両備グループ代表:CEO
小嶋光信
東日本大震災で甚大な災害に見舞われ、町長までが被災して行政が麻痺し、復興に大きな困難をきたした岩手県上閉伊郡大槌町の、㈲城山観光専務取締役、松橋明さんが観光バスを差し上げたお礼に会社を訪問してくれました。
私は、昨年の3月11日、東京八重洲のビルで講演後に、東日本大震災の本当に気味の悪い長く激しい大地震を経験しました。更に大津波と福島原発事故を目の当たりにし、何か被災地の皆さんにお役に立つ両備らしい救援をということで、現地へ出向く岡山県医師会、医師団の送迎とともに、きっとバスや乗用車が流されて移動に困っておられるだろうと、観光バスと路線バスを10台くらい至急整備してご要望のあるところに送る準備をしていました。情報が混乱していてお困りの地域の把握がなかなか出来ませんでしたが、やっと日本バス協会からの連絡で大槌町に2台を送ることになり、両備バスカンパニー長の渡辺さんを団長に任命し、現地に持って行ってもらいました。
大槌町については、インターネットで子供たちのランドセルが流されて困っていると知って、会社の総務から大槌町の教育委員会に連絡してもらいましたが、既に全国からランドセルは直ぐに集まったというので、学用品を送ったところでもあり、本当に不思議なご縁を感じました。
松橋さん自身も、津波が来るというので、まだ新しかったトレーラーの1台をお兄様の社長が山に持ってあがられ、2台目をご自分が取りに行かれたところ、津波に襲われたそうです。足を取られて流されて、木にぶつかったと思い、手を伸ばしてこの木に這い上がり、しがみついて難を逃れられたとのことでした。「死ぬかと思った」とその時の事を話された時には、思わず涙が零れそうになりました。そして被災後に仕事をやめようかと思ったけれど、地域の人たちの足がなかったので、バス協会に相談したところ、両備グループから観光バスを無償で寄付してもらえるということで、申し込まれたそうです。
大槌町に両備カラーの3台連行のバスが見えた時は本当に嬉しかったと喜んでいただけました。整備の状態も良く、今も元気に城山観光バスのブルーカラーに改装され、地域の足として頑張ってくれているとお礼を言われました。
両備観光バスが、大惨事に一縷の望みを大槌町の皆さんに与えるお役に立てて、本当に良かったなと安堵しました。