2009.11.26
両備グループ
代表 小嶋光信
今年の春、新型インフルエンザの恐怖で、航空機から電車、バスやタクシーに至るまでの交通機関が、観光出控えや旅行中止、会合中止などで経験のない需要減退に見舞われた。
丁度その頃、広島から岡山に帰る新幹線に乗ったところ、同じ車内の一人のご老人が咳を数度したら、車内は一瞬でパニックになった。咳を合図に、突如マスクをする人、怪訝な顔をする人、席を立って逃げ出す人など車内は異様な光景になった。その様子を面白がった老人は、わざと大きな咳を、立ち上がって車内中にし始めたら、何とその車両から全員が立ち去ったのだ。
インフルエンザウイルスの公共交通に及ぼす恐怖をまざまざと感じた。閉鎖車内の安心の確保は、いままで気付かなかった大問題だ。
この対策を何とかしなくてはと考えていた時に、ダイキン工業の田中副社長が来社され、ウイルス対策の技術がないかお尋ねをした。田中副社長には、「これからのバス車載用の空調は、冷暖房や湿度だけでなく、空気を洗浄し、ウイルスだけでなく花粉やダストや臭いを清浄化する事が大事ではないか、特に公共交通のような狭い空間での車内清浄化をする事が、今後安心して移動できるかの重要な事柄になる」と話をしましたら、大いに盛り上がって、グッドアイデアということで意見が一致した。
そこでダイキンで開発出来ないかを提案したところ、ダイキンでは車載用は開発したことがなく、どうすれば良いかということになった。両備グループの特徴は公共交通として電車やバスを運行するだけでなく、グループ内にバスの改良ができる整備部門の両備テクノカンパニーがあること、また製造業として小型トレーラーの生産シェア日本一のソレックスがあり、そこにバスを熟知した開発役員がいることで、お互いに技術力を持ち合って共同開発をすることにした。日本でも世界でも、開発力のあるメーカーを持っている公共交通企業は、きっとないだろう。この問題を解決する事は、まさに我々の使命だと思った。
ウイルス対策技術は何社ものメーカーが開発されているが、ダイキン工業の光速ストリーマ技術を選んだ理由は、
の2点だ。
小さな空間で効果のあるものや、車内にあちこち取り付けるのなら色々製品はあるが、ダイキン製はコンパクトで除去スピードと能力で勝る。
そしてわずか6ヵ月程度の短い期間で共同開発した今回の製品は、
という優れもので、しかも20万円を切る低価格だ。バスを仮に10年使ったとして(もっと使えるが)、年2万円で安全安心な車内空間をお客様に保証できると言うことは素晴らしい開発だと自画自賛している。
この開発が両備グループのみならず、日本の公共交通や観光バスに利用され、日本のバスは世界一安全・安心な乗り物と評価されれば大変嬉しい。