平成23年 年頭の辞 ネクスト100年は素直な気持ちで、忠恕を実践!

両備グループ
代表 小嶋光信

あけましておめでとうございます!
景気や社会の問題など気のめいる話も色々ありますが、世間がどうあろうとも明るい生活や家庭を築くのは自己責任、両備グループの忠恕の精神で新しい年を迎え、希望に満ちたお正月を家族の皆さまとお過ごしのことと思います。
昨年は、お陰様で100周年を素晴らしい成果で進めることが出来ました。

感謝の100年のプログラム

「感謝の100年、思いやりでネクスト100年」のスローガンのもとに進めた100周年の「感謝」のプログラムとして一番大きいことは、衰退する地方公共交通の再生と発展の提案です。和歌山電鉄と中国バスの再生で、地方の公共交通の問題を全国に問いかけ、公有民営法をはじめ、補助金へのインセンティブの成立や交通基本法の必要性を訴えることが出来ました。

生まれてから免許を持つまでと、運転が出来なくなってからの二度、人生で必ずご厄介になる公共交通の行く末を交通強者である方々が政策決定しているという矛盾を説明し、多くの方々の共感をいただいています。何ゆえここまで公共交通が地方で衰退したのか。地方であるほど政策決定者やオピニオンリーダーで頑張っている方々が、マイカー中心の生活になって、将来必ず運転が出来なくなった時に必要となる交通の公共性に気づかないことが多いのです。そこで地方の公共交通の延命にのみ関心が向けられてしまい、公共交通を発展させることが社会の健康、すなわちメタボや認知症の抑制であり、歩く賑わいが生む街の活性化ツール、福祉のツールだと気がついていないのです。すでにヨーロッパ社会では、公共交通を上手く使って福祉と都市の活性化の両立に積極的に取り組んでいますが、日本の民意は低開発国型のままです。それでエコ公共交通大国を提案したところ、将来の見える方々から徐々に理解が広まってきました。

公共交通の“見える化”のために、LRTの「MOMO(モモ)」に次いで両備グループで開発した水戸岡鋭治デザインによる「SAIBUS(サイバス=西大寺鐵道復刻バス)」と「SOLARVE(ソラビ=未来バス)」と和歌山電鐡貴志駅の「たまステーション」は、世界的ニュースにもなり、大いにお客様の感動をいただきました。

 

 

 

また、岡山市内のバス路線が分かりづらいという問題を解消するために、両備バスと岡山電気軌道の路線の歴史的な再編を断行し、市内路線は岡山電気軌道に集約し、郊外路線や高速バスを両備バス中心にしました。

加えて、岡山駅のアクセスや案内などを通じて、地域活性化を図る将来の公共交通に向けて相互協力する覚書を、JR西日本岡山支社と締結し、古くて新しい地域活性化と福祉のツールとして、公共交通の将来に期待が持てるようになりました。

地域の活性化としては、岡山高島屋への資本参加で、買いまわり商圏を高松市なみの人口の2倍になるように、岡山市の中心部が総合的なシティモールとなるように、都市の魅力づくりに努めています。

ネクスト100年のプログラム

ネクスト100年で最も力を注いだことは、両備グループの企業体質の改善と経営力の強化です。

総務、財務、人事、情報管理、安全管理、CSなどの各委員会と、グループ監査本部と事業グループ化で、グループの横断的組織の整備を行ない、グループ総合力と信託経営の補完とチェック機能の強化を図りました。

一番大きな成果は、経営理念の「忠恕」の発掘と、その展開の経営方針である「社会正義」「お客様第一」「社員の幸せ」の提唱です。火中の栗を拾って公共交通の再生をしたことが、忠恕の社会への発露だったと全国に報道していただき、利益第一主義の米国型経営に対して、多くの共感と両備ファンを醸成できました。

両備ホールディングスの創設と両備グループ東京事務所のタイムリーな展開が、地域企業の両備グループを、上場大手の企業の皆さんと同じ土俵で事業開発するチャンスをもたらしてくれました。

