岡山高島屋と資本提携

両備ホールディングス 
社長 小嶋光信

昨年の9月、竹久夢二生誕125年の展覧会を岡山高島屋で開催したとき、高島屋の鈴木社長が地方の高島屋での展覧会なのに、わざわざ東京から共通の親友とともに駆けつけてくれた。いくつになっても高校、大学からの親友というものはありがたいものだ。

一杯飲んでいるときに鈴木社長から二人で話があると切り出してきたので、ドキッとした。昔津山の高島屋を閉鎖したときのことが頭をよぎった。

100年に一度の大不況に、新型インフルエンザ、土・日・祝日の高速道路定額1000円などで、全国どこの街も賑わいがなくなった。博報堂総合生活研究所の調査で、街から人出が減った原因を分析して、どうも「巣ごもり現象」で、約8パーセントの人出が街から消えたことが分かった。当然外に出ないので、おめかしすることもなくブランド品を中心に百貨店は苦戦していた。ひょっとしたらと嫌な予感が頭をよぎったが、鈴木社長からの言葉は出資の打診であった。出資依頼なら店を潰す訳でなく、発展的な話だ。岡山に老舗百貨店が残るなら、何でも協力してあげようと咄嗟に思った。それが地域のためである。岡山には二つの強力な百貨店があることが街の活性化であり、大阪、神戸にお客様を取られずにいられる、政令市として必要な都市機能だろう。

両備グループとしては、岡山高島屋の開業以来その物流とレストラン営業に携わっていること、鈴木社長とは永年の友人であり、地元密着のお手伝いを出来ればとの思いもあるが、それ以上にちょっと沈滞した岡山の街を面白くしようという思いがある。得意の公共交通で駅前と表町の回遊性をつくり、中心部に地方百貨店の雄の天満屋さんと、大手百貨店の雄の高島屋の二つの百貨店を有する利点を活かし、相乗効果を出すことで、1時間商圏550万人を取り込めれば、街に賑わいを取り戻せる。岡山の拠点性を生かし、大阪、神戸へ逃げているお客様を岡山に呼び込みたい。老舗の百貨店の味に地域密着をブレンドして、地方からプレミアムな情報発信をする百貨店のモデルケースを目指すことが好ましい。

両備グループは交通、情報、生活関連の総合企業で、いわば50社の業種のデパートだ。情報産業など、異業種交流で新しいデパートの魅力を創れる可能性もある。

岡山は、とかく昔から対立的にとらえることが好きな土地柄だが、岡山の発展のためには、皆が協力することが大事で、そのコラボレーション、すなわち協調による競争が必須条件だ。その触媒に両備がなれれば幸いだ。

両備ホールディングス