夢二郷土美術館 館長
小嶋光信
竹久夢二の故郷にある夢二郷土美術館の最大の任務は、夢二芸術を風化させず、いつまでも伝えていくことです。
夢二を生んだ岡山県邑久町の、故郷の自然の豊さ、村芝居やお祭りの楽しさ、裏山で遊んだ懐かしい思い出、優しい母や姉への思慕の心が、夢二芸術の伏線となり、いつまでも夢二の心に深く息づいていました。
そんな子ども時代の思い出と、子どもを大事にする夢二さんの心をいつまでも伝えていくために、昨年「こども夢二新聞」として子ども記者さんたちを募集したところ、多くの応募があり、子どもの目から見た素晴らしい夢二新聞が生まれました。
今年はこの応募者の子どもたちから「こども学芸員」の募集をしたところ、小学生6名、中学生4名の参加希望者があり、任命式を4月22日に挙行しました。
この10名の皆さんは、これから8回にわたり夢二研究の講座でお勉強していただいて、この12月には勉強の成果として「自分たちの逸品」を選んで「松田基コレクション 夢二名品展」を開催する予定です。
また来年の3月にはこども学芸員のいわば卒業発表としてギャラリートークを皆さんにご披露していただきます。
岡山県が生んだ「心の詩を絵で表した」マルチアーティストである夢二さんの芸術が、夢二さんがこよなく愛した故郷の子どもたちに受け継がれていくことを心から願っています。