取った時に初めて猫は一人前の猫になるのです。自から餌を取らず、与えてもらう飼い猫は、一生、成猫にはなれないそうです。

自ら稼いで自分の生活を支えることが一人前の成猫、即ち「社会人」になったということです。さて、皆さんは成猫になれますか?

ロボットやAI、IoTの時代は働く意味が変わる

そして、この働くということがロボットやAI、IoTの時代になると様変わりしてきます。

大昔の手塚治虫さんの漫画ではありませんが、これからは人間だけでなく、多くの仕事をロボットが担っていくことになります。人間のやっている仕事の40%以上はロボットに置き換わっていくとも言われています。

現在、自動運転の車の実用化がすぐそこまで来ています。製造業では既に多くのロボットが働いていますが、これからはあらゆる産業がロボット化されていくでしょう。今は人手不足と言っていますが、これからはどんどんロボットに置き換わって人余り時代になるかもしれません。

じゃあ、ロボット時代の我々の仕事を考えてみなくてはなりません。これからの時代は定型的な反復仕事や口だけの仕事、移動だけの運転の仕事やサービス産業の仕事の多くはロボットができるようになるでしょう。

ロボットは文句も言いませんし、365日24時間働いてくれるし、おまけにミスや交通事故をする可能性が限りなく低く、お給料も基本的に電気代だけです。

文句も言わず、ミスもせずしっかり働いてくれて、おまけにお給料もほとんど要らないロボット時代に、一体、人間は何をしたら良いのか?です。皆さんはそんなロボット時代を生き抜いていく社員になるのですが、このロボットたちに勝てますか?

一口に「はたらく」と言っていますが、ただ動いているだけの「動く(はたらく)」もあるし、体は動かず口だけが動いている「口動く(はたらく)」という人もいる。人間としてちゃんと「働く」という人もいますが、ロボット時代の人間の仕事は、人偏に考えると書いて「人考く(はたらく)」という時代になるでしょう。

実は、両備グループの100周年を機にグループの経営理念を「忠恕=真心からの思いやり」としたのは、このロボット時代を見据えていたのです。ロボット時代では、過去に経験のある人間の仕事は全てインプットさえすれば間違いなく働くようになります。既に囲碁や将棋では人間がロボットに敵わなくなっています。

ロボットができない仕事は、
1.人を思いやること
2.考えて仕事をすること
3.先手をとること
ということで、両備グループでは、「心ある多能工」にならねば21世紀は生き抜いていけないと分析しています。それで、経営理念を「忠恕=真心からの思いやり」としました。

ですから、今後の働くということは、「人にしかできない仕事」をするということです。ロボットにできない心を使って、考えて働くということで、一字で書けば「人偏に考える」=「働く」ということにならなければなりません。

そして、一つのことしかできないと、これからの長い人生を生き抜いていけないでしょう。

例えば将棋ロボットに敵わなくても、次にそのロボットとオセロゲームで勝負すればロボットくんは訳が分からなくて動かないでしょう。多くのロボットは単能工なので、人間は多能工化することが21世紀を生き抜く秘訣だと思います。

両備グループには、「社員の幸せ=健康×能力×やる気+夢」という「社員の幸せの方程式」があります。しっかり多能工を育てていって、やる気のある人は、21世紀を人として幸せに生き抜いていけるように、キャリアアップしていけるように教育しますから、教育の意味をしっかり理解して楽しみにいろいろ学んでください。

人間集約産業に取り組む

両備グループの経営方針は明白です。両備グループは今後、「人間にしかできない仕事をしよう!」という決意のもとに、労働集約産業ではない、「人間集約産業」に取り組んでいきます。

どうすればお客様が喜ばれるかを両備グループ9400人の社員が一丸になって考える…すると、日本一素晴らしい企業グループになります。思いやりの心がCSを磨くのです。そして、お客様がそれを認めてくださったら、そこに付加価値が生まれるのです。

両備グループは、基本的に長期雇用で働く皆さんの生活設計ができるように心がけていますから、不易流行で、流行りものの事業にはあまりスタンスはおかず、社会性の高い、市民の暮らしに直結した長期的な産業へとシフトしています。

たくましい社会人になろう!

