交通事故のヒューマンエラーの壁に挑む!

両備グループ
代表 兼CEO 小嶋光信

両備グループでは「両備グループ安全マネジメント委員会」を中心に、電車、バス、タクシー、物流、フェリー、整備部門などの部会を有する交通関連社員2,684人、車両総数2,366両、船舶12隻で安全運動を展開し、日夜、安全の確保に努めています。

交通関連社員(乗務担当社員);人  保有両数;両
 バス  822  863
 物流  400  450
 タクシー  1,315  979
 鉄軌道  40  27
 海上  69  12
 スカイ  38  47
 計  2,684  2,378

例えば、経営再建のために引き受けた関東地区で見てみると、両備グループが引き受ける前と引き受けた後の有責事故件数は、ハイタク部門のハロー・トーキョーでは8割減少、イースタンエアポートモータースでは約6割減少、更にバス部門のニッコー観光バスでは約3割減少と、安全体質の回復に努めた結果が数字に表れ、おかげさまで両備グループの安全管理力の確かさを示しています。

社内の安全を維持するための管理面での組織力、現場の管理力、教育力や労務管理力と社員の安全確保への資質は、幾度も実施する内部監査やチェック、また、外部組織による監査でもそれなりの水準以上を維持していますが、残念ながら現在、安全の壁ともいう「ヒューマンエラーの壁」に大きくぶつかっていると思います。

このヒューマンエラーは、交通事故特有のもので、場合によっては相手の問題もあり、一概に特定することは困難ですが、全ての決まりをきっちり守った運行をすれば防ぎ得たものもあります。

交通の安全意識で怖いのは、
1.「赤信号みんなで渡れば怖くない」のように身勝手な判断が常識的な判断の根底にある。
2.大型車両も運転操作が乗用車並みに簡単になり、運転に専念せず、他のことを考えながらのプロとみなしがたい運転が散見される。
3.乗務担当社員も事故の相手も高齢化して、特有の「良く見えていない」、あるいは「判断の遅れ」のケースが今後ますます増加する懸念がある。
4.交通事業従事者の業界平均賃金が他産業の平均より1百万円前後低いことなどで、人材面でのレベルダウンの懸念が大きい。
5.加えて、給料が低いことに反比例して、社会的責任が重く、人材面の供給不足による職場の余裕のなさも背景にあると言える。
等々と枚挙にいとまがない。

「ヒヤリ、ハット」や、危険予知トレーニングでの教育、訓練はもちろん、「点呼・健康;ご安全に」などの点呼時の安全管理ソフトや確実な整備点検やバックセンサーなどの安全チェック機器をはじめ、あらゆる面から安全性を高める仕組みも導入していますが、「これでプロか?」と思えるような「前を見ないで運転しての事故」「バックモニターを見ないでのバック事故」などの「知っていながら守らないヒューマンエラー」が今後の大きな課題です。

「決まり、規律をキッチリ守る」を安全の大項目として、
1. 前を見て走る
中嶋悟さんというF1の名選手が、「運転のコツは?」と記者に質問された時、「前を見て走る」と答えています。「見て走る」が全ての安全の基本です。
2. 当たったら止まる。異音がしたら止まる。臭いがしたら止まる
異常を感じたら、まず「止まって確認」が安全の原則です。
3. 人命第一
相手もあり、公道を走っている以上、どんなに安全に気をつけても事故はゼロではありません。万が一の場合は、「忠恕」の心で人命第一の行動を絶対に遵守して下さい。

今後は、万が一の「事故が起こった時の対処法、心の問題の訓練と研修」を義務付けていきます。

この7月22日に、安全マネジメント委員会委員長の松田敏之副社長の肝煎りで開催されるようになった「SSP-UP技能コンテスト関東大会」の第4回大会を南横浜自動車学校で行ないました。

関東地区のバス、タクシー、御座船、トラックや物流各社の乗務担当社員と事務方やガイドさんの精鋭が集い、ANAエアポートサービスの役員さんや東急バスさん、十勝バスさんの幹部の皆さんをご来賓に迎え、緊張の上にも和気あいあいとした雰囲気で競技が行なわれました。

さすがに各職場の代表者だけあり、本当に満点をとる運転技術や、両備グループの経営理念である「忠恕=真心からの思いやり」溢れるサービス技術や観光案内の腕前に、先行きの光を感じました。

人間が携わる限り永遠に続くであろう「ヒューマンエラーの壁」をぶち破るために、あくなき安全への努力を続けていこうという勇気が大いに沸いた一日でした。

参考:関東地区 交通各社の両備グループ引き受け前と現在の事故発生数の激減状況

ハロー・トーキョー / 8割減少
事業再生 平成20年12月~

 年度  有責事故件数  10万キロ当たり有責事故率
 平成21年度  155  1.55
 平成25年度  62  0.62
 平成28年度  31  0.38

イースタンエアポートモータース / 約6割減少
事業再生 平成23年5月~

 年  有責事故件数  10万キロ当たり有責事故率
 平成23年  18  0.15
 平成25年  15  0.11
 平成28年  7  0.05

ニッコー観光バス / 約3割減少
事業再生 平成24年4月~

 年  有責事故件数  10万キロ当たり有責事故率
平成23年度 ※1  15  0.60
平成25年 ※2  18  0.75
平成28年  11  0.49

※1 事業再生以前
※2    SSP-UP技能コンテンスト関東大会 実施前年

20170807

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