夢二郷土美術館 館長
小嶋光信
第3回「こども夢二新聞」の募集をしたところ、本当にたくさんの小学生や中学生の皆さんが応募してくれて、素晴らしい作品ばかりで、甲乙つけがたく、審査に嬉しい苦労をさせていただきました。
この「こども夢二新聞」は、郷土岡山をよりよく知っていただきたい、そして誇りに思っていただきたい、郷土岡山の誇りの一つとして大正ロマンに代表される竹久夢二が生まれ育ったところであることを将来のある子供たちにしっかり心に刻み込んでおいて欲しいという気持ちから始めました。
当館名を竹久夢二美術館とせずに、敢えて夢二郷土美術館としたのは、この美術館が夢二のルーツである地元岡山にあること、夢二の詩や絵画は、子供の時の優しかったお母さんやお姉さん、楽しかった村のお祭りや田舎芝居、一緒に遊び育った大好きな岡山という子供の時期に育まれたことが伏線にあるからです。
また夢二自身も生涯子どもの心を最期まで失わなかったと思います。
そんな夢二の作品を子ども達の心で見てみると、大人に見えない夢二の世界が見えてくるようです。
「こども夢二新聞」を読むと、新しい夢二の世界の発見がたくさんありました。
特に館長賞を差し上げた小学校6年生の景山さんの「夢二仰天新聞」には本当にビックリ仰天しました。何度も何度も美術館を訪れて、学芸員に取材した力作です。
夢二が子どもの時に着ていた服は、大好きなお母さんが糸から染めて、色や柄を工夫して作り上げたものだったこと、優しい6歳年上の松香さんや妹と楽しく遊んだ日々や、松香さんが嫁いで行くときの夢二の気持ちなどが見事に表現されています。
夢二の落書き事件で、お父さんに大叱られして土蔵に押し込まれたことなどは、まさに事件記事です。描かれた格天井を寝転がって一日中眺めていたかもしれないという牛窓神社は、夢二の美術館だったという切り口や、元祖育メンパパだったことなど、ユニークさには脱帽です。添付の作品をぜひ読んでみてください。
素晴らしい新聞ばかりで、11月4日まで本館では受賞作品が、邑久小学校の皆さんの作品の一部は分館の夢二生家で展示・公開していますので、ぜひご覧にいらっしゃってください。
来年はいよいよ夢二生誕130年です。アッと言って、新しい夢二の世界が広がる企画をしていますので、ぜひお楽しみにしていただきたいと思います。
「それは何ですか?」と聞かれても、来年までヒ・ミ・ツ!です。