今年の経営理念は、
一、モラルアップ、エンゲージメントアップ!
一、より良く働き、より良く生きよう!
です。

誰しも社会人になって幸せな人生を送りたいと思っていると思います。

しかし、ごく一部の社会にはパワハラやセクハラがあることも事実で、それが会社内でどれくらいの頻度となっているかは別として、幸いに両備グループでは事件になるようなパワハラもセクハラも起こっていません。

社会があまりにマイナス思考で、必要以上にこれらの点にナーバスになり過ぎているのではと懸念しています。

アンケート調査をした際、「上司が仕事を指示した」ことはパワハラかという設問に若い社員がパワハラだと答えているのにはビックリしました。

仕事をする以上、必ず上司は「何をするように」という指示を必ずするのであって、しなければ企業は成り立ちません。パワハラをあまりに拡大解釈や勘違いしているケースも多々見受けられます。

もちろん、両備グループも個人が精神的にも肉体的にも耐えられないようなパワハラやセクハラを禁じていますし、社員は「思いやり」を重視していますから、みんなで働きやすい職場となるよう努力をしています。しかし、あまりに打たれ弱い社員に育ってしまうと、お客様へのお仕事や、海外で使いものにならないひ弱な社員になってしまいます。

「打たれ強い逞しさ」も身に着けて、免疫体質にしておくことが「より良く働き」、そして「より良く生きる」基礎になると思います。

ちょっと叱られたらパワハラだなんて言っていると、黙って気持ちよく働いてくれるロボットにどんどん負けてしまい、会社はロボット化してしまい、人間の働くところがなくなっていってしまいます。

退職率が低いことが強み

両備グループは、全国でも新入社員の「退職率が低くて素晴らしい」と誉めていただけるようになりました。

しかし、全国水準では大卒で約3割、高卒で4割も辞めていますが、両備グループでは全国の半分の2割で、新入社員の定着率が高いのです。

以前は、両備グループでも新入社員の退職率が高くて困っていたのですが、毎年、皆さんにこの入社式で、私とする3つのコミットメント(=約束)を守ってくださいと言うようにしたら、退職者が減りました。これからも全国にも誇れる定着率を目指していきます。

また、社員の幸せに向けて、最近は、厚生労働省からワークライフバランスと育児支援、男性の育児休業取得に積極的な企業として、「くるみん」認定を受けました。岡山市の健康経営ホワイトプラス企業、経済産業省の健康経営500の認定も受けています。

会長との3つの約束

新入社員の定着率が上がった一つの要因は、私と皆さんとの3つの約束の実行です。

第一の約束は、「思いやりを持つ」ということです。

私は皆さんに「忠恕=真心からの思いやり」の心が持てそうになかったら、両備グループを希望しない方が良いですよ、とはっきり申し上げていますし、最近では就業規則にも盛り込まれて、理念だけでなく、雇用上の約束という強いものになっています。

「思いやりとは相手の立場で考えること」…忠恕という理念は、私が20年前、両備グループの代表になった際、あまりに企業理念が幹部・社員に浸透していないので、何とか一言で表現できる言葉はないかと考えあぐねていた時に、頭に閃いた2文字でした。

この言葉を調べてみると、両備グループの創業者である松田与三郎翁の戒名の一部でした。その戒名は、お坊さんではなく、与三郎翁が自ら思いを込めて創られたもので、「天海院忠恕一貫居士」と言います。平たく読めば、「空よりも高く、海よりも深く、真心からの思いやりを一生貫いた男です」との意で、まさに両備グループの理念をダビンチコードのように刷り込んであったのです。

先程もお話ししたように、両備グループが100年以上に亘り、今のように成長できたのも、忠恕の心で、社員を逞しく育てて、決して安易にリストラしなかったからなのです。

つまり、人材が余った時、他社では大抵リストラをしますが、両備グループでは100年以上、余剰人材を適材適所で活用するよう図ってきたため、不況の時にこそ大きくなったのです。

両備グループが、5つの事業コアを有する約50社、社員総数9400人を超える企業グループに成長したのは、まさに「忠恕の発揮」だったのです。

第二の約束は、「3年の我慢」です。

「桃栗三年、柿八年」、また、「石の上にも三年」と言うように、初心を忘れず、いろいろなことがあっても3年は辛抱してください。その代わり、両備グループは必ず3年で一人前になるように皆さんを育てあげます。

一般的に入社後2~3年間で30~40%も離職する原因は、
1. 些細なことで叱られた
2. 思ったような仕事でなく、やる気を失った
3. 上司や同僚と良い人間関係が結べない
ということのようです。もちろん、不安もあるし、失敗して叱られることもあるでしょうが、3年は叱られることが仕事だと思ってください。

