西大寺鐵道記念館オープン!再確認した「両備グループ」のDNA
―「けえべん」が運んだ、115年の物語―

西大寺鐵道記念館 館長
小嶋 光信

両備グループの母なる事業、それは地元の方々に「けえべん」の愛称で親しまれた西大寺鐵道です。
• 1910年: 会社創立
• 1911年: 本社屋完成・運行開始
それから115年。始発の西大寺市駅から終点の後楽園駅まで、わずか11.5キロメートル。日本唯一の914mmという狭いレール幅(狭軌)をトコトコ走る姿は、まさに地域の愛すべきシンボルでした。

当時の運行は、実にユニークです。
百間川を渡る橋を架ける予算がなかったため、水が流れていない放水路の底を直接走っていました。「放水時は運休」という、自然と共生する(?)おおらかなスタイル。旭川は渡れなかったため、現在の「夢二郷土美術館」がある場所が終着駅となりました。

時代を超えて蘇る、懐かしの風景

通勤・通学、買い物、そして西大寺観音院の会陽(はだか祭り)。
祭りの日には屋根の上にまで人が乗り込むほどの賑わいを見せた鉄路も、国鉄赤穂線の開通に伴い、昭和37年にその役割を終えました。
今回115年を記念して、朽ちる寸前だった旧本社屋を、両備グループの総力を挙げて復元したのが、この「西大寺鐵道記念館」です。

館内の見どころ

115年前の面影: 保存された本社建物と、復元された社長室。
お宝資料: ドイツ・コッペル社製の蒸気機関車模型や貴重な資料。
実物の迫力: 自転車を積み込める当時の気動車や、隣接する旧財田駅舎。

開館セレモニーには、当時駅員だった94歳の木村さんもかくしゃくとご出席くださり、西大寺小学校の皆さんとともに、和やかな再出発の時を迎えました。

発見!未来を創る「6つのDNA」

今回の記念館開設にあたり、歴史を見つめ直す中で、私たちは改めて両備の経営DNAを再発見しました。
1. 「できるまでやる」精神: 開業までの4年間に及ぶ幾多の苦労を乗り越えた執念。
2. 勇気と先進性: 国鉄には勝てぬと悟るや、利益をすべてバス・タクシーへ投資。即座に業態転換した決断力。
3. 明るい思い切りの良さ: 廃止時もメソメソせず、ブラスバンドと花電車で送り出す潔さ。
4. 大胆な戦略性: 11.5kmの鉄道に固執せず、「備前・備中」を網羅するトップランナーを目指した社名変更。
5. 忠恕(ちゅうじょ)の精神: 一人のリストラも出さず、人財を新事業に活かす。
6. 「もったいない」の精神: 古きを尊び、同時に新しきに挑む。

「ワクワク仕事」の結晶

2月19日にメディアの皆様に公開し、翌20日に開館して以降、両備バスへの問い合わせ電話は鳴り止まず、わずか3日間で1000人を超える方々にご来館いただきました。
この記念館を作り上げた社員たちの姿は、今年の経営方針である「ワクワク仕事」そのものでした。歴史を守ることに情熱を燃やす仲間たちの姿に、私も胸が熱くなりました。

「古きをたずねて新しきを知る」

皆さんもぜひ、この記念館を訪れてみてください。
そこには、今を生きる私たちの血に流れる「両備のDNA」が、確かに息づいています。