2018年年頭の辞
安全力、現場力、営業力を磨く!
エンゲージメントでやる気をアップ!

両備グループ
代表 兼CEO 小嶋光信

明けましておめでとうございます!
ご家族の皆さんと穏やかで楽しいお正月を迎えられたこととお慶び申し上げます。

今年も社員の皆さんの幸せと「福」を祈って、「たま大明神」の福銭をプレゼントしますので、肌身離さず大事に持っていてください。キッとこの一年は禍の無い幸せな一年になるでしょう。

また、電車、バス、トラック、タクシーとフェリーの皆さんには「たま大明神の安全お守り」を差し上げますので、必ず身に着けて、毎朝お守りにむかって「今日も一日ご安全に!」と祈ってください。必ずこの一年は無事故で過ごせることでしょう。

昨年末に行きつけの小料理屋で友人と飲んでいたら、隣席のお客様が「両備の小嶋さんですよね。両備さんが岡山で一番真面目に仕事に取り組んでいると思ったので、御社とお取引をすることにしました」と声をかけてくださって、涙が出るほど嬉しい思いをしました。そして、それは他ならぬ現場で日々頑張っている社員皆さんの努力の賜物だと感謝しました。そのお客様は岡山の優良企業のS社の会長さんでした。

「優しい言葉、思いやりの行動」の実践でお褒めが増えています。
例えば、中国バスでは、乗務社員の皆さんが街でゴミを拾っている姿や、観光バスの遠足で車椅子の上げ下ろしをする際の優しい態度と乗務社員のにこやかな笑顔に称賛が寄せられました。両備グループとなる以前は、「挨拶がない、バスが汚い、運転が恐い」と言われていましたが、大きく改善ができています。「忠恕」の心がじわじわと両備グループ各社に沁み込んでいると感じます。

両備グループの事業コアを4部門から5部門に変更

21世紀に伸び行く「ネクスト100年」を実現するため、事業コアを4部門から5部門制としました。
1.トランスポーテーション&トラベル部門
2.ICT部門
3.くらしづくり部門
4.まちづくり部門
5.社会貢献部門

また、トランスポーテーションもバス、鉄軌道、タクシー、トラック、フェリーなどのユニットに、くらしづくり部門も生活ユニット、くるまユニット、STARユニットとし、それぞれに部門長やユニット長を置き、オペレーションや会議の中心を現実に即した部門やユニット等に置いて、人・物・金・情報の適正化を図って成長軌道を維持していく方針です。

更に、両備グループは「信託経営」で、それぞれが独立自尊で自立した経営をしていることもあり、ほとんどすべての企業が黒字という健全経営を確保していますが、その反面、小さくまとまって成長力やダイナミックさを失っているので、健全性を維持しつつ発展性を確保するため、部門・ユニットの経営で人のやり繰りや営業の拡大を進めていきます。

