石破総理に「地域公共交通抜本的改革」の要請

(一財)地域公共交通総合研究所
代表理事 小嶋光信

10月9日、石破茂内閣総理大臣に運輸総合研究所が取りまとめられた緊急提言「地域交通制度の革新の実行を求める要請」と、地域交通制度の革新の実行を求める要請を運輸総合研究所の宿利正史会長、同 城福健陽特任研究員とともに提出にまいりました。

宿利会長から運輸総研の緊急提言の要請を詳しく説明されたあと、私からは第9回公共交通経営実態調査を踏まえて、下記のように具体的な「地域公共交通抜本的改革の要請」をさせていただきました。

「地域公共交通抜本的改革の要請」要旨は下記のごとくです。

『80%以上が赤字経営で補助金頼りの地域公共交通は、赤字経営の問題に加え全国的な運転士不足で2023年度では2500キロものバス路線の廃止と雪崩現象で路線廃止が拡大しています。現状は空白地帯の問題も大事だが路線廃止が自由にできる交通の競争政策を改めなければザルに水を灌ぐようになり、交通ネットワークが維持できません。

従って、「交通政策基本法に則り、交通を公共財・社会的共通資本として位置づけ、運送法等の改正を含む抜本的な改革をする。」ことを宿利会長の運輸総研の緊急提言に沿って要請します。

そして、例えば19兆円の地方交付税の約1%を交通関連予算として上乗せし、地域交通特別交付金(仮称)等として別枠で年間2,000億円程度を確保する。赤字補填の補助金は短期支援とし、公設民営・公設民託を中長期的な対策とすることで、民間が経営努力により黒字化を目指せる夢のある制度設計が可能になります。

地方創生のかなめは生活交通の確保であり、地方交通の消滅が地方の消滅を生み出すと思います。2000億円の地方交通の維持で日本の大きな課題解決が出来、地方の皆さんが安心して暮らせるようになる、費用対効果の良い国家施策ではないかと考えます。』

と、説明したところ、石破総理は特に2023年度にバス路線が九州から北海道までに相当する2500キロメートルも廃止されたという実態に大変ビックリされ、「公共交通は公共財・社会的共通資本」との認識をお聞かせいただきました。

2025.10.09.

参考:運輸総合研究所ホームページ