画期的な公設民営路線が「岡山方式」として誕生!
―10月1日より、旭川荘線と操南台団地線の支線2路線が公設民営に―

両備グループ
CEO 小嶋 光信

9月19日、岡山市で「支線バスFLAt」車両のお披露目式が開催されました。

この発表は、私にとって大変うれしい一日となりました。また関係各氏のご努力に感謝します。

私は25年来、公共交通の赤字路線を維持するためには、補助金制度に頼るだけではなく、経営努力が活発になる「公設民営化」を進めるべきだと主張してきました。鉄道ではすでに実現しましたが、路線バスではなかなか進展がありませんでした。しかしこのたび、両備グループの両備バスでは2路線が10月1日より、また岡電バスでも来年度に1路線が公設民営化されることが決まりました。

今回の取り組みは、全国的に見ても非常に画期的な試みです。

1.幹線と支線を分類し、支線ごとの公設民営化を実現

現在、両備バスでは27路線のうち黒字路線はわずか7路線に過ぎません。これら少ない黒字路線で20の赤字路線を支えているのが現状です。

今は何とか黒字路線と内部補助で自力運営を続けていますが、少子高齢化が進む中では、いずれ自力で維持することが困難になると考えています。

規制緩和後の道路運送法では「赤字路線は廃止してよい」という制度設計ですが、地域の生活を支えてきた公共交通事業者としては、そう簡単に路線を廃止できるものではありません。実際には内部補填を行いながら、必死に維持しているのが現実です。

今回の「路線別の公設民営化」は、日本型の民設民営を活かしつつ、赤字路線ごとの補助金に代わる新たな維持方法として、地域公共交通を守る切り札になると確信しています。

2.行政・市民・事業者の協働による路線改変

これまでバス路線は、交通事業者が孤軍奮闘して守ってきました。しかし今回は、事業者・行政・市民が一体となり、協働で創り上げた路線です。

これは交通政策基本法が掲げる理念そのものであり、「市民・行政・事業者が一体となって交通事業を支える」という、本来あるべき公共交通の姿を実現した先進的な取り組みです。

3.全国的な路線廃止の中で、岡山は攻めの姿勢へ

全国ではいま、空白地帯が大きな問題となっています。2023年度には、例年の1.5倍以上にあたる約2,500キロものバス路線が廃止されました。これは九州から北海道までを結ぶ距離に匹敵します。

空白地帯の解消も重要ですが、まずは既存路線が雪崩を打つように廃止されている現状を早急に改善しなければなりません。

その中で岡山は、路線の延長や新設によって市民が便利になるという、「守り」から「攻め」への公共交通維持を進めています。これは非常に意義深いことです。

公設民営化される2路線

今回、公設民営化される両備バスの2路線は以下の通りです。

① 旭川荘線
これまでバス路線がなかった備前原駅前にバスが乗り入れます。
旭川荘が山陽本線・津山線とつながり、地域の利便性が大幅に向上します。

② 操南台団地線
操南台団地のお客様は、これまで通り東山で路面電車に乗り継いで市内中心部へ行けるだけでなく、協立病院や平井地区の商業施設にもアクセスできるようになります。

市民の皆様へのお願い

この新しい公設民営バス路線を、市民の皆様の「足」として定着させるため、ぜひ積極的にご利用ください。支線バスの名称は「FLAt(フラット)」です。気軽にフラッとバスに乗り、街への買い物や、自然豊かな郊外へのお出かけにご活用いただきたいと思います。