最初の危機は5月の連休です。今年は10連休ですから、しっかり乗り切ってください。

次は夏のお盆休みです。久しぶりに仲間に会って自慢話等を聞くと、友人の仕事が「隣のバラは赤い」で凄く魅力的で頑張っているように感じて、自分は一体何だとブルーな気持ちになってしまうのです。これを5月病と言います。この5月病を乗り切ることが第一関門です。

五日市剛さんという詩人が、「失敗と書いて経験と読む」と言っていますが、まさにその通りです。失敗して叱られたら、「有難うございました」と言える逞しさを持ってください。そこから本当の仕事が見えるのです。その前に辞めてしまうと、人生がいつもリセットされ、いつも振り出しに逆戻りとなり、進歩がなくなります。

仕事は単純なことから学びますが、基礎・基本は仕事の土台で、まずは、単純な基本の仕事をしっかり身につけてもらわなくてはなりません。

社会人の一番大事なことは、職場の人間関係を築くことで、まず挨拶から始めよ!です。この挨拶という字に答えが込められています。挨拶とは、心を開くという意味で、まず自分から心を開いて飛び込まねば、挨拶にはなりません。心構えさえしっかりしていたら、仕事は楽しいものです。

両備グループの場合は、これから一年間、皆さん方のお兄さん、お姉さん的な先輩が指導員として、日々サポートしてくれます。皆さんも環境が変わって、仕事等で悩むことがあるでしょうが、指導員となった先輩がそれを親身に聞いてくれますので、何でも隠し事をせずに相談してください。必ず皆さんに正しい方向と対処の仕方を教えてくれるでしょう。

第三の約束は、「ご両親やご家族、先生方への感謝の念の発揮」です。

まず皆さんに思いやりを実践してもらいたいのは、皆さんをここまで育ててくださったご両親やご家族、先生方にお礼を言って欲しいということです。

今日、帰ってから、また電話でもメールでもラインでも結構ですから、「今日までありがとうございました。これから社会人として頑張ってやっていきますから、安心してください」と感謝の気持ちを伝えてもらいたいのです。

両備グループでは、まず「良き社員」の前に、「良き息子」であり「良き娘」であって欲しいと思います。

今までお世話になったご両親にお礼の言葉が言えなければ、見も知らぬお客様に思いやりの気持ちなど持てるはずがありません。

皆さんは失われた20年がやっと終わり、雇用環境の良い時期に就活をやってきた恵まれた世代です。しかし、この「売り手市場」時代で就職した社員は、実は離職が多くなる傾向、すなわち、どこでも勤められるのではないかという錯覚から、甘い考えが芽生えやすいので要注意の世代です。

5月病にならないように気持ちを引き締めてください。

両備グループの原動力

両備グループは、「忠恕」を経営理念に、社会への思いやりとして「社会正義」、お客様への思いやりとして「お客様第一」、社員への思いやりとして「社員の幸せ」を経営方針として企業活動をしています。

両備グループの行動規範は「知行合一(良いと思うことは必ず実行する)」「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」です。

経営理念の「忠恕」と、行動規範の「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」が両備グループの原動力です。

良いと思っても実行しなければ何の役にも立たないのです。両備グループに口だけ社員は要りません。

例えば、皆さんの就活の最中の昨年2月に両備バス、岡電バスの31路線の廃止届を提出したニュースを聞いて、皆さんもビックリしたことでしょう。

しかし、この問題提起で、日本中の地域公共交通の苦境の原因を社会に明らかにして、「少子高齢化の地域では競争と路線維持は両立しない」という国の認識を引き出し、国に対策委員会ができました。

18年もパッチワークで規制緩和を遵守してきた国が、今後、果たして本気で直すかが問題ですが、我々には心を同じくする地域活動家や、心ある政治家の皆さんが与野党ともに取り組む意向を示してくれていますし、国交省の中にも多くの優れた国を思う官僚がいますし、必ず制度化して地域公共交通を全国的に救いたいと思っています。

「過ちて直さざる、それを過ちという」…小嶋さん、何の得にもならないことをやらなくてもと思われるでしょうが、これが「忠恕の両備魂」なのです。損得ではなく、社会のために頑張っている両備グループの姿をよく見ておいてください。自分さえ良ければ良いという考えでは忠恕にはなりません。

良いと思っても「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」には「覚悟」がいるのです。

21世紀の仕事の合言葉

両備グループが世界でも通用するようになったのは、経営判断のスピードを身につけたからです。両備グループの21世紀の仕事の合言葉は「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」という行動規範です。

