両備ホールディングス
社長 小嶋光信
両備グループをここまで育ててくれたのは、母なる西大寺鉄道から今日まで電車やバスで親しんでいただいた公共交通のお陰です。ところがこの地域の公共交通がピンチなのです。マイカー社会で成り立たない経営スキームを、懸命な経営努力と、行政の補助金などによって支え、かろうじて運行を維持してきましたが、7~8割の公共交通事業者や路線が赤字で、このままではもう10年もすると都市の一部とそれを結ぶ路線しか採算上残らず、きっと交通弱者といわれる皆さんは生活が極めて不便になるでしょう。
両備グループは、規制緩和まで補助金を戴かないということで培ってきた経営ノウハウで和歌山電鉄や中国バスの再生をすることによって、公有民営法や補助金のインセンティブの導入などの改善に向けて縁の下の力持ちの役割の一端を果たしてきました。そして、新しい公共交通の姿であるエコ公共交通大国を提唱し、国民の移動する権利である交通基本法の成立と、財源確保を願って努力をしています。
公共交通が衰えた主原因は国民が自ら足を持ったことですが、もう一つには子供が夢を持つような電車、バスが少なかったことも忘れてはなりません。このことは、岡山電気軌道の路面電車「MOMO(モモ)」や和歌山電鉄のいちご電車、おもちゃ電車やたま電車で立証済みです。ところが、電車やフェリーはサマになるのですが、バスやタクシーは中々子供の心を掴む工夫が難しいのです。
そこで、両備グループの「感謝の100年、思いやりでネクスト100年」という100周年のキャッチフレーズに従って、感謝の100年として先日発表した西大寺鉄道の再現である「SAIBUS(サイバス)」を、ネクスト100年として21世紀の路線バスを企画しました。
開発に当たって私が指示したコンセプトは、
- 経営テーマの安全・安心・エコで健康を表現すること。
- 総ガラス張りなど21世紀を表現するデザインとすること。
- 子供が思わず駆け寄ってくるような、夢のあるバスとすること。
で、総合プロデューサーに水戸岡さん、開発責任者を松田常務として、ほぼ1年前にスタートしました。
電気バスはまだ3~4年くらい実用までに時間がかかるので、最も電気バスの将来に近い三菱ふそうのハイブリッドバスをベースに選定しました。車両の改装は大阪車両工業さんにお願いしました。デザインを含めて三洋電機さんが当初から大きな役割を果たしてくださり、ソーラーバスのプロトタイプを創ることが出来ました。こんなに多くのメーカーさんが、技術の結集をしてくれたので、こんなに早く、また開発費も含めると数億円もかかるバス開発が、7000万円強で出来たと感謝しています。また中国運輸局と本省のみなさんにいただいた技術上や安全上のご指導の賜物です。
スペックは ニュースリリース をご参照ください。
兎に角、百聞は一見にしかずで、9月から西大寺線を皮切りに運行時間を設定して走りますので、是非乗っていただきたいと思います。 命名は「SOLARVE(ソラビ)」で、ソーラービークルからイメージしました。素晴らしい21世紀バスの完成に、思わず「ソラビて見ろ!」と叫びました。