何故急いだ競合会社の路線認可?

両備グループ
代表 兼CEO 小嶋光信

昨日の朝「全国の地域公共交通の路線網の維持のために、敢えて、問題提起として路線を廃止」という記者発表をしたら、異例にも、その晩に急遽、その路線が当局で認可になったようです。

本件は、地域公共交通を守るためには国はどうあるべきか、地域の自治体や市民、識者の判断はどうか等々の多角的な視点から検討されなくてはならない影響の大きな事案です。道路運送法や交通政策基本法の理念や責務、努力義務などに照らしてみても本来前述のような多くの方々の間で協議すべき事案ですが、昨年3月末に申請されて以来、認可までの間には十分な時間があったにも拘わらず全く議論がなされていないのです。それは、何故なのか?当局は、なぜここで地域公共交通の実情を直視し、寄り添って考えてみようとしなかったのか、疑問が湧くと同時に、非常に残念です。

私は、昨日の記者会見で、止むにやまれず廃止届を出したことで、ご迷惑ご心配をおかけすることになる市民の皆さんにはお叱りをいただくと覚悟をしていました。しかし、私の予想に反し、道ですれ違う多くの人たちが「テレビ見ました。頑張ってください!」、「私は両備さんを応援しています!」、「何か我々も出来ることがあれば応援しますよ!」と励ましの声をかけてくださいました。このような市民の方々の温かいお心遣いに感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、涙を禁じ得ませんでした。そして、これが地域とともに108年の歴史を歩んできた重みなんだ!!と、とても勇気づけられました。

規制緩和で、地域を守るべき地方自治体には財政負担が重くのしかかり、バス事業者は歯を食いしばって必死に路線網を支えてきたという苦労を国はご理解いただけているのでしょうか?

真に理解されているのであれば、本件のような申請に対して、供給が十分な路線に3割もの供給過剰と、3割から5割の低運賃を認めて、滅びゆこうとしている地域公共交通の足を引っ張ることはないでしょう。

この私の意見をご覧になったご同業者や苦労されている地方自治体、地域公共交通を日々支えてくれている市民団体やご利用の皆さんには、大いにこれからの地域公共交通のあり方を議論していただければ幸いです。

その力の結集が国を動かすことになり、地域公共交通を守ることになると信じています。

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両備ホールディングス
岡山電気軌道株式会社