平成28年 年頭の辞「忠恕」と「たま大明神」- 忠恕の実践、夢の実行 –

両備グループ代表 兼CEO
小嶋光信

明けましておめでとうございます!せっかくのお正月、ご家族皆さんでゆっくり初詣でなどをされて、新たな気持ちで新年をお迎えのことと思います。
仕事がら、年末年始のお休みの間も業務に就いてくださった皆さんには心から感謝です。

昨年の松田名誉会長のご逝去には、皆さんのご厚情に心から感謝です。社葬の参列者の皆さんが異口同音に「幹部の対応を見ていると、両備の発展している理由が良く分かる」と言ってくださった言葉に救われました

たま大明神の誕生

昨年の話題と言えば、何と言っても「たま大明神」の誕生です。
住処を失った三毛猫・たまちゃんを忠恕の心で助けてあげようと、和歌山電鐵の駅長に任命し、貴志駅に住まわせてあげたら、おとぎ話ではないですがその恩返しが凄かった! 私の右腕として和歌山電鐵のみならず地方鉄道の楽しさを演出し、公共交通の大切さを世間に思い起こさせる大きな役割を果たしてくれました。
和歌山県の観光収入など年間の経済効果は就任1年目にして11億円以上と、遂に世界一のスーパーキャットになり、世界の「働く猫50」のトップ表紙を飾ることにもなりました。

たま駅長が昨年6月に旅立った際、その功績に報いようと社葬をしたら、何と参列者が3,000人以上とビックリ。参列者に聞くと、不登校やうつ病、縁結びなど多くの方々がたま駅長のスピリチュアルな癒しのお陰をいただいていたのです。忌明けの8月には、貴志駅に「たま神社」の御霊となる「たま大明神」として祀られましたが、その参拝者が連日引きも切らず世界各地からあるというから凄い!
社長代理から大明神と、遂に私はたまちゃんの氏子になりました。
災い転じて福となす。めでたし、めでたし!です。

業績順調!

昨年は、原油高が収まったかと思えば、やれテロだ、南沙諸島だ、中国経済の減速だと続き、国内では違法杭打ちだと本当に世界は目まぐるしく、かつ物騒になってきていますが、こんなことを吹き飛ばす素晴らしい出来事に恵まれました。これも「忠恕の実践」のお陰です。

両備グループは、アキレス腱でもある原油が大幅に値下がりしたことや、社員の皆さんの頑張りなどで、消費税率引き上げ後の反動の買い控えや中国経済の減速での株価暴落などの経済の落ち込みを吸収して、お陰様で業績も順調に推移していると思います。

特に3カ年計画で進めてきた総合職のキャリアアップも、皆さんの理解と協力で順調に進み、能力に応じた新しい呼称で、仕事への取り組みも大きく変わってきていると感じています。これだけの大きな人事変革を進められたということは、両備グループは21世紀に対応できる、変化ができるグループだと誇りに思っています。

リーダーとサポーターのプロジェクト方式で、あの素晴らしい日本ラグビーのように「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン」で、チームの目標達成のために頑張る小集団のプロジェクト活動型の組織づくりを進めます。

平成7年から進めてきた能力主義的安心雇用も、当時の日本は年功序列型の企業が中心だったために他企業には真似のできない思い切った企業体質変化を全国のトップを切って進めてきた結果、年齢ではない能力とやる気の組織へ変わってきています。岡山まちづくりカンパニーやワッショイサポート部等の若手による活気あふれた取り組みができるようになりました。

社員の幸せの方程式

能力主義的安心雇用への企業体質の変化で、今後、老後の心配がないように70歳まで元気に働く時代になっていきますが、活き活きした人生を歩める企業づくりに邁進します。

人間の幸せは、安心して人生を全うできることですが、そのためには両備グループの「社員幸せの方程式」を実践することです。
社員の幸せ=健康×能力×やる気=個人の業績
幸せは他人がくれるものではなく、自らの努力で掴むものです。健康のためには生活習慣、食事、運動が大事で、そのコツを両備健康塾で学んでください。

