-エコ公共交通大国おかやま構想のキックオフ-

「ご利用者に分かりやすく」を最優先に、近年異例のバス会社再編 両備グループ路線バスを市内バスと郊外バスに分離 –
エコ公共交通大国おかやま構想のキックオフ-

両備グループ 代表 
小嶋光信

10月1日に岡山駅発着の両備バス市内線12路線を岡電バスに移管して、市内路線は岡電バス、郊外線は両備バスに整理再編する事にした。お互いにグループ内とはいえ、黒字会社同士が、経営よりも利用者利便を優先して再編した例は全国に無いだろう。 岡山駅のバスターミナルの乗り場が分かりにくいので、方面別などの試みがなされているが、分かりにくくなった原因は、

  1. 6社(民間)のバス会社が乗り入れをしている。
  2. 市内線と郊外線が混在している。
  3. 東西南北に行くバスのほとんどが東に向かって天満屋バスターミナルに入るという2極構造になっている。

ということで、乗客に分かりづらいうえ、走り出すとみんな東に向かって、南北西に向かおうとする乗客が不安になるし、時間が余分にかかることになる。歴史的には、お客様が多かったときは、それなりに棲み分けをしていたが、各社民間事業者でもあり、お客様を求めてだんだん郊外バスが市内バスの停留所に止めるようになるとともに、駅構内の再編で、本来、JRで訪れた乗客が市内中心部への移動を中心として整備されていた乗り場に市内バスと郊外バスが混在し、さらに規制緩和により、今まで駅構内に入らなかったバス会社も同じターミナルに入るようになり、本来一元化で分かりやすく、利用しやすくなるはずが、一見するとごちゃごちゃしているかに見えるようになった。おまけに郊外バスの中鉄バスが市内バス路線に参戦し、岡電バスが中鉄バス路線に応戦して事態がますます複雑になった。

マイカー時代に、分かりづらい、利用しにくいは致命傷で、まずバス会社再編第一弾としては、平成20年に岡電バスと中鉄バスの市内路線の整理統合と、協調路線に踏み切った。両備グループも中鉄バスグループもトップの気持ちは、一緒で、両社のエゴでなく利用者利便を大事にする公共交通スピリットがあったことが、小異を捨てて大同につくことが出来たことだと思う。

第二弾としてが、今回の両備グループ内2社の再編だ。 市内バスと郊外バスの100年の歴史を共に有する両備グループの公共交通2社だが、岡電バスは市内電車と市内バスを、両備バスは西大寺や玉野、倉敷への郊外線として本来棲み分けをしていた。岡山駅のバス停も、駅前のバスターミナルは岡電バス、郊外バスは昔は旧岡山ターミナルホテルの南側に分散していた。市内路線のみを運行する岡電バスは、両備バスを含む郊外バス会社の蚕食で、防戦一方になり、オマケに労使不和によるストライキやサービス不足で超優良企業から普通の企業へと陥っていった。 このような歴史的因縁があるので、競合各社が単純にバス停を共有することは容易でなかった。

本来方面別乗り場は、まず

  1. 市内路線と郊外路線とを分ける。
  2. 市内路線を両備バスから岡電バスに移して、市内路線を一元化し、時刻表の調整や、乗り換えなどをスムースに図る必要がある。

日本は公共交通を民間に任せきったので、行政や一般有識者にも詳しいノウハウがない。従って、バス会社がバラバラでも同じ乗り場にすれば巧く行くと短絡的に考えるが、それでは一番良い時間を取り合って混乱になることを知らない。実際中鉄バスが市内路線に参入し、両社がダイヤのクリームスキミングで醜い争いをした。顧客利便もあるが、お互いの経営もあるのだ。顧客利便のためには、経営が我慢せよと思われるだろうが、競争社会ではそうはいかない。しかも岡山県は戦時統合がなかったので6社による乱打戦だ。

本来公共交通は、利用者利便が最大で、そのためにも日本以外の先進諸国は公設民営が主体なのだ。それに踏み切った韓国のソウル市などが、公共交通大国へとはるかに日本を追い越していった。ソウル市も、もとは京都市や名古屋市の一部の先進的システムを参考に市長の英断で行われた結果だ。

この韓国バス事情https://ryobi.gr.jp/message/1274/ を参照いただきたい。 如何に日本の公共交通の意識レベルが低いかがわかる。

今回の12路線を両備バスから岡電バスに移管する事によって、約80%の岡山駅バスターミナルの分かりやすさが表現できたといえる。後は二極化のバスターミナルをどう分かりやすく、利用者利便を中心に再編して、将来の公共交通による都市の活性化を図るかだ。自家用車での移動が困難となる、高齢社会はそこまで来ている、次代に取り残される地方都市とならないため、100年間、公共交通に携わってきた責務と思い、断腸の決断を自らの、企業において実施することとした。

今回の施策が、エコ公共交通大国おかやま構想を進める公約の第一歩であり、トップの気持ちを理解して小異を捨てて大同についた両備バスと岡山電気軌道の労使に感謝している。

両備グループ