一昨年はベトナムのホーチミン市に4温度帯の最新鋭の大型冷凍冷蔵倉庫が完成しました。また、昨年はミャンマーのヤンゴン市でも9温度帯の大型倉庫を竣工しました。コールドチェーンを主体に、東南アジアでの事業構築をスピーディにしていきます。

今年引退したメジャーリーグのイチロー選手は、「挑戦とは出来るからやるのでなく、やりたいことをやることだ」と言っています。

成功の秘訣は、「やるか、やらないか」で、「すぐやる!必ずやる!出来るまでやる!」ことができるかどうかであり、また反対に「すぐやらないことが大失敗の原因」になっているケースが多いのです。

経営テーマ

事業を進めていくためには、時代、時代で経営テーマが必要です。両備グループは「忠恕=真心からの思いやり」を経営理念に、経営方針として「社会正義」「お客様第一」「社員の幸せ」を掲げ、社会にお役に立つ仕事を事業の方向性としています。

そして、経営テーマは、「安全、安心、エコで健康」と「AI、IoT、ロボット化」で、現状の事業の再編成と活性化を進めています。

特に、全ての事業において安全を最優先にして、「安全こそがブランド」と決意していますので、最近は「ご安全に!」が両備グループの合言葉です。

両備グループは、この経営理念と経営方針、経営テーマに沿って、社会や地域の問題解決を図る提案型企業として成長していっているのです。

CMソングで「まちは青春、花盛り~♪」と歌っていますが、花が咲いただけでなく、次世代の実をたくさんつけ始めています。

両備の経営の特色

両備グループの伝統でもあり、個性でもある信託経営や、労使‘強存強栄’の思想と、新しく構築してきた能力主義的安心雇用、そして、グループの各種委員会やグループ監査本部の設置等の経営システムの整備も進め、徐々に大手に負けない企業体質を作り上げていっています。

今日ここに、皆さんの入社を祝って集まってくれているグループ各社、各カンパニーのCOOの皆さんに、経営の執行を全面的に任せて、全社独立採算で自立しているため、ほとんど全ての会社が黒字です。

それぞれの企業とのグループシナジーの発揮が、逞しい成長を実現しているのです。

企業即教育体

両備グループは教育産業かと言われるくらい、色々な教育を実施しています。

両備グループヒューマントレジャーセンター(HTC)、両備グループSSP-UPセンターと両備健康づくりセンターを中心に各社の専門教育で、人間として、社会人として、専門性のある社員として教育していきます。

新入社員教育から先輩が指導員としてついてくれ、仕事のみならず人生まで同じ目線で相談にのってくれます。

人のやらない夢を実現しよう!

これからの社会は当たり前のことができずに、人がやっていることだけをやっていては「より良く働く」ことにはならないでしょう。

人生はたったの一回、さてこれをどうやって生きるかです。失われた、あまりにも長かった「20年」で多くの日本人が夢を失い、夢を持つことをためらい、大きな夢を語ることが恥ずかしく、実現可能な小さな夢を追い求めるというような風潮になってしまいました。

そして、世界のエンゲージメントランキングで日本は何と、世界139カ国中132番目にしかランクされない国となってしまいました。

国会では揚げ足取りが蔓延し、国会やマスコミでは些細な重箱の隅を突っついて大騒ぎをし、ネットでは匿名で他人を攻撃する、世界で最もやる気のない上に、働いてお給料をもらっている会社にも悪さをする社員が4分の1もいるというとんでもない国になってしまいました。

両備グループは、こんな国の呪縛から逃れ、多くの夢を実現していっています。

「小さな幸せ」も大事ですが、どうせ生きるなら夢ぐらい「ワクワクする夢」を持とうではありませんか!

3月には世界で初めてアニメの世界の電車たちが「おかでんチャギントン電車」となって岡山の市内を走り回り始めました。

電車のMOMOやKURO、たま電車やバスのたまバス、SAIBASU(さいバス)やSOLARVE(ソラビ)など楽しい電車やバスを開発してきましたが、その中核になる「おかでんチャギントン電車」が現れて街は一変しました。

この5月には「子どもも楽しいクルーズフェリー」が小豆島航路に登場します。

遊園地に楽しい乗り物があるのは世界中どこにでもありますが、楽しい電車やバス、タクシーがリアルな街や海を走り回る乗り物のテーマパークのような楽しい都市は世界で初めてです。

