(株)TOKAIコミュニケーションズとIDC事業で業務提携 -おかやまクラウドセンターの新設―

両備システムズ 社長
小嶋光信

この度TOKAIコミュニケーションズさんと、IDCの業務提携が出来て、大変喜んでいます。
IDCとは、インターネットデータセンターと言って、簡単に言えばインターネットの情報データの倉庫です。

この3月11日の東日本大震災と、それによって引き起こされた福島第一原発の事故で、安全・安心の日本の価値感が全く変わってしまいました。東京都と首都圏に過度な集積を続けてきた政治・経済・行政に安全と安心の問題が突きつけられたのです。また東南海の地震など同時多発的に起こることも懸念され、大地震による被害と大津波や原発事故の恐ろしさが共存した極めて複雑なリスクです。コンビナートなどの臨海工業地帯や空港、人口密集の大都会の生活など、ほとんど海抜数メートルのところに位置し、万が一の場合は日本が再び立ち上がれないくらいの被害を被る危険があります。

情報の分野でも、東京や関東に一局集中の懸念があり、データのバックアップを東西に分散する動きが加速しています。そして、西の拠点として、大阪にバックアップ施設などを移転する動きが活発化していますが、大阪自体も淀川の河口に広がった平野であり、シミュレーションで想定される大津波では、莫大な被害が出ると想定されました。

そこで、俄かに岡山市周辺部が脚光を浴び始めました。その理由は、以下の通りです。

  1. 全国的に天変地異に安心な地域は岡山と北海道の旭川と言われています。
  2. 岡山は更に交通の結節点として、東京や大阪などの大都会への空路および新幹線や高速道路が充実しており、新幹線利用で大阪中心部に約1時間、空路利用で東京中心部まで約2時間の好立地の上、1時間圏内の人口は550万人と、中四国の結節点としても大変便利です。
  3. 電力が安定しています。
  4. 原発から離れていて、リスクが極めて少ないと言えます。
  5. 大都市と比べて土地代など開発コストの費用対効果が極めて高いと言えます。

そこで両備トランスポートの大口顧客様を中心に、ヒアリングすると、潜在需要は大きいのですが、まだ企業としての意志決定に迷っていたり、大阪の拠点にしようと思っているケースが強いことが分かりました。しかし、だんだんと分析が進み、大地震や大津波の被害とともに原発事故のリスクまで加味する必要性が高まって、俄かに岡山が事情通によって見直され始めました。

ちょうどそのころ、TOKAIコミュニケーションズさんが岡山県内にIDCを立地する動きをキャッチした両備システムズの幹部が、TOKAIコミュニケーションズさんを訪問し、一緒に協業化を提案したのです。地方では、この種のケースでは、協業化というよりも、先回りして、小賢しく自社開発するケースが多いのですが、忠恕の精神で、一緒にやりましょうと言いに行ったことも我が幹部として立派だったと思いますし、何よりもその申し入れを素早く決断されたTOKAIコミュニケーションズさんに敬意を払い、大拍手です。

TOKAIコミュニケーションズさんは東海、首都圏を中心に光ファイバー網を展開しており、IDCの世界での技術力と経験はトップクラスです。一方、両備システムズは、地方の情報産業としては草分け的存在で、医療や行政などソフト分野で専門特化して全国展開をしている会社で、かつ情報のセキュリティに大変精通しています。このITの世界でのハードとソフトのシナジーが絶妙に活きる業務提携なのです。

その他の事業展開でも、両備グループが先行している分野にTOKAIコミュニケーションズさんが興味をもってくださる分野があり、またTOKAIコミュニケーションズさんの事業展開は先進的で、大変参考にさせていただけると期待しています。

何より静岡と岡山という地方立地の企業同志であり、業容や規模も似通っていて、企業カルチャーの共有が出来ることが多いと思います。そして、私も大変ビックリしたのは、鴇田社長とは二日違いの同年同月生まれで、調印式の当日に初対面なのに、こんなにフレンドリーに、また人間としての価値観が共有できるトップとお目にかかれたことは初めてです。業務提携以上に素晴らしい出会いだったと感謝しています。

ネクスト100年の初年度を記念する素晴らしい事業の展開に、心から感謝しています。


両備システムズ