和歌山電鐵 社長
小嶋光信
早いもので貴志川線の未来を”つくる”会が結成10周年を迎え、そのシンポジウムの特別講演を依頼され、続いて開催された「孫子の代まで貴志川線を残す」パネルディスカッションへも参加してきました。
2000年、2002年の規制緩和によって、分かりやすく言えば、「利用者の利益のために交通業者は競争しなさい」、その結果、「儲からない路線はやめなさい」「ダメな会社は潰れなさい」というような法律になってしまい、全国各地の公共交通事業者は次々と潰れていきました。
「孫子の代まで残す」のは貴志川線だけではいけません。地域公共交通を残す外堀として、直ぐに法律を変えるのは難しいので、まず「地域公共交通活性化・再生法」や「交通政策基本法」を創る提案をし、成立のため協力してきた経緯をご説明しました。
また、内堀として地域公共交通を支えるスキームとしての3つの要素、
- 地域住民の熱い協力
- 沿線行政の一致した物心両面の支援
- 事業者のひたむきな経営努力
が要るのですが、貴志川線にはこの3つが見事に揃っていたのです。
極論すれば、貴志川線の未来を”つくる”会があったことが再生の出発点だったとも言えます。
この貴志川線の再生スキーム(3つの要素)が交通政策基本法のスキームになったのです。
孫子の代まで残すためには、この法律を活かしてキチンとした公設民営で次期の体制を創ることと、そのキチンとしたスキームの上に住民の熱き協力と行政の地域づくりとしての支援と事業者の努力が大事だと言えます。
今後は、その地域全体の協力・支援の地域づくりとして、
- 神前駅と日前宮駅の間の新駅設置
- 団地などの団塊世代の住み替え促進や再活性化
- 四季の郷公園、交通公園、大池遊園や歴史遺産の魅力を再構築 … 特に子どもの遊び場としての整備が大事
- 沿線の学校、病院、商業施設の再活性化
- 貴志川線長寿大学の仕組みを作って、高齢者の方々が「貴志川線に乗って生き甲斐を作る」運動の展開
- 何にも増して貴志川線の未来を”つくる”会の熱心な活動が末永く続くこと … 最盛期の会員6000人に戻すための熱き運動の推進
が必要です。
その上に我われ和歌電の電車やたま駅長や年間100近くのイベントでの経営努力と、その前提にある安全、安心の維持が重要です。
今日は2月22日で「ニャンニャンニャン」の日ですが、午前中にイギリスのテレビ局・チャンネルファイブがたま駅長の取材に来られ、春節の連休中でお越しの中国のお客様に囲まれて本当に国際的なインタビューでした。それにしても、たま駅長の国際的な人気とインタビューへの堂々たる対応は「流石!!」の一言です。