能力アップに大事なのはオン・ザ・ジョブ・トレーニングと自己研鑽ですが、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングとして、両備グループでは教育産業かというぐらい多岐にわたる教育が充実しています。両備教育センターを中心に両備大学として経営管理基礎講座、両備大学院として両備青年重役制度や両備くせもの塾、MEなどのユニークな講座も充実しています。

能力アップには、馬に水をやる例えがありますが、自分が自らの意思で水を飲まなくては意味がなく、まずはやる気です。
昨年度のJBが、私が経営者として40年の経験から作ったこの方程式を検証してくれて、正しかったと発表してくれました。そして、この方程式に夢をプラスすれば更に幸せ度が上がると提案してくれたので、今年から「社員の幸せ=健康×能力×やる気+夢」とすることにしました。夢に向かって実行し、努力して、実現させることが大事です。

昨年の素晴らしい活動

昨年も素晴らしい活動が目白押しでした。
人材教育として、特に女性幹部の養成に力を注ぎ、女性管理職・経営職養成講座や特別女性版JBの発足、労使強存共栄塾がスタートしました。

営業的には、トゥッタ・イタリアカンパニー(リョービツアーズ)をはじめ、海のななつ星プロジェクト、ベトナム倉庫の起工(両備トランスポート)、GLP倉庫第2棟の完成・引き渡し(両備ホールディングス)、タクシーへのICOCAカードの搭載と、イエローキャブのデザイン一新、点呼・健康管理システム「点呼・健康:ご安全に!」のソフト開発(リオス)など話題がつきませんでした。

地域貢献のイベントとしては、ひがしやま備前焼市や、豊橋鉄道との業務提携で学んだ「おでん車」の投入、巨大たま開発、うめ星電車の発表と、これまた賑やかな話題を振りまきました。

その上、昨年末に小嶋館長代理とロスアンジェルスに赴き、夢二の渡米中に描かれた通称「モントレーのヌード」という幻の名画を夢二がお世話になった有名な写真家宮武東洋さんの孫のアラン ミヤタケさんのご厚意で、夢二郷土美術館開館50周年記念に合わせて里帰りさせることが出来ることになったことも奇跡ともいえる出来事です。

今年の経営方針

昨年の経営方針は、「右手に忠恕、左手に算盤 — ムリ、ムダ、ムラをなくそう!」でした。

今年の経営方針は、「忠恕の実践、夢の実行」とします。

昨年の円安もあり、世界中から1,500万人以上の観光客が日本に押し寄せ大人気でしたが、では、なぜ日本を選んだのか。風光明媚な観光資源か、美味しい和食かと思うでしょうが、訪れた外国人観光客は、異口同音に「日本人の優しさ」に触れたことが一番感激したと言っています。何と最高の観光資源は「日本人の心」だったのです。そして、その優しさのベースになるのが「忠恕=真心からの思いやり」です。この思いやりの発揮こそが、真の営業やサービスを光らせてくれるのです。

思いやり、思いやりと口で言っても、行動に移していないことが多いので、それぞれの職場で具体的な思いやりの発揮の仕方を決めて、気配り・心配りをして実践してください。各社、各カンパニーで身近な忠恕のテーマを決めて、毎月、チームごとに忠恕の実践を実行するテーマを話し合って「思いやりの見える化」を実践してください。

今年から「社員幸せの方程式」に「夢」を加えましたが、夢のない仕事にパワーは生まれません。もう夢なんてなくなったなどと思わずに、いつでもこうしたい、こうなりたいという夢をかき立ててみてください。朝起きて飯食って、会社行って、帰って飯食って、風呂入るの繰り返しでは楽しくありません。夢も幸せも人がくれるものではありません。自分で考え、自分で幸せを掴もうと思ったら、夢と幸せが自分のもとへ歩いてきてくれるのです。
マンネリに陥った人生が変わってきます。

「日本一」がキーワードですが、大それたことでなくても、日本一の安全運転、日本一の接客など、まず身近なことから始めて、だんだん夢を膨らませ、夢を夢で終わらせず、それを実行しましょう。「青春とは心の若さ」ですから、もう歳だから…とか言わずに、今年は人生の夢を一人一人決めて実行してみてください。夢をもった途端に、無味乾燥と思われた自分の人生に幸せを感じるでしょう。

