両備グループ
代表 小嶋光信
今年の1月、両備グループの旅行代理店業者、中国トラベルの協力会(観光施設などのお取引先で構成されている会)が開催され、その懇親会の席上で、協力会の世話人会代表の方々が、「我々は、こうやって食事をするよりは、両備グループの営業や企画担当の社員を呼んでもらって、是非商談会をしてほしい」と心から絞り出すような悲痛なお願いがあった。
観光市場の半分が海外に移り、円高で海外とのコスト競争で安値受注を強いられている観光旅館さんたちの苦境は、痛いほど分かる。勿論、我々観光バス業界も右にならいのうえ、さらに規制緩和での過剰増車で、完全な過当競争にまみれて、業界全体が赤字になってしまっている。更に、土・日、祝日の多客日に実施された高速道路1000円問題が追い討ちをかけた。
何とか観光旅館さんのために少しでもホッとする名案はないかと考えて、今回の観光旅館公開プレゼンテーションコンテストを企画した。全国では初めての企画で、優秀なプランは両備グループで積極的に販売する事がお約束だ。
事業というものは、他力本願でなく、自らが必死に守っていくもので、観光旅館の皆さんも必死に知恵を絞って、あの手この手を考えて手を打っておられることを知っていた。勿論、矢折れ、力尽き果ててしまった施設もあるが、まだまだ日本の観光旅館のレベルは、世界に誇れるものだと信じている。
やってみたら、短い準備期間にもかかわらず、楽しく、素晴らしいコンテストになった。
- コンテスト入選作品は、他のプランとは別に、今回の10件の作品の商品造成して、お客様へのテストマーケティングとして募集企画する予定だ。100周年記念第1回観光旅館プレゼンテーションコンテスト入選作品“ユニーク旅館の楽しい温泉の旅”とでも題して、積極的に売ってみたいと思っている。
- 高知や道後など高速バスのデスティネーションでは、提案のプランでワンナップ商品を作ってでも販売協力をしたい。
- 今後このコンテストを季節ごとの企画の間に合う時期に年4回開催していきたい。これだけの各地の企画を、行政や地元企業の応援をもらって商品造成しようとしたら、両備だけではできないだろう。着地型だから出来るといえる。いかに現地の旅館や観光施設との連携が必要かが改めて分かった。また営業マンや企画マンが、これほどの情報と仕掛けを得ようとすれば、大変な努力が要り、お互いに今回は大変費用対効果の良い企画だった。またこんなに旅館の皆さんが喜んでくれるとは思わなかった。みなさん、企画を聞いてもらうだけでも嬉しかったと言っていただいたときには、「ああ、日本で初めての企画だが、思い切ってやって良かった」と安堵した。
これだけのアイデアと努力があって日本の観光旅館が駄目になるはずがない。そのためには企画、販売側の我々が、もっと彼らと一体になって、ただ安いツアーを作るのではなく、価値を売り込めるツアーを創ることだと決意した。
さて、地域再生の切り札として、如何に観光を再生させるか、必死にチャレンジだ。