両備ホールディングス
会長兼CEO 小嶋光信
岡山市のど真ん中、柳川ロータリーに面した中山下1丁目1番地の再開発事業としてハレクロスタワーが約3年の工期を終え、2019年2月4日に予定通り無事に竣工しました。
支援事業者として両備グループの「岡山まちづくりカンパニー」のグレースタワーⅢと、「両備ストアカンパニー」のミニスーパー「森のマルシェ」と両備ヘルシーケアの有料老人ホームと医療部門が順次事業開始をする体制ができ、柳川交差点にちょっとしたコンパクトシティが誕生します。
両備グループでは、2000年以来、公共交通利用で「歩いて楽しいまちづくり」を提唱し、今後の方向性である中心市街地居住をすすめ、「日本一のまちづくり」を目指しています。
2002年に次世代型LRT「MOMO(モモ)」を開発、投入したのを皮切りに、2004年には空洞化する中心市街地の活性化として「柳川のロータリー」にグレースタワーを建設、出石の小学校跡地の開発、早島ICと総社ICに8万坪規模の物流センターを開発するなど、「まちづくり」「地域づくり」に傾注しており、現在では約12000坪「杜の街プロジェクト」が進行中です。
岡山市のまちづくりでは、特に岡山の顔とも言うべき桃太郎大通りの中間地点である柳川のロータリーの東南角地の開発が重要で、グレースタワー建設後の重要な開発プロジェクトに位置付けていました。
この場所には思いがありました。私が40数年前岡山に帰ってきたとき、開発が取り残されている古くて汚いビルが岡山市の顔とも言うべきど真ん中にあり、まちづくりにはこの柳川のロータリーの開発で街の姿が変わると感じていたのです。その思いがグレースタワーとなり、今回3棟目となるグレースタワーⅢにつながったと思います。
この地の再開発には、多大の苦労と、時間が掛かりましたが、悲願でもあったこのプロジェクトが地域の皆さんや地権者のみなさんのご協力もあり、再開発組合が結成され、国、岡山市のご指導もあり、実現の運びとなり感無量です。
今回の再開発では、単独の開発事業ではできない、「安全・安心・エコで健康」をキーワードに、ゆとりある、緑豊かな、地域になるような開発を目指しました。
具体的には複合施設として、医療、福祉、商業と住宅の4つの機能を中心に据えたものとします。
壁面を2mセットバックして、歩行者の空間と公開空地を確保して「おいでんせえ広場」を設置、イベントなどで地域のにぎわいを創るとともに、4階部分は「子どもに楽しいまちづくり」の一環で、屋上庭園は「ポケットパーク」として子どもがはだしで駆け回るような楽しい広場が整備もされ、「たま神社」の分社もあります。
また、みどり豊かな空間を作るために緑化率10%の確保とともに、外構のみならず壁面の緑化にもオブジェ風に取り組んであります。
まず安全・安心ですが、
1.免震構造
2.災害などで停電しても約3時間(建築基準法では1時間以上の容量確保)エレベーターが動く非常用発電機の設置。また太陽光発電を共用部分の照明などへ活用
3.万が一の場合のトイレなどの水の確保に水槽を設備
4.大雨などの対応に雨水流水抑制水槽の設置
5.防災倉庫で非常時の物資の確保
の対策をしてあります。
次にエコへの対応ですが、
1.低炭素建築物で10%以上のエネルギー消費量の削減を目指しました。この認定で住宅ローンを借りる場合、金利や控除額の恩典が受けられます。
2.前述の太陽光発電の利用。
の対策をしてあります。
健康については、
1.食の健康に役立つミニスーパーの設置。
2.医療のクリニックモールの誘致。
3.高齢者の健康と生活を支える有料老人ホームと高齢者福祉施設の設置。
の対応をしています。
低炭素建物は岡山では初めての取り組みです。コンパクトシティとして必要な要素を凝縮したこの複合施設で、快適な生活をあらゆる年代で可能なようにオペレーションされる施設は大都市以外では珍しい取り組みだと思います。
住宅部分でも、部屋の間取りが子育て世代から夫婦二人の高齢の時代まで変更可能なように工夫されています。
この開発が今後のコンパクトシティのまちづくりのモデルケースとして大いに貢献し、岡山市の活性化にお役に立てば幸いです。