ベトナムで三指に入る総合物流会社TMS社と資本提携

両備ホールディングス会長・CEO
小嶋光信

この2月25日、ベトナムのホーチミン市に於いてベトナム第3位の総合物流会社で、ホーチミン証券市場の上場企業でもあるTMS社(サイゴン運輸)のNgoc会長と同社の株式を保有する投資会社との3社間の協議で、同社の24.9%の株式取得に合意しました。

   

同社はホーチミン市に内陸コンテナデポ(ICD)を保有し、ここを中心に国際貨物のフォワーディング、通関業務、陸運事業を手掛け、大規模物流センターも持つ総合物流業者です。ハノイ、ハイフォン・ダナンという物流の要衝にも展開し、幅広い業務範囲と高い物流技術を有しています。また業績も二桁の成長を続ける優良企業です。

昨年初にアジアへの進出を決め、営業努力の結果、直ぐに大手会社のベトナム進出の物流の取り扱いをご内諾いただけたので、ベトナム・ホーチミン市に於ける物流システムの構築に動きました。

先ず、松田社長、松田専務を筆頭とする現地調査団を結成して、リョービツアーズが視察先に選定したのが何とこのTMS社でした。また、海外に堪能な我々のパートナーが同行してくれて、彼の友人の投資会社が同社の株式を保有していたのです。

同社を提携先にすることを決め、松田専務が度々ホーチミン市を訪れ、交渉した結果、同社のオーナーであるNgoc会長が「ぜひ、ホーチミン市で会いたい」と熱望され、私との交渉になりました。

Ngoc会長とHiep CEO共に素晴らしい経営者で、日本企業とのビジネス拡大にも大変意欲的で、経営者魂を感じました。日本の高度成長期のように、会社のトップお二人自らがビジネスチャンスを作ろうと精力的に活動されていることも大変好感が持てました。

会談中に、両備HDとして宮本さんが駐在員事務所の駐在をしているとお話ししたところ、Ngoc会長から日本語の分かる社員がいるので、すぐに日本事業部を作るから、TMS社の本社内に事務所を設置すれば如何かとご提案をいただきました。

アジアでは日本人は「NATO」、すなわち「No Action Talk Only(口ばかりで行動しない)」と揶揄されていて、検討するという答えはノーということと同義語だということをミャンマーで教わっていたのでイエスと即答し、宮本さんに明日の朝一番に会社の前でCEOを待って、直ぐに共同で働く態勢を作るように指示しました。

翌朝、宮本さんの顔を見て、さすがにCEOもびっくりしたようでしたが、これで一気に両備サイドの気持ちが通じたのか、ちょうど催行予定があった新倉庫の起工式に来賓として招かれて、皆さんへ紹介して下さいました。

昨年12月には会長とCEOを岡山にご招待して、我々の物流現場の視察を通して交流を深めました。特にGLプロパティーズ向けに開発した総社市にある1万坪の最新式の立体倉庫には驚かれたようで、また両備トランスポートの社員がお二人をベトナム国旗を振ってお迎えしたことも感動されたようです。このお返しでしょうか、2月の訪問にはTMS社の女子社員の皆さんが素晴らしくきれいなベトナムの民族衣装・アオザイを着て、日越の国旗を振って出迎えてくれました。

その間にもトントン拍子に話が進み、TMS社として、パートナーは両備HDが好ましいと投資会社に伝えてくれるということで、今回の2月25日、訪越となったわけです。実は同時期にTMS社には我々の他にも日本、タイ、シンガポールの3社から話があったとのことです。

今回の交渉で、両備グループが忠恕の精神で、他のライバルとは異なりTMS社の企業支配を望まず、TMS社の発展のための良きパートナーになるという意思表示と、我々がトップも現場も一丸となってその思いを共有していたことが、信頼の絆を築けた一番の理由だと思っています。

今後は、ベトナムを拠点として、発展するアジア諸国への物流だけでなく、日本や中国の日系企業のベトナムへの工業誘致のコンサルティングと移転実務支援や物流倉庫の開発とともに、素晴らしいコスト力と品質を持つ様々な事業へ大いにコンタクトして、日本が失ったビジネスへのワクワク感をアジアの皆さんと一緒に味わいつつ、ビジネスチャンスを大いに広げていきたいと思っています。

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