これから10年の経営テーマとした「安全・安心・エコで健康」も、グループ各社の取り組みにしっかり反映されるようになり、ソレックスの植物工場「やさい蔵」の自社開発や、三洋電機さんとの共同開発の「SOLARVE(ソラビ)」、シャープさん、ダイキン工業さんとの共同開発や、岡山市のシンボルだった京山の観覧車に変わり、新たに追尾式太陽光集光型発電の世界的実験の誘致に成功するなど花盛りの様相で、明るいネクスト100年がどんどん進められています。

また、両備システムズが中心になって、永年の懸案だったR-WEBの構築も今年完成し、両備グループと岡山高島屋を含めたカード戦略の展開により、グループシナジーが強力に発揮できると思います。

交通運輸部門の安全面でも、企業再生した中国バスが日本一とも言える安全率に大幅に改善できたことにならって、かえって堅調だがマンネリ化してしまっている両備バスや岡山電気軌道やタクシーグループのSSPアップ運動を、強力にブラッシュアップして、「日本一安全な運輸企業」を目指します。

昨年7月31日、100回目の創立記念日に記念セレモニーをしました。社員で結成された「オルケスタ・デ・ブルースプリングス」の演奏とガイドさんたちの歌声により、『街は青春』で始めたいと企画しましたが、さすがに両備バンドと言われるように素晴らしいものでした。また、グループ社員によるアトラクションの落語や講談、ジャグリングやフラメンコなど、多彩さを大いに示せたばかりでなく、締めの応援エールには久しぶりに腹を抱えて笑いました。

記念品として皆さんに配った夢二の版画は、竹久夢二さんの版木をお預かりしているので、大きな周年行事ということで限定で刷った本物ですから、将来「鑑定団」に出せる素晴らしい版画です。お陰様で、社員みんなの手作りの素晴らしい記念行事が出来たと感謝しています。

上場企業に負けない企業力を

ネクスト100年に向けて、上場企業に負けない、長期的視野で企業構築をしていくためには、一皮だけでなく二皮も三皮もむけなくてはなりません。岡山に両備グループという凄い企業集団があると全国的に評価され、期待されていますが、社員一人ひとりが、両備は変わったという意識の共有をしているかというと、道半ばだと思います。両備グループは変わっているし、会社も変わっているのですが、会社が変わっていないと思う社員は、実は自分自身が変わっていないのです。

ネクスト100年の基本は「忠恕=真心からの思いやり」で、「良い」と思うことは必ず実行するということを全グループ社員が守れば素晴らしい企業グループに成長するでしょう。

私が35年経営者をやって分かったことは、利口ぶっている社員は出来ない理由を考える、本当に利口な社員は難しい事を出来るように考える、頭の悪い社員は、出来ることも出来ないように考えるということです。良いことを良いと思わず、出来ない理由ばかり考えている社員は、根は横着で、何の役にもたちません。「良い」と思ったらどうやったら出来るか、自分の立場を超えて考え、兎に角やってみることです。自分で出来ないことをサポートしてくれるのが上司で、良いことを阻む上司は要りません。

ネクスト100年は、既にキックオフし、これから3カ年かかって、社員の専門性を年齢や肩書きではなく、健康と能力とやる気への努力と業績で処遇するように、社員の能力開発を実施していきます。ネクスト100年は、社員の皆さんが変わらなければ、会社も変わらず、厳しい時代を夢を持って発展できません。とかくぬるい職場は、少し厳しくすると文句ばかり並べ立てる傾向がありますが、「少数にすれば精鋭になる」という言葉の通り、一人ひとりがなくてはならない存在になるよう育て上げ、磨き上げ、能力あるものがリーダーになることが、職場の活性化となり、「社員の幸せ」を掴めるのです。専門的能力を徹底的に高め、仕事のレベルアップで付加価値を高め、「お客様第一」でサービスレベルと安全を日本一にすることです。

社員の幸せを考えれば、時代や年齢の変化に対応出来るように多能工化して、以前は管理職でも、過去の栄光にしがみつかず、いつでも時代に必要な一現場要員として役立つことが、一生有益に働き続けるコツなのです。野村前監督は、「生涯一捕手」との言葉でより良き専門職の人生を表しています。

