今キラリ、未来もKiraRi!

両備グループ 代表:CEO
小嶋光信

女性の時代と言われて久しいし、購買力の多くは女性の決定権に委ねられるように市場環境は大きく変化していますが、会社の管理者層には、依然として女性の登用が少なく、今後の日本の企業社会の大きな課題です。

両備グループのネクスト100年の経営は,大企業並みの企業力、経営力、管理力を中小企業並みのコストと効率でこの3年間で作り込んでいくことが目標です。

大企業、中小企業という分け方では、両備グループは大企業の範疇に入ってしまいますが、両備グループの一社、一社は中小企業であり、地域企業として貢献していくためには、経営理念の忠恕の発揮で、8000名の雇用を守るだけではなく、組織の活力を維持するために拡大をしていかなくてはなりません。
その中でも、これからの経営には女性の仕事への真面目さ、感性やセンスの発揮が大事になっています。

両備グループにおいては、従来から女性の活躍の場としてバスガイド職が大きな存在でしたが、企業規模やグループ規模がだんだん一般企業並みになって、女性の管理職や経営職が一部の企業のみにとどまってしまいました。もちろん男の職場である交通運輸業が中核であったこともなかなか進展しない理由の一つでした。

ところがバブル時代になると、大企業の大量採用で、地方には優秀な男子学生の応募は少なくなり、両備グループも同じように、優秀な人材の確保には苦労をしました。

1980~1990年代当時、私は主に旧両備運輸のCOOをしており、優秀な人材が得られず、人材の確保に四苦八苦していました。
バブルがはじけても男性の優秀な社員確保の困難性は変わりませんでしたが、大手の女性の総合職の採用には大異変が起こったのです。
バブル時代に大量に採用した女性総合職が、大企業では思ったように成果が現れず、採用を止めたり、大幅に縮小したのです。

それまで運輸業は、男性の職場とのイメージがあり、女性の職場としては人気が無かったのですが、大企業の女性総合職の採用が少なくなったのを機に、平成7年に旧両備運輸で女性の総合職を初めて募集したのです。

大企業が女性総合職を失敗した理由を徹底的に分析しました。大きな失敗の理由は、なんと実力の問題ではなく、女性の一般職に嫌われ、男性の総合職からも歓迎されなかったからなのです。

その理由は、

  1. 男性と同じだということで、女性一般職のしていたコピーやお茶出しなどを嫌い、同性の一般職の女性から浮き上がってしまった。
  2. 男性総合職からも、君呼びする女性総合職に好感が持たれなかった。

女性の能力の優れた一面である優しさや、真面目な仕事ぶりや感性やセンスを発揮するのでなく男の総合職を目指してしまったのです。男性と同じなら女性の優れた一面は埋もれてしまい、扱いにくい男性総合職のようになってしまって、それなら男性で十分となってしまったのです。

その分析から女性総合職の新規採用にあたって、

  1. 女性の優しさや几帳面さなどの優れた能力を活かすこと。
  2. 女性一般職のする仕事も変わりなく行なうこと。
  3. 既存の女性一般職の皆さんとの公平性から、本人の要望と上司の推薦で総合職への登用を行なうこと。


という基準を示しました。

大手の女性総合職の採用がほとんどなかったので、第1回の採用には岡大経済学部で1、2番の成績という本当に素晴らしい女性の応募があり、現在までの女性総合職の基盤が出来ました。またその時一般職から総合職に登用した女性の皆さんも素晴らしい活躍をしてくれています。

旧両備運輸の女性総合職の草創期に、お客様のご接待で行っていた居酒屋で何気なくテレビを見ていたら、我が社の新入の女性総合職の通関士がつなぎ姿で映っていて、テレビインタビュアーの質問に答えていました。「女性社員なのに何故つなぎ姿なのですか?」という問いに対する、「うちの男性社員は働かないから自分でやった方が早いんです」との受け答えには、思わず椅子から転げ落ちそうになりました。世間では女性総合職を減らしているのに、旧両備運輸は新規に女性総合職を始めたという珍しさで結構取材があり、丁度その時に放映されていたのです。

その総合職から、現在は旧両備運輸で育った両備トランスポートの分島さんや両備グレースタクシーのCOOである槙尾さんなどの管理職、経営職が生まれました。

今、両備グループで最も活躍している女性幹部が、和歌山電鐵・常務執行役員のたま駅長ですし、彼女はいまや社会現象となり、とうとう和歌山県観光招き大明神にまで上り詰めました。たま駅長の部下のニタマ伊太祈曽駅長もダークホースです。

他にも情報系ではシステムズの劔持さん、両備グループ広報部長の山木さん、業態の難しい地方百貨店の再生に努力する岡山高島屋の肥塚社長など、優れた女性幹部が大活躍するようになりました。

両備グループの人材養成と管理職への登竜門の両備大学である経営管理基礎講座や、青年重役会にも女性の素晴らしい皆さんが参加するようになって、これからどんどん女性の活躍の場が出来ていくでしょう。

女性が不得意な仕事、もしくは昇進をためらうのは、「責任」という2文字を嫌ったのです。しかし、男性と互角以上に仕事をするうちに、責任を男性幹部が取っているということは言葉だけで、普通に責任を持って仕事をすればよいと言うことが分かってきて、物おじしない女性社員が生まれてきたのも今後の楽しみです。

このような経営環境の変化に対応するために、2020年までに女性管理職や経営職をグループ全管理職や経営職の10%にまで育てようと思っていたところにアンダー30のメンバーから「キラリ」という女性社員の活躍の場の提案があったのです。

まさに時宜を得た提案で、すぐに実施の検討がされました。
「今キラリ、未来もKiraRi!」。
ネクスト100年の正否を決める大きなムーブメントになることを心から願っています。

両備グループ