中山下一丁目1番地再開発事業を起工!- コンパクトシティのモデル開発を目指して –

両備ホールディングス会長兼CEO
小嶋光信

両備グループでは、2000年以来、公共交通利用で「歩いて楽しいまちづくり」を提唱しています。2002年に次世代型LRT「MOMO(モモ)」を開発、投入し、2004年には空洞化する中心市街地の活性化として岡山の中心部のこれまた中心である「柳川のロータリー」に108mのグレースタワーを建設し、今後の方向性である中心市街地居住を勧め、「日本一のまちづくり」を目指してきました。

また、出石の小学校跡地の開発などで、住みやすい「誇りあるわがまち」を創りあげ、他方ではインターチェンジを中心に早島ICと総社ICに8万坪規模の物流センターの開発をして、地域づくり、まちづくりに努力してきました。

岡山市のまちづくりでは、特に岡山の顔とも言うべき桃太郎大通りの中間地点である柳川のロータリーの東南角地の開発が重要で、グレースタワー建設後の重要な開発プロジェクトに位置付けていました。

この場所には思いがありました。私が40数年前岡山に帰ってきたときに開発の取り残されている古いビルがあり、まちづくりにはこの柳川のロータリーの開発で街の姿が変わると感じていたのです。その思いがグレースタワーとなり、今回3棟目となるグレースタワーⅢにつながったと思います。

この地の再開発には、多大の苦労と、時間が掛かりましたが、悲願でもあったこのプロジェクトが地域の皆さんや地権者のみなさんのご協力もあり、再開発組合が結成され、国、岡山市のご指導もあり、このたび起工式を行ない実現の運びとなり感無量です。

今回の再開発では、単独の開発事業ではできない、「安全・安心・エコで健康」をキーワードに、ゆとりある、緑豊かな、地域に必要とされる開発を目指しました。

具体的には複合施設として、医療、福祉、商業と住宅の4つの機能を中心に据えたものとします。
壁面を2mセットバックして、歩行者の空間と公開空地を確保して「おいでんせえ広場」を設置、イベントなどで地域のにぎわいを創るとともに、4階部分の屋上庭園では、都市型アスレティックの整備や、子どもがはだしで駆け回るような楽しい広場も整備したいと思います。

また、みどり豊かな空間を作るために緑化率10%の確保とともに、外構のみならず壁面の緑化にも取り組みます。

まず安全・安心ですが、

  1. 免震構造にする。
  2. 災害などで停電しても2.7時間(建築基準法では1時間以上の容量確保)エレベーターが動く非常用発電機の設置。また太陽光発電で共用部分の照明などへの活用。
  3. ふだんの植栽の水やりだけでなく、万が一の場合のトイレなどの水の確保に井戸水の利用。
  4. 大雨などの対応に雨水流水抑制水槽の設置。
  5. 防災倉庫で非常時の物資の確保。

の対策をしています。

次にエコへの対応ですが、

  1. 低炭素建築物で10%以上のエネルギー消費量の削減を目指します。この認定で住宅ローンを借りる場合、金利や控除額の恩典が受けられます。
  2. 前述の太陽光発電や井戸水の利用。

の対策をしています。

健康については、

  1. 屋上庭園に都市型アスレティックの設置。
  2. 食の健康に役立つミニスーパーの設置。
  3. 医療のクリニックモールの誘致。
  4. 高齢者の健康と生活を支える高齢者福祉施設の設置。

の対応をしています。

低炭素建物は岡山では初めての取り組みですが、コンパクトシティとして必要な要素を凝縮したこの複合施設で、快適な生活をあらゆる年代で可能なようにオペレーションされる施設は大都市以外では珍しい取り組みだと思います。

住宅部分でも、部屋の間取りを子育て世代から夫婦二人の高齢の時代まで変更可能なように工夫されています。

この開発が今後のコンパクトシティのまちづくりのモデルケースとして大いに貢献できるように、再開発を進めていきたいと思います。

2016_0115

両備ホールディングス