両備交通三悪の制定と、SAFTY-OK+IB運動の展開(2012.5.3改訂版)

両備グループ代表:CEO
小嶋光信

 両備グループの運輸交通業は、SSP-UP運動の考えによって経営されています。それは、S:安全(セーフティー)があって初めてS:サービスがあり、安全とサービスがあってP:生産性(プロダクティビティー)の追求であるという考えです。
 従って、何よりも安全を第一として「両備グループ安全宣言」にも「日本一安全な運輸企業」を目指すとうたっています。

 もちろん、グループ全体としては業界の平均より優秀な安全率です。日本一レベルには中国バスが到達し、両備トランスポートが一角に食い込んでいると思いますが、両備バスや岡山電気軌道とタクシー事業は決して胸を張れる状況ではありません。

 特に中国バスは、再生の過程でもっとも注力をしたことがこの安全とサービスで、平成19年度40件の有責事故があったものが、平成23年度は4件に激減し、10万キロ当たり有責事故率も0.028件と私の記憶では、全国一ともいえる記録的な安全率です。

 両備バスも5年前と比べれば事故を減らしているとはいえ、平成23年度の中国バスの3.6倍の事故率ですし、5年前にほぼ同じくらいの事故率だった岡電バスは、今では中国バスの13.8倍もの事故率です。岡電は郊外が少なく市内中心のバス路線なので、10万キロ当たりというと比較では厳しいかもしれませんが、中国バスが5年前当時同じような事故率だったことを考えれば、恥ずかしいと思わなくてはいけないでしょう。
 タクシーやハイヤー部門も本当にこれでプロかと思うようなバック事故や衝突事故が多すぎます。

 そこで、日本一の運輸企業を目指して、両備交通三悪の制定と、SAFTY-OK+IB運動を新しく展開し、初心に返って教育、訓練し、誓約書で心の誓いをして、両備バス、岡電バスとタクシー、ハイヤー部門の無様ともいうべき事故を大幅に減らしたいと思っています。

1.両備交通三悪の制定

 一般的に交通三悪とは、無免許、飲酒、速度超過を指しますし、2010年に制定された新交通三悪は、シートベルト非着用、過積載、違法駐車ですが、両備グループでは社会環境の変化と、乗務社員の実態レベルから、「飲酒」「携帯電話使用」「免許証不携帯」の3つを両備交通三悪として、根絶に努力します。

 飲酒の問題は、免許を取ったころの意識レベルが変わらないというか、懲りないというか、乗務社員の免許取得年次で、その社会悪観が違います。かつては飲酒運転をしても、事故をせずに白線の上を真っ直ぐ歩ければ捕まることはありませんでした。ビール1本くらいはオーケーとか、その時代の社会背景で厳しさが変わってきます。今は、飲酒であれ、酒気帯びであれ、運転する者にとっては致命傷です。「飲んだら乗るな」だけでなく、「前の晩でも遅くまで深酒したら乗るな」で、怖いのが出勤時の酒気帯び運転です。翌日の勤務があるときは、酒に強い人でも2合まで、弱い人なら1合で済ませ、10時間以上時間を空けなければなりません。寝る2時間前で飲酒をやめないと、寝る前なら少量の酒でも酒気帯びの懸念があります。

 携帯電話使用は、ハンズフリーならいいだろうとか、電話でなくメールだとか、インターネットなら交差点で止まっているからと詭弁(きべん)を弄(ろう)する者もいますが、ともに注意散漫になり、視野角が極端に狭くなり、飛び出しや、側面に寄ってきている人や自転車や車に気付かず、前方不注意などで人身を含むとんでもない大きな事故を引き起こします。F1の有名なレーサーだった中島悟さんが、安全運転のコツとして「前を見て走る」と言われましたが、みんなあのF1のレースの時に、片手に携帯電話もって運転できると思いますか。プロならレースも、勤務も一緒です。

 免許証不携帯は、アルコールチェックの時必要なシステムのところは大丈夫ですが、これも武士が刀を忘れたようなもので、プロとして恥ずるべき失態です。

 「飲酒」「携帯電話使用」「免許証不携帯」による運転を両備交通三悪とし、ハンドルを握る社員には絶対にこれらの不始末をしないように約束してもらって、毎週あるいは毎日の点呼で確認し、徹底するようにします。

2.新SAFTY-OK+IB運動の制定と展開

 私が昭和50年代に造った安全運動ですが、両備トランスポート系やタクシー系では熱心に取り組んでいましたが、HDになった時にバス系の運動との整合性で中断していました。しかし、如何にもつまらない交通事故が発生するし、マンネリ化してきているので、新たなSAFTY-OK+IB運動として展開することにしました。旧来に加えての+項目はIとBです。

 新たなIは居眠りで、2012年4月29日関越自動車道で起きたツアーバスの居眠り運転による重大事故を他山の石として、居(I)てはならない居眠り運転手だと肝に銘じてください。私も40代過ぎて、夜更かしなどしていると、昼食後や夜の運転で眠気を催すことを体験しています。その時はすぐに止められる場所を探して軽い体操や、5~10分くらいの睡眠を取ります。睡眠後すぐ運転すると大事故になるので、更に軽い体操で頭を起こしてから運転をした経験があります。居眠りが付きそうになれば、勇気をもって運転を中断することです。

 Bはバックで、バスもタクシーもトラックも不用意なバック事故が後を絶ちません。後ろを確認しないでの事故ですが、もし知らぬうちに小さな子供が三輪車などで後ろにいたらどうなるのか、本当に不用意では済まない事故になってしまいます。このBはバックのBと後ろも見ないでバックする馬鹿(B)な運転手だと思ってください。

「陸上交通版」

S:スピード出しません
A:安全車間保ちます
F:踏切止まります
T:追突しません
Y:よそ見しません
O:追い越し注意します
K:交差点内徐行します

I:居眠りしません
B:バック自損しません

 両備グループでは、海上交通も両備フェリーグループとして多角化したので、「海上交通版」の交通三悪とSAFTY-OK+IBを現場主体に作成しました。

「海上交通版」

両備フェリーグループ三悪
飲酒 気象軽視 船内事故

SAFTY-OK+IB運動

S:船内巡視
A:安全操船
F:不審物発見
T:着岸注意
Y:誘導明瞭
0:追い越し確認
K:気象先読み

I:居眠りしません
B:ブリッジ内私語禁止

 運動方法は、事業所ごとに月間重点項目を1つ選び、毎月、日替わりの重点項目を1つ選んで全員に徹底し、毎日の点呼では確実にこれらの項目にふさわしい危険予知トレーニングの絵を見せて、本人に危険を見つけさせてください。またヒヤリハットの取り組みも実施してください。

 両備グループ安全宣言のカードを新たに作って、1と2を全員に徹底し携帯させてください。更にこれらの説明会か教育をして、理解させて本人からの誓約書を出させてください。
安全は、運転(運航、運航)に携わる者、管理職、整備士の一体の動きで確保できるもので、確実な運動を、使命感をもって実行してください。

 「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」が今年の合言葉ですが、日本一の安全を求めて、気合を入れて、そして何としてでも出来るまでやり抜く気概で頑張ってください。