昨年も素晴らしい事業が目白押しでした

昨年も、新年恒例の和歌山電鐵の催事で、猫の「よんたま」が「駅長見習い」に就任したのを皮切りに、様々な事業が目白押しでした。

国内では、
 1月5日  和歌電「よんたま」駅長見習いに就任
 1月13日  ドリームスーパーⅡスーペリアクラスが両備バス関西カンパニー、東京―大阪線に初登場
(3月23日には“高速ホテルバス”として中国バス、広島・福山―東京線にも導入)
 1月21日  第1回観光グループ技能コンテスト開催
2月27日 第2期WJBがワークショップ型セミナーを開催(「管理職で職場は変わる」男女がともに輝く未来のために)
 3月1日  両備グループの新たな事業部門名称の変更
 3月3日  和歌電、ひな祭り催事開催(ニタマ駅長が「紀州雛」のお后様に)
3月7日 「御座船 安宅丸」が水戸岡デザインでリニューアル
3月16日 「交通四悪」を絶対禁止に
3月21日 岡電のマスキング・アート電車が街中を走る
3月25日 「海の七つ星プロジェクト」の計画概要を発表
4月5日 ICT部門藤崎第4棟竣工と既存棟リニューアル
4月29日 和歌電 たま駅長生誕18周年に世界のGoogleロゴに
5月20日 和歌電 貴志川線「わくわくキッズランドin交通公園」初開催
6月7日 両備テクノカンパニー倉敷工場完成
6月10日 岡電(路面電車)から新一年生に電車無料パスをプレゼント(和歌電もたま駅長誕生日に配布)
6月22日 角川つばさ文庫『ねこの駅長たま-びんぼう電車をすくったねこ-』(小嶋光信著)の中国語翻訳版の出版を発表
7月8日  「みどりのサンタガーデン」オープン 岡山高島屋の屋上ガーデンをリニューアル
7月15日 両備フェリー「海の日」に子ども一日船長任命式 今年はナンと太っ腹に3日間小学生運賃無料!
7月21日 中国バスに「BINGOSTAR(ビンゴスター)」登場!
7月27日 両備住宅「ミジュアリーホーム」のキックオフ!
7月30日 両備グループOB会「忠恕の会」 年次総会 初開催!
8月7日 交通事故のヒューマンエラーの壁に挑む
8月14日 和歌電 たま大明神 鎮座2周年記念 「たま名誉永久駅長 招き猫」販売開始
8月20日 上海ブックフェア2017で中国語版『ねこの駅長たま-びんぼう電車をすくったねこ-』の出版発表会開催
9月4日 全国初!バラの香りがする「タカシマヤ号」(岡電電車)発進
9月6日 イタリア・イベコ社と業務提携-エコ公共交通大国構想の実現に向けて-
10月1日 日本初「スカイビューバス」岡電バス路線に登場
11月6日 沖縄の「てぃーだ観光」を両備グループでサポート
12月25日 両備グループが『杜の街づくりPJ1合同会社』に出資!
海外では、
2月4日 ミャンマーに最新鋭の冷凍、冷蔵倉庫を起工!
社会貢献事業では、
1月9日 井笠地域で「市民に寄り添う公共交通プロジェクト」の準備会発足(7月10日にキックオフ)!
3月4日 東京にて竹久夢二学会開かれる!
3月24日 夢二郷土美術館 幸せを呼ぶ「夢二のねこと黑の助展」開催
5月13日 第3回「ひがしやま備前焼市」開催!
8月9日 (一財)地域公共交通総合研究所のシンポジウムを東京で開催
9月20日 夢二郷土美術館第6展示室と「art cafe夢二」オープン!
9月21日 ツーリズムEXPOジャパン2017で「ワンダフルセトウチ」が世界一のブースに!(実行委員長賞を受賞)岡山・瀬戸内の魅力を発信するタクシー「WONDERFUL SETOUCHI TAXI(ワンセトタクシー)」も初お披露目
12月19日 夢二郷土美術館大リニューアル完成 グランドオープン

日本の景気が今一つパッとしないのは、働く人のエンゲージメントが低いから?

昨年ICT部門のSSP-UP大会で目から鱗の情報を得ました。
それは、「エンゲージメント」と言って、世界で有数の調査会社・ギャラップが世界139カ国の企業を対象に実施した「エンゲージメント=熱意を持って仕事をする」会社員がどれ位いるかという調査で、何と日本はビリグループの132位だったのです。

「エンゲージメント」とは、
・組織に強い愛着を持ち、仕事に熱意を持っている。
・会社(組織)のビジョン実現に、自分の未来や希望を描いている。
・部下や仲間に「夢を語り」、影響力を持っている。
・その場の状況により、最善の策を考え・講じる。

ということです。

熱意を持ってやる気がある社員が僅か6%で、やる気のない社員が94%だったのです。それよりも怖いのは、日本の会社員の24%はやる気がない上に不満をまき散らして会社に害を及ぼす社員だというのです。そして社内で起こる問題や事故、製品の欠陥、顧客の喪失のほとんどはこの害を及ぼす社員が引き起こしているという分析です。

昔は世界一の会社思いで、ロイヤルティーのあった日本の会社員が、中国よりも悪く、熱意ある社員がアメリカ(32%)の5分の1以下とは情けない体たらくです。働かない上に文句言いで、会社に悪さをするということは最悪です。お給料をもらって働いているのに、これは会社に対してだけではなく、真面目に働く仲間への冒涜です。もし、今の職場が気に入らないのなら、働く自由はあるので、どこでも気に入った会社で働くべきです。

しかし、この意欲のない社員が増えた原因は本人の責任もさることながら、その一因は上司にもあり、働く意欲づけや、やりたい仕事をさせてあげるなどの部下とのコミュニケーション不足を解消することで、半分の人は改善できるそうです。その方法で、アメリカは劇的に改善したそうです。

2010年の両備グループの創立100周年で、皆さんに「これからの日本は、もはや国民の自助努力なしで国や社会が国民を幸せにする力がなくなりました。“自らが幸せをつかむ”努力をしなくてはなりませんが、両備グループは社員が幸せになるサポートをします」とお話しました。

そして「社会のため=社会正義」「お客様のため=お客様第一」に仕事をして、その結果が「社員の幸せ」になるように経営しますとお約束しました。
「社員の幸せ=健康×能力×やる気+夢=個人の業績」という社員の幸せ&社員能力UPの方程式を示し、両備教育センターや両備健康づくりセンターを充実し、社員の皆さんがキャリアアップする手助けをして、やる気で頑張ればもらえる第3の業績賞与として「決算賞与」を準備しました。

