夢二郷土美術館
館長 小嶋光信
新日本海新聞社と倉吉市のご好意で、4月17日から「竹久夢二展 – 大正ロマンのかほり」を開催することになりました。
白壁土蔵群と赤瓦に代表されるこの倉吉で、また天女伝説の残る打吹山(うつぶきやま)の麓で、大正ロマンの天女とも言うべき夢二式美人に代表される竹久夢二の作品の展覧会を開催できることは大きな喜びです。
夢二式美人の特徴は、憂いを秘めた大きな瞳、S字に身体をくねらせた独特のポーズ、大きな掌と足と言えます。 彼は詩人であり画家であり、デザイナーであり、いわばマルチアーティストとも言うべき、世界でも稀なタイプの芸術家です。
一昨年、夢二郷土美術館本館は、ミシュランの日本の観光ガイドに、「日本のロートレック」と評価していただいて一つ星の栄誉をいただきました。 昨年、生誕125年でしたが、いつの時代にも心を打つ、いつの時代にも新しい感動を与えてくれる芸術家だと言えます。
夢二が描きたかったのは単なる絵ではなく、「心の詩」を絵にしたかったのです。夢二式美人のモデルになったのは姉さん女房であったたまきさんですが、実はその伏線はいつも優しく、家でこまごまと働くお母さんであり、黒髪の美しいお姉さんの松香さんだと思います。
もう一つ特筆すべきは、芸術は一部の金持ちだけのものではなく、「庶民の暮らしの中に芸術を」というスタンスです。
今日は、夢二展のためにお茶席までご用意をいただいて大変気合いがはいっているなと感激しています。その上、倉吉商工会議所の皆さんが、時代絵巻の仮装行列をしてくれて、綺麗な髪を結った立田姫と夢二さんまで登場し、夢二展を盛り立ててくれているのには、感動しました。
そして、町中に夢二展のポスターが貼られ、お店では夢二の関連グッズを取り揃えるなどの徹底ぶりです。地域ぐるみで応援してくださっている姿に脱帽です。
この夢二展が鳥取県の皆さんの心を打つ、思い出に残る美術展とご好評をいただければ幸いです。
夢二郷土美術館