トランスポーテーション&トラベル部門とまちづくり部門がコラボレーションして「歩いて楽しいまちづくり」の一環で「楽しい乗り物」で「子どもも楽しいまちづくり」を実践しています。

ICT部門はラオスにも進出し、日本で培った情報技術でアジアにチャレンジします。今後、社会のキーポイントはAI、IoT、ロボット化に結びついた輸送とICTです。

くらしづくり部門はトランスポーテーション部門、ICT部門、まちづくり部門と一体になり、新しい暮らしを提案し創り出していきます。

両備グループの幅広い業種に展開した起業力が無限の可能性を秘めています。

皆さんも「夢を持ってもできっこない」と思い込んでいませんか? 実はできると思って実行すればできるし、できないと思った瞬間、できる仕事もできなくなるのです。

私が三毛猫の「たま」を駅長にした時、「猫に駅長なんかできっこない」「子どもを引っ掻いたらどうする」「死んだらどうする」とマイナス思考の意見ばかりが聞こえてきました。

しかし、たま駅長は見事に人間にもできない猫駅長を務めて、世界一の働く猫となり、猫社会の復権を世界中で果たしてくれました。猫や犬も大事にする社会が生まれて、多くの捨て犬や捨て猫が助かっています。

今、この「たま大明神」の部下として8匹の猫社員がいます。

一番若手の夢二郷土美術館のお庭番 「黑の助」は、猫にはできないだろうと言われていたお手やお座り、ボール拾いを、遊びながらすぐ覚える利発な猫社員で人気者になっています。

そして、地方の経営者にできっこないと言われた公共交通の再生や、国の法律制定に尽力した結果、新しい法律を創ることができ、多くの地域公共交通を救う基盤が整いつつあります。

両備グループは、会社が儲けることだけが目標ではありません。目的は社会のため、お客様のための仕事を通じて社会に貢献し、その結果として頑張った社員の皆さんが「幸せ」になることなのです。社会や皆さんを幸せにする原資として、まず、事業の収益を上げなくてはいけません。

「夢」という目標を持って、頑張って達成した時に、「できた!」という幸せ感が生まれるのです。

将棋の神様とも言われた大山名人の名台詞で「着眼大局、着手小局」という言葉がありますが、着眼大局、即ち大きな夢や着眼点を持って、できること即ち小局から始めるのが成功の秘訣の一つです。

両備グループの「社員の幸せの方程式(社員の幸せ=健康×能力×やる気+夢)」の「夢」は、目標であり、方向性であり、意識なのです。

昔から「心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」と言います。

夢や目標がない人にはチャンスが見えないのです。人生は一度きり、これから社会人として50年以上あるのだからボツボツやろうと思っている人はいませんか?

「失った時間はもう二度と戻って来ない」のです。夢を持てないロボットたちと違い、皆さんは「夢を実現することが仕事」であり、「夢なくして、していることは作業」です。作業でなく仕事という気持ちを持たなければロボットに勝つことはできません。

「人生を決めるのは皆さん一人一人」なのです。何事にも「本気、根気、やる気」で素晴らしい社会人としての一歩を踏み出してください。

イチローの引退会見の時の言葉が、社会人になった皆さんに贈る最高の言葉だと思います。外国人を社会人と置き換えて聞いてみてください。

「アメリカでは僕は外国人ですから。このことは…外国人になったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることはできたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと、今は思います。だから、辛いこと、しんどいことから逃げたいと思うのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気な時にそれに立ち向かっていく、そのことはすごく人として重要なことなのではないかなと感じています」

今日は皆さんに素晴らしい楽しみをプレゼントします。本邦初演です。みなさんに「両備フレッシュパスポート」を差し上げます。5月の連休中に和歌電や岡電の楽しい電車たち、東京湾御座船や神戸ベイクルーズ、「おりんぴあどりーむせと」をはじめ岡山-土庄航路のフェリーたち、夢二郷土美術館、夢二生家記念館・少年山荘の入館券、ひるぜん塩釜キャンピングヴィレッジやおかやまガーデンの食事券などなど、両備が実現した夢の数々にご家族、友人、恋人とお二人で触れあってみてください。

皆さんも今日から社会人になったことで、しっかり将来の夢と目標を持ち、人の心を慮り、人の痛みが分かる忠恕の心を身に着けて、「夢を実現する逞しい社会人」に育ってください。

両備グループは皆さんの幸せのために、一生懸命サポートし、夢の実現に頑張ります。

両備グループ