「やる気」の創出には、まさに、このエンゲージメントで、本人の頑張る気持ちと上司のサポートが大事なのです。
しかし、人手不足と労務管理力不足で、せっかく他社に先駆けて「個別面談」や「意識調査」、「職場アンケート」等々いろいろやっている施策が、一部の職場で空回りしているのではないかと心配しています。

今年は、この「やる気=エンゲージメント」を徹底的に深堀して、働き方改革を前に進めて、生産性向上につなげて、皆さん方の待遇を更に改善するように頑張ります。

平成28年度に「日本一働きやすい会社」を目指してキックオフし、「社員の幸せプロジェクト」をクオリティー・オブ・ライフ=QOLとして、今年、再構築します。

家族との団らんを確保し、時間外、休日出勤を改善し、働く女性の応援プロジェクト、若手の時から「日本一健康な会社づくり」を目指し、OB会「忠恕の会」で新人からOBまで両備グループで働いて良かった!!と言っていただけるようにグループを挙げて頑張ります。

昨年の経営方針は、
「優しい言葉、思いやりの行動」と「初心に帰り安全意識の再構築」
でした。

今年の経営方針は、
「1.安全力、現場力、営業力を磨く!
2.エンゲージメントでやる気をアップ!」

とします。

これらの方針は、各企業の経営施策に位置づけるとともに、平成27年にグループ新・会長方針を示しましたが、あれから3年経ちましたので、基本的にとても大事なこととして2020年のオリンピック開催の年まで重点課題を加えて、再度、リビルディングします。

両備グループの現状の問題点は、「営業力」と「決まりを守る力」と「先を考えて仕事をする力」が弱いことです。

それでもこれだけの業績が出せるのですから、両備グループは各職場でちゃんとすれば、とんでもなく良い企業になる素質を持っています。何より、「忠恕=真心からの思いやり」を持った大半の社員が、今後、ロボットにはできない、心のこもった仕事ができるようになるでしょう。

新・会長方針の2018から2020年までにリビルディングする更なる課題は下記です。

1.営業力と労働生産性の向上

「売上なくして会社なし、コスト削減なくして利益なし」と常々言っていますが、両備グループ全体として営業力の弱さが散見されます。
両備の社員全員が、両備グループの交通や観光、スーパー、岡山高島屋、ガソリンスタンド、マンションをバイ両備で利用するだけでなく、家族や親戚、知人に紹介してくれているでしょうか?

今年から「家族、親戚、知人にもバイ両備運動」を新たに進めます。この運動の優秀者には景品も出るようにして、楽しく進めたいと思います。
また、営業部員には、一部、タクシーや不動産部門ではすでに採り上げている業績給を取り入れて、ダラダラ働くよりテキパキ働いた方が、収入が良くなるように「能力主義的安心雇用」の賃金体系の変更を起案し、労働生産性の改善を図ります。
「カエル運動」を再度、具体的に推進し、時間外や休日出勤を適法に管理します。
職場ごとの計画的な連続休暇制度を確実に実行させるように体制を整えます。

ワークライフバランスを考えて、決められた上限時間内で仕事を終えるように生産性を上げる工夫をしましょう。休日出勤は振替休日が原則です。
原則として、管理職の指示がない、また、申告・承認のない早出、残業、休日出勤は禁止です。人事委員会と各COOと各労務管理者でしっかりと管理していきます。

また、働いた残業代を会社が誤魔化したり、払わなかったりした幹部は厳罰とし、ノーワーク・ノーペイの原則で、働けばちゃんと払う、働かなければ払わないという原則は、お互いにちゃんと守って明朗な職場を作ってください。

2.対流型経営への転換=エンゲージメントでやる気をアップ

まさに、今、エンゲージメントと言っていることが3年前に示した「対流型経営」です。上司は「現場」と「社員」に寄り添い、しっかり仕事の夢と、こうして欲しいという仕事のあり方を明確にして、やりたい仕事に部下の気持ちを向けていくと同時に適材適所の人事異動を図るということです。やりたい仕事にエンゲージメントを上げなければ、社員確保も労働性も上がらないと言えます。
従って、「エンゲージメント・アップ運動」を全社的に展開します。

3.日本一安全・安心な企業づくり=安全力を磨く

安全・安心の確保には、残念ながら、現在は緩んでしまっている「決まりや規則と法令」を確実に守る体制を社内風土として取り戻すことです。エンゲージメントが低い社員は自己中心的で決まりを守らず、事故惹起者になっています。
今年、両備グループでは「人の命に関わる社会的にも大事な仕事という誇り」を持ち、徹底的に決まりと職場規律を高めていきます。

