ストの回避を願い昨晩の交渉で下記の回答書を組合に示しました。
― 全面運休スト回避、一部で集改札スト ―

両備グループ
代表 兼CEO 小嶋光信

両備グループ108年の歴史に残る労働組合のストは、創業以来、自分たちが守り育ててきた西大寺線に、ある日突然、土足で踏み込まれたような衝撃を受けたことに端を発したものであり、組合員の心中は察するに余りあります。

「忠恕=真心からの思いやり」の経営理念のもと、
・社会正義
・お客様第一
・社員の幸せ
の経営方針を実践している社員が、それでも尚、ストをせざるを得なかった背景には、規制緩和でバス業界では多くの会社が潰れ、過当競争で賃金水準が下がりに下がり他の産業より賃金が100万円も低くなってしまったことに対する不満と怒り、底知れない不安があったと思います。

日本各地で、乗務員不足による減便や路線廃止が出てきている状況において、需要がない中へ過当競争を持ち込めば、運転している乗務社員も、連日、「後ろを振り返ればお客様はほんの数人」となり、「これで路線は大丈夫か?」、「俺の生活は?」と思うのは当然でしょう。

このストが契機となって、今なお続く規制緩和の弊害と、実際に路線を守っているのは乗務社員や現場の社員なのだということを改めて考え、その実際に働く社員や公共交通を守ってきた事業者の思いや意見を全く聞かずに決められた、今回の現場不在の認可に警鐘を鳴らすことになると思います。

今回のストに関する労働組合の行動を責める言葉はありません。日頃の安全に、サービスに、生産性に、地域を支えている組合員には感謝の言葉しかありません。

しかし、お客さまあっての両備グループであり、こんな思いを込めて4月24日に会社側の回答を示し、どうにか深夜に全線運休ストを回避し、「26日、27日の西大寺線での両備バスと27日の岡電路面電車の集改札スト」の予定ということで4月25日の朝に労働組合が記者発表をしました。

労働組合(組合員、社員)をこんな理不尽な路線進出から守ってあげられなかった不甲斐なさを痛感しています。
ですが、私の仕事は地域の皆さまの足となる「地域の路線網」と「従業員の生活」を守ることです。こんなことにへこたれずに地域と両備グループの社員・幹部とともに今後も引続き頑張ります!

参考

回答書

両備グループ
代表 兼CEO 小嶋光信

両備バス労働組合は結成以来ストもせず地域公共交通にひたむきな努力をしていただいていることに心から感謝します。
黒字路線を狙い撃ちにした競合他社の進出で31の赤字路線維持と雇用に不安が生まれ、低運賃で給料などの将来不安が生まれた結果、やむにやまれずストを選択せざるを得なかったことは残念なことでした。

今回のストは、本件のような認可により地方のバス事業者に雇用不安や生活不安が生まれるということを広く社会的に認識させ、地方公共交通の維持、発展のための警鐘を鳴らすものであり、皆さんの努力は決して無駄ではないと思います。

しかし、お客さまあっての両備グループであり、お客さまの声に耳を傾けストの回避をお願いします。
会社側としては組合員の皆さんの不安を軽減するために下記の努力をする旨回答いたしますので、早急にお客さまにご迷惑のかかるストを解決したく申し入れをします。

1.めぐりん進出に対する雇用不安の解消について
黒字路線の収入で支えていた両備、岡電の赤字の31路線については、近隣各市の温かい支援に深謝し、この2年間は路線の維持を図り、安定的路線維持の方策を地域協議会などで協議しネットワークの維持に注力します。

2.3年間は、賃金の引き下げなど行わず労働条件を維持する(臨給は除く)
めぐりん進出による運賃引き下げにより、組合員の賃金引き下げにならないように経営努力します。

3.本件のような認可の再発防止に向けた取り組みについて
進出から今日まで地域や既存事業者と一切の協議も無く「こんな酷い申請はない」と国交省のある幹部に言わしめ「瑕疵の疑いが強い道路占用許可」で「こんな酷い認可」となってしまった本件のような認可が二度とされないように、

あ)規制緩和の弊害を糺す法改正になるように引き続き努力します。

お陰様で、「抗議と問題提起の31路線の廃止届」により地方公共交通の実情が伝わったのか、2月13日には異例にも国交大臣が記者会見で「小嶋さんのいうように少子高齢化の地方では路線維持と競争は成り立たないということは理解した」との発言を得ました。

何も協議無くめぐりんが認可されたことで、岡山県、岡山市に協議するように大臣が示唆し、国も参加することを表明されました。そして地域公共交通に国としても努力するとして、日本バス協会はアンケートを準備しています。

このように国交大臣自らが、今回の認可に対して、私の意見を理解するということで、また後日の衆院予算委員会の質疑でも安倍首相が同様の答弁をしていることからも、国交省の自由競争に任せればよいという考えは現在では修正される方向にあると言えます。

今後、地域の路線維持と競争の問題が議論され、法改正が実現されるように引き続き努力します。

い)新たに設置される岡山県地域公共交通対策協議会と岡山市の地域協議会の場で、公共交通網の維持を訴えていきます。

う) 路線の新規参入、廃止は労使協議の上で行います。

新規参入並びに廃止は雇用に大きな影響があるため、問題が発生した時点で労使協議の対象とします。

4.本件認可の取消しに向けた活動の継続について

今回の問題の根本的な解決を図るため、現在係争中の裁判をはじめ、関係行政庁に対しても、継続してめぐりん益野線の認可の取消しに向けたあらゆる活動を行っていきます。

両備グループ