20年来の夢実現!- 御座船 備州が東京へ –

両備ホールディングス
社長 小嶋光信

御座船 備州は、昭和63年完成の瀬戸大橋を記念して、その2年前に旧両備運輸が担当して創った両備グループの走るパビリオンです。
瀬戸大橋完成の前、私は岡山青年会議所で地域づくりを主に活動をしていました。当時の最大の関心事は瀬戸大橋を機に如何に岡山県を活性化するか、瀬戸内海を世界の観光名所にするかでした。
その最大のイベントである瀬戸大橋博覧会が、岡山県と香川県が別々に地方博覧会として行われる予定であることを開催の5年前に知りました。

出展する大手企業は、国家博なら本社扱いで億円単位、地方博なら支店扱いで百万円単位と規模が違うことを調査して知り、このままではショボケタ瀬戸大橋博になってしまうと危惧して、何とかならぬかと更に調査、研究しました。その結果、両県が一緒に開催すれば国家博になることも分かったので、岡山県や香川県に一緒に開催するようにお願いに伺いました。そして香川県知事は結構乗り気でしたが、むしろ地元の岡山県サイドが難しく、盛り上げを図るためにNHKの岡山局、高松局のご協力を得て、両県知事をお招きして、両備運輸のシーオリンピア船内で瀬戸内海船上シンポジュームを開催し、全国へ情報発信をしました。この船上シンポジュームは瀬戸大橋完成まで続きましたが、両県知事の溝は埋まらず、残念ながら、岡山県と香川県が別々に同じ日程で瀬戸大橋博を開催する事になりました。

それで両備グループにもパビリオンの出展依頼が来て、協力したのですが、施設は半年で取り壊すと言うことで、折角の瀬戸大橋のチャンスが長期間活かせません。そこで、両備グループは当時は交通運輸業がメインだったので、瀬戸大橋と船をテーマに世界に情報発信できる材料がないかを研究しました。

江戸時代に、備前池田藩には江戸幕府の御座船「安宅丸(あたけまる)」に負けず劣らず素晴らしい御座船があり、その当時の「住吉丸」の模型が瀬戸大橋のできる下津井の祇園神社にあると聞いて、見に行ってビックリしました。真っ赤な楼閣を持った豪華な御座船の模型で、「昭和の御座船」をパビリオンにして、瀬戸大橋の観光船にすれば、世界から瀬戸大橋を見にくる観光客の名物になると閃きました。

御座船とはお殿様の乗る「御座」のある船と言うことで、江戸への参勤交代の時、道路事情の悪い西国路を避けて、瀬戸内海を西国や九州の大名は御座船で行くことが流行っていました。現在の大阪・淀川口あたりまで瀬戸内海を往来したと云われています。

この「御座船」は船内外に豪壮華麗な装いを凝らした、いわば諸大名の自家用豪華客船で、往時の瀬戸内海に華やかな海遊絵巻を繰り広げたと言われています。
幕府の御座船は、寛永7年(1630年)に、時の将軍「徳川家光公」が自らの御座船として建造させた超豪華船「天地丸」「安宅丸」があり、これを筆頭に岡山藩の「住吉丸」、高松藩の「飛龍丸」などが有名な「御座船」でした。

就航すると、思惑通り超近代的な瀬戸大橋と江戸情緒の真っ赤な御座船が瀬戸内海に素晴らしく映えて、衛星放送で世界に情報発信されることになりました。瀬戸大橋ブームは完成前2年、完成後の3年で終わるであろうと分析していました。ブームの後はお江戸の東京湾で最も映える船として、東京で就航出きるように努力をしていましたが、港の確保が出来ず、20年くらいの歳月が経ってしまいました。

思いを伝えることも含め息子の松田常務の結婚も御座船で挙式し、披露宴をしました。
彼を両備グループの東京事務所長として戻すことにしたところ、やはり親父の出来なかった夢を引き取って、努力を重ね、遂に東京へ、東京都観光汽船への用船として積年の夢を果たすことが出来ました。

お江戸では、船名を「御座船 安宅丸」として定期航路と観光(申請中)に活躍することになります。
時に東京ではスカイツリーが完成し、世界の国々から多くのお客様を迎える最高の時期に、華のお江戸の東京湾を、岡山で活躍した御座船が走れることは感無量です。大いに岡山県の観光誘致にも頑張りたいと思っています。

それとこの20年間、昨日できた新船のようにピカピカに磨き上げ、守ってくれた両備フェリーの船員、幹部と、今まで応援してくれたお客様と両備グループ全社員に感謝します。
3月10日の門出に際して、可愛い我が娘を嫁がせる気持ちで、盛大に新岡山港から船出をお祝いさせていただきました。

<船の概要>

  • 総トン数・・・486t
  • 総長・・・49.70m
  • 幅(型)・11.00m
  • 深さ・・・・4.10m
  • 満載喫水・・2.39m
  • 運航速力・・12ノット
  • 機関出力・850馬力×1
  • 定員/1時間未満500名
      3時間以上250名
  • 進水年月/昭和61年5月
  • 就航年月/昭和61年7月

<設備等>

「御座船」の船内は2艙構造となっており、様々なイベント(結婚披露宴、落語、ディナーショー等)に十分対応可能な設備を有しております。

  • 厨房(地下1F)/(100名程度の懐石料理の対応実績あり)
  • 舞台(1F前方:御座の間)/バンド演奏、落語、漫才その他利用可能。
  • 100インチビデオインジェクター〔御座の間〕
  • モニター/〔御座の間2台、ラウンジ2台、貴賓室2台〕
  • ラウンジ/(1F後方)
  • 売店/(レジスター1台:各種物販可能)
  • 音響設備/(御座の間)
  • レーザーカラオケ/(御座の間)
  • ビンゴゲーム/(御座の間)
  • 展望デッキ/(双眼鏡4台)

すべてのお客様が着席できる人数は最大250名様(2F後方展望スペース含む)。
1階の御座の間(最大着席数150名様)は畳敷き、2階の貴賓の間(最大着席数32名様)は移動可能な椅子席となっておりますので自由なレイアウトが可能です。
またラウンジスペースは固定の座席と(最大着席数48名様)なっております。


両備ホールディングス
2011-03-10