夢の実行に資金が足りないというカンパニーへの支援制度をつくります。もちろん評価損や過去負債など将来悪夢になるような処理にも支援して、長期に安定した企業づくりをめざします。

新会長方針のスタートの評価

昨年COOと幹部の皆さんに新会長方針を示して、今年はその2年目となります。

第一は「営業力と労働生産性の向上」です。

昨年、金沢で開催された大名庭園サミットに、京都からバスで行きました。京都営業所の河合班長が運転してくれましたが、道中、キチンとどこで何分休むかを計算し、また燃費節約を兼ねた優しい運転で乗務してくれ、みんな感激しました。自らの労働時間や休憩を現場で管理して、生産性を上げる姿を目の当たりにしました。
両備グループの最重要課題は、一に営業、二に営業、三に営業で、四、五に労務管理です。
「売り上げなくして会社なし、コスト・労務管理なくして利益なし」です。

第二は「対流型経営への転換」です。

とにかく、風通しの良い職場を作りましょう。

第三は「日本一安全・安心な企業づくり」です。

運輸交通部門は、運輸安全マネジメントに基づき安全の管理をしていますが、昨年は有責・被害も含め重大事故が続きました。
実は、チョコチョコ事故をする乗務社員は大事故になりにくく、10年、20年無事故の優良乗務社員がマンが悪く起こした事故は悪いことが重なって大事故になる確率が高いのです。ハインリッヒの法則で小さい事故なら良いかということではなく、同じようにマンが悪いことが重なると取り返しのつかない事故になります。
危険予知など予防も含めて、ヒヤリハット運動を実行していますが、たくさん申告してくれた社員を褒めて表彰する仕組みを導入します。安全は叱られるだけなら面白くないので、トップランナー制度を改組して、安全・サービス・生産性に努力した社員を表彰する制度導入をしていきたいと思います。

高齢化時代で健康由来の事故も増えてきました。リオスへ開発依頼した「点呼・健康:ご安全に!」という健康管理システムのソフトを交通運輸各社に導入します。毎日の健康チェックで健康と安全思想が自己管理につながるはずでしょう。

更に、安全の自己管理として、毎月の「私の安全方針」を定めて、安全の管理を自ら進めてもらうようにします。
運輸交通部門の安全もさることながら、情報部門でも、飲食や生活関連でも、これからの社会でますますリスクマネジメントが必要になります。
安全・安心と大変だなと思うでしょうが、この信頼がブランドであり、ブランドが付加価値を生むのです。すなわち、他所より良い待遇は、安全・安心のブランドから生まれるのです。
日本一安全・安心な企業づくりをしてください。

第四は「人を育てる経営の強化」です。

第五は「伸びる地域へのシフト」です。

今年はベトナムに引き続いて、ミャンマーにも進出の足がかりをつくります。
新会長方針も緒についたばかりですが、今までのように、ともすれば言いっぱなし、聞きっぱなし、やりっぱなしの体質を排除して、やると決めたら「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」で、PDCAのサイクルを回しながら徹底的に実行します。物事の成功の秘訣は前段取りと後段取りで、両備はこの段取りが下手で、大ミスの傷を大きくすることがありますので、しっかりキャッチアップしてください。
人事発令も必ずミッションを明らかにし、その実践・実績で評価します。

たま大明神の話で分かるように、対価を求めない「忠恕の実践」が、思わざる幸運であるセレンディピティを呼び、夢の実現を助けてくれるのです。

微生物から見つけた抗生物質で熱帯病に苦しむ2億人以上の多くの人々を救ってノーベル賞を受賞した大村智さんは、おばあちゃんからいつも「人のためになれ」と言われて、その通り実行しただけと謙虚に答えられています。まさに「人のためになれ」ということが忠恕=まごころからの思いやりなのです。

思わざれば夢も幸せも微笑まないし、実行しなければ夢は掴めません。
忠恕を実践して、夢を実行し、皆で幸せに向けて頑張りましょう!
ご安全に!

2016_0103

両備グループ