両備グループ代表:CEO
小嶋光信
あけましておめでとうございます!
久し振りにご家族団らんをゆっくり楽しまれたこととお慶び申し上げます。
なかなかお正月気分になれないのも、昨年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故で、日本が全く変わってしまったからです。また、世界的にも天候異変や大震災、テロや内戦、ヨーロッパとアメリカの通貨不安など、蜂の巣を突っついたような大騒ぎです。唯一の救いは、こんなに悲惨な大災害に、東北の被災された皆さんが、パニックや略奪を起こさず、整然と行動され、自分のことよりも周りの皆さんに忠恕の心で、食料や生活物資を分け合っていた姿に世界が驚嘆し、この行動を賞賛されたことです。ヨーロッパの衛星テレビでは「日本の東北の被災された皆さんの行動は素晴らしい。しかし政府や東電の役員は一体どうなっているのだ!」と日本国民を賞賛するとともに、日本政府の対応に呆れていました。
政府の対応と言えば、国会の混乱も国民と世界の大きな失望をかっています。地域公共交通の悲願でもあり、一日でも早い成立を願って我が社を含む多くの同業者や市民団体も努力して、民主党、自民党、公明党の三党合意までにこぎ付けた交通基本法の足踏みにやきもきしています。政権争いは民主主義の常ですが、ぜひ国民のために与野党合意の法案は審議して可決してから、争点になる法案で徹底議論をしていただきたいと熱望します。立法府である国会が、法案の審議を問わなくなれば、政治不信は更に加速して、政権争いどころでなくなり、国民の怒りを買うことを早く理解してほしいと思います。党利党略で無く、国民や国家のための議論をしてほしいということが国民の願いです。私の知る限りの国会議員の一人ひとりの皆さんは、本当に素晴らしい政策意見をお持ちなのに、何故政党になると衆愚になるのかが日本の民主主義の大問題です。
日本や世界での目を覆う惨状の反面、両備グループでは昨年、素晴らしいことがたくさん起こりました。
大震災にあたっては、岡山県医師会の医師団と医療物資を約2ヵ月間、宮城県石巻市に送迎し、医療のお手助けが出来ました。岩手県大槌町への通学用バス2台と学用品と文房具の寄贈に、社員の皆さんが協力してくれました。たま駅長も「たま電球」を東北の被災地に贈り、また、いただいた講演料も和歌山県の台風災害に寄付してくれました。そして、両備グループ全社員が、福島第一原発の冷温停止まで、哀悼の黙祷を続けています。
トピックスとしては、両備ツアーズが並み居る強豪を相手に中国旅行社総社(東北)との業務提携に成功し、両備システムズはTOKAIコミュニケーションズとのIDCの協同事業を成約しました。両備トランスポートは大手メーカーの全国物流を開始し、両備不動産は大型物流開発の商談に成功、両備フェリーは20年来の夢であった御座船の東京港での運航を東京都観光汽船さんとコラボレーションで開始するなど、今までより一皮むけた営業や経営の成果が上がりました。
表彰としては、両備不動産が岡山市立出石小学校の跡地再開発で日本一の「土地活用モデル大賞(国土交通大臣賞)」を、和歌山電鐵は貴志川線の未来を“つくる”会さんと一緒に日本鉄道賞表彰委員会から「ローカル線客招きアイデア賞」をいただき、両備スカイサービスはANAクオリティーアワード旅客部門Bグループ一位を獲得できました。
植物工場「やさい蔵」の躍進や、イースタンエアポートモータースの両備グループ入りとハロー・トーキョーとのコラボレーション、「たまルンカード」は半年で会員数が10万人を超える快挙を成し遂げ、岡山三菱ふそうの日本一ともいえる水島整備工場の完成し、岡山電気軌道の「MOMO2」投入なども大きな成果でした。
御座船やIDC、昨年から山陽新聞社グループと両備ホールディングスの共同企画で実績を上げている豪華客船「飛鳥Ⅱ」でのクルージングなどの事例で分かることは、今まで単独の企業行動の競って争う競争から、忠恕の発揮で、パートナーと競って創る競創へ転換することが出来たことです。競創は、共にウインウインの関係になるように、一方だけが勝つのではなく、共に勝つようにパートナーへの配慮と忠恕の心が大事なのです。
そして両備グループをパートナーに選んでいただけた理由として、
- 他社に比べ社員に品格があり、信頼出来る
- 忠恕の理念で纏まっており、社員の一体感を感じる
- 行動がスピーディー
- 提案力が素晴らしい
ということがお客様からの共通した評価で、「両備の社員こそがブランドだ」とまでおっしゃっていただけたのには感激しました。
この素晴らしい行動は一部の優秀な幹部や社員の行動と成果であって、両備グループ全体がそうだとは決していえませんが、この5~6年で確実に社風として忠恕が浸透してきています。
これらの素晴らしい行動を両備グループ社員一人一人の行動に植え付けるために、平成24年度の経営方針は下記の通りとします。
「忠恕の発揮で
すぐやる
必ずやる
出来るまでやる」
そして両備グループ社員の行動規範を「知行合一:良いと思うことは必ず実行する」と定めます。
一番つまらないことは、失敗を恐れて何もしないことです。両備グループには「三度の原則」があり、一度の失敗で一事が万事の評価はしません。良いと思うことを実行することに高い評価を与え、更にそれを達成出来れば最高です。
両備グループはこの3年で、
- 大企業に匹敵する企業力を、中小企業並のコストと効率化で達成するように舵取りをします。グループ連結決算も、来年までに仕上げて、両備グループの総合的企業力を強化します
- 社員の皆さんの一人一人が、自分の将来のキャリアアップに向けて、専門化、多能工化に向けてしっかりした訓練と教育をしていきます。基本的に言われたことをするだけでは作業で、お客様第一に工夫・改善・提案出来る社員が総合職という位置付けを明確にします。専門職は求められる専門性をはっきり示し、何か日本一と自慢出来る集団を目指します。
- 管理職や経営職は、経営理念や経営方針と行動規範をしっかり社員幹部に植え付け、「マイナス」を「プラス」に変え、将来に夢を持てるように積極的な経営成果を発揮出来るように意識改革をしていきます。大事なことは、無理、無駄と思っても、絶対にあきらめない、ダメもとでもやることです。出来るまでやれば、失敗はないのです。
- 一人当たり生産性の10%アップを図ってください。各企業はワンランク上の経常利益率をキャッチアップしてください。
- 首都圏の事業のキャッチアップとともに、アジアへの事業進出を目指します。
それぞれの現場では、今年は忠恕の見える化を図ってください。その見える化とはお客様や職場での笑顔です。
「笑顔に勝る化粧なし」で、人間関係、顧客関係を改善するコツは、
- 相手の目をみる
- そしてニコッと笑う
- その人が喜ぶことを何でもいいからひと言しゃべる
と工学博士の五日市剛さんも著書「ツキを呼ぶ魔法の言葉」で言われており、これが見える化です。お互いに職場や売り場を明るくするための笑顔であり、不機嫌は両備グループでは犯罪だと思ってください。
『過って改めざる、これを過ちという』と論語で言っていますが、理想に向かって大いに自らを改革しましょう。一度の人生を活き活きと生き抜きましょう!
「安全・安心・エコで健康」を合い言葉に、新しい事業価値を求めて、アゲインストに向かってたくましく、明るく頑張りましょう。