昨年末、ある企業がそれぞれの事業について岡山一のアンケートを取って調べたところ、他の業種は五十歩百歩でしたが、タクシーだけはダントツに両備グループに軍配があがり表彰してくれました。更に日本一を目指して、気配り心配りを図りましょう。タクシーグループでは、アズナンバーワン人材養成塾を創り、さらにレベルアップを目指します。そのことが皆さんの付加価値を高め、お客様が生活を支えてくれるのです。

今年の経営方針は、

 現場第一 
  一、かけ声力を磨く
  一、提案力を磨く

です。

物やサービスが溢れている時代では、お客様は、これが本当に良い商品か、良いサービスか、価格は安いかで疑心暗鬼になって決めかねているのです。お客様に選んでいただく仕事をするには、ただ物を並べ、価格表をつけ、当たり障りのない販売やサービスをしても、メリットも感動も感じていただけないでしょう。かけ声が買う気にさせるのです。観光不況と言われていますが、「こういう旅行がありますから行かれませんか! こんなに素晴らしい体験ですよ」という電話一本で行く気になるのです。たくさん並べ立てたカタログだけではお客様は選べないのです。
職場の活性化も実はみんなのかけ声です。

昨年、岡山高島屋の業績向上のツールとして、商材の嵩上げに、昔売り場効率が悪いと除外していた家電の液晶テレビを、松田常務が提案して売ることにしました。弊社から3名が俄か仕立ての勉強をし、催し物会場から降りてくるエスカレーターの踊り場に置いた机に商品を展示して、岡山髙島屋の皆さんと賑やかに声を出して売ってくれました。その結果2日間で160台の販売という目覚ましい結果を得ることができました。「テレビは家電量販店で」という常識を覆して、百貨店の信頼性でお客様が衝動買いしてくれたのです。これを、従前のようにただ並べて置いただけで売れたかというと、きっと惨憺たる実績だったと思います。お客様に商品のお買い得感を理解していただくことが、購買に繋がるのです。そのかけ声販売の典型が、神戸ベイクルーズに見られます。船に乗ろうと思わずに通りかかったお客様も、小気味のいいかけ声で、船に乗ってくださるのです。

お客様はかけ声の素晴らしさで、商品だけでなく、皆さんを買ってくれたのです。

現場で、お客様の声や要望、旬な商品・サービスに対応して、職場の改善や改革を進めるには、現場での提案力が必要です。両備グループでは、この10年くらい提案制度やトップランナー方式で、提案や改革を進めていますが、いまだに一社員が年一つの提案にヒーヒー言っています。大手の総合職や、技術専門職は、一月に一回の提案が無ければ、「考える力のない社員」と見なされ、正社員の必要があるかまで厳しく問われます。これからは、厳しく育てられた大手や優秀な企業の社員と同じ土俵で競い合い、協力し合うのです。今年から、総合職と専門技術職は四半期に一回の提案をして、考える癖を付けたいと思います。上司は部下の考える能力を引き出す工夫をしてもらいます。「作業でなく仕事をする」ように、考える癖、気配りする癖、漫然と作業をしないように、レベルアップを図っていきたいと思っています。

素直な心が幸せを生む

昨年春に人間ドックを受けました。看護師さんが親切に「小嶋さん、前立腺癌が簡単な血液検査で分るので、安心のために受けてみませんか?」とかけ声をしてくれました。私の家系に癌で亡くなった者はいないので、しなくても良いかとも思いましたが「安心」のために素直に検査を受けてみたところ、初期の段階で癌が発見できたのです。早いうちだったので問題なく、お陰様で、連休を利用した3日の入院で退院してきました。おまけに昔トーキョーリョービに癌保険を勧められて、その時も入らないでよいかとも思いましたが、まあ売上協力だからと、入っていたのです。宝くじにも勝る見事な大当たりです。みなさんもトーキョーリョービで癌保険に入っていた方がいいですよ。
実は家族や先輩、同僚、お客様が言ってくださることに素直に対応することが、幸せとツキを呼ぶのです。

昔は一以貫之(一を以って之を貫く)でしたが、現在は多能以貫之(多能を以って之を貫く)です。

みなさんを、どんな時代にも生き抜き、勝ち抜いていける、そんな逞しい社員に育てていくようにグループあげてバックアップしていきます。

素直な気持ちで忠恕を実践して、大きな幸せを掴んでください!


両備グループ