トランスポーテーション&トラベル部門の安全もさることながら、これからの社会でますますリスクマネジメントが必要とされる情報漏洩や情報犯罪の問題、食の安全や消費者保護の問題、介護現場の安全や安心への更なる取り組みなどで問題点を洗い出し、日本一安全・安心な企業づくりをしてください。

特にトランスポーテーション&トラベル部門は、運輸安全マネジメント委員会での昨年の新たな取り組みとして、
① 「交通四悪 絶対禁止」
② ヒューマンエラーに徹底的にメス

の取り組みをするとともに、ITを駆使し、フールプルーフをシッカリして、「ワークショップ」型のコミュニケーションを採り入れて、己の弱点を知り、自らが自らを守るプロ精神を復活させます。
どうも安全だけではありませんが、幹部が会議ばかりして、いろいろな取り組みを決めますが、肝心の社員一人ひとりに徹底させる時間はほとんど費やされておらず、上滑りの会議倒れになっていないかを危惧しています。

安全は、人間の力だけでは不十分で、和歌山電鐵の「たま駅長」が地方鉄道を救い、無事故であることや、両備トランスポート岡山支店の安全夜回り委員長の「トランス」ちゃんと「ポート」ちゃんの2匹の猫社員の頑張りで劇的に安全な職場に変わったことにあやかり、今年は「たま大明神の安全守り」を運輸交通系社員全員に配り、安全力を高める心の鍵にしてもらいます。

また、以前、一世を風靡した「バイオリズム」を採り入れて、一人ひとりが安全への意識を毎日のバイオリズムで再確認して、無事故を達成したいと思っています。

4.人を育てる経営の強化=現場力を磨く

「真面目な態度で立派な仕事!」を合言葉にしましょう。
これもエンゲージメントが基本にあり、仕事が好きで、好きでエンゲージメントが高い仕事をしていなければ、いくら教育しても人は育ちません。やり甲斐のある仕事を与えることが、人を育てエンゲージメントを高めるでしょう。
上司が、もっともっと一人ひとりの「社員の幸せ」を考えて、「どうすれば健康的な仕事になるか」「どのように能力を磨けばキャリアアップになるか」「やる気を持たせるようにどのように動機づけをするか」等々きめ細かな対応を図るべきです。上司が仕事を愛し、部下を愛している職場のエンゲージメントは極めて高いと言えます。
口だけの人づくりではなく、具体的な健康アップ・能力アップ・キャリアアップ、やる気の醸成など個々の社員にも考えてもらい、上司がサジェスチョンとサポートをするように体制づくりを図ります。

5.伸びる地域へのシフト

停滞している地域から、伸び行く地域へのシフトを図り、企業グループとしての成長を維持します。
国内における重点投資地域は、政令市や中核市などに絞り、資産の保有をシフトします。
その他の元気な地域では、原則として資産保有はしませんが積極的に営業を展開し、観光業などもバーチャル店舗やインターネットを駆使して、地域のニーズに応えられるように社会のお役に立つ仕事を拡げて行きたいと思っています。

海外においては、伸び行くアジアに焦点をあて、一昨年はベトナムに、昨年はミャンマーに最新鋭の冷凍・冷蔵倉庫を起工しましたが、今後、タイやインドネシア、カンボジア、ラオス、スリランカなどのまだこれから発展するという地域に先行投資していきます。
また、イタリアのイベコ(Iveco)社との業務提携が加わり、デザインや環境などヨーロッパに学ぶことが21世紀は増えていくと予想され、良い足掛かりができたと思っています。

2020年までに成長基盤の確立と企業体質の向上を両立させよう!

昨年4月に、今後21世紀の両備グループの発展の方向性として「AI、IoT、ロボット化」を示しました。すでにいくつかのプロジェクトが始動し、ここに成長の芽を感じています。
今年の経営方針に示したように、両備グループが更なる発展をするにはもう一度経営の基礎である「安全力、現場力、営業力を磨く」ことが課題であり、それらを達成するには「エンゲージメントでやる気をアップ!」しなくては達成できないでしょう。新たに労務管理としてのエンゲージメントの手法を確立することで、今まで、やや壁にぶつかっていた「やる気」にメスを入れ、一人ひとりが輝く両備グループを創っていきます。
それにはみなさんも三つのエンゲージメントをあげる努力をしてください。
1.仕事を好きになろう
2.仕事仲間を信頼しよう
3.人生に希望を持とう

「忠恕の心で、守るべきはキッチリ守り、エンゲージメントでやる気一杯の立派なプロ集団」になるように頑張りましょう!
「守って勝った大将なし」で、成長基盤を失った企業に人は育ちません。しかし、企業体質を破壊する無理な成長を続ければ、いずれ企業は崩壊します。人間が一生幸せに暮らせるためにはサステーナブルな企業づくりが必要で、両備グループは次なる100年を目指します。

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両備グループ