「両備ホールディングス株式会社 設立について」

両備ホールディングス株式会社 
幹部辞令交付式より

両備グループ代表 
小嶋 光信

 

本日両備ホールディングス(株)の辞令交付をさせていただいて、身が引き締まり、将来に向かって緊張した気持ちでいっぱいです。

両備ホールディングス(株)設立の意義

両備グループにとっては昭和30年代の半ばに西大寺鉄道から両備バスへ変わった時と同じぐらい、インパクトのある改革です。

これまで信託経営により独立した各社が経営責任を持って努力をしてくださり、我がグループはほとんど赤字の無い48社という企業グループに成長してきました。48社のうちには、成長性のある事業、成長性の無い事業、成熟はしているけど利益を出している企業などいろいろなタイプの事業がありますが、各社がそれぞれ責任を果たし利益を出しているということが、両備グループの良い特徴となっています。

しかし一方で事業規模はどうかということになると、小さくまとまってしまっているという懸念があります。会社を分割して小さな会社にしていくということは、責任が分散されて効果的なのですが、逆にヒト・モノ・カネも分散されて総合力が発揮しにくくなっているのです。

「チャレンジ5で日本一!」完結の2010年に向かって、両備グループ全体が経常利益率5%確保できるかどうか。今回の両備ホールディングス(株)設立は、そこに向かう大きな第一弾の組織変革だということを認識していただきたいと思います。

両備ホールディングス(株)経営形態について

両備バス(株)は、長い伝統と歴史がある非常に経営体質のいい企業です。しかしバス事業を通じて成熟した産業が多くなっていることも事実で、成長率が弱まっています。

一方、両備運輸(株)は非常に営業力が強く、M&Aも含めて新しい事業を積極的に進めていく気風が企業内にみなぎり、成長の可能性を多く秘めています。しかしながら経営体質がその成長についていかないのです。体質を維持するために成長を止めると、大きくなれるものも大きくなれません。

ですから経営体質のいい会社と物事をスピーディに運び、攻撃的に営業をやっていく会社を一緒にして、両備ホールディングス(株)とすることで、両備グループの中心的企業として育て上げていくことにしました。これが一番の基盤です。

ホールディングスとしたのは、持ち株会社ということではありません。両備型ホールディングスという経営形態で、ヒト・モノ・カネ・株式を総合的に保有すると言う意味です

両備ホールディングス(株)の大きな特徴は次の2つです。

ひとつはカンパニー制度になっていることです。
基本的にはこれからのカンパニーは両備グループの独立した1社と同じレベルでのオペレーションをしていただきます。したがって権限委譲が行なわれますので、カンパニー長は自分のカンパニーを最高の状態で自分の責任で両備の信託経営に基づき、自主独立で運営していくということになります。

もうひとつは、両備経営サポートカンパニーを置いたことです。恐らく日本で初めてのケースだと思います。
会社をバラバラにしてヒト・モノ・カネを分散してしまうと爆発力の弱い会社になってしまいます。したがってヒト・モノ・カネは経営サポートカンパニーで一元管理して、それぞれのカンパニーに資産を貸し付けるという形をとっていきます。カンパニーは必要なヒト・モノ・カネだけを借り入れをしていけばいいのです。人員、資産が余れば返せばいい。逆に投資をしなければならないことがあれば申し出ればいい。投資に対するチェック機能も生まれますので、それによる効果も狙っています。

ヒト・モノ・カネを管理することに加えて、執行をチェックする機能を持ちます。いわゆるPDCAのチェック機能です。プランの部分は企画ソリューション部で応援をしていきます。

また、管理部門である経営サポートカンパニーもこれからは一カンパニーとして経営をしていかなければなりません。人が余れば教育し足りないカンパニーに貸し出す、土地が余っていれば活用の方法を考え収益の上がる方法を考える、お金が余れば有効的な資産運用を考える、というオペレーションを通しての経営です。

この両備経営サポートカンパニーがうまく機能することで、グループ内において、いわゆる管理部門のアウトソーシングができていけばと考えています。そうすることにより小さな会社が人事停滞によるマンネリ、同じ場所で同じ仕事をするという状態を打破することができ、金銭事故を含むトラブル回避の人事政策もできるようになります。

両備経営サポートカンパニーについて

両備経営サポートカンパニーは、2本部制をとります。

ひとつは財務本部。今まではお金の出し入れを中心とした業務をしていましたが、それだけではなくて、ヒト・モノ・カネのモノとカネを、資金回収、資金効率も含めてみて、資産表の資産と負債のバランスが的確に管理されているかどうか、効率的に運用されているかどうかを管理するのが財務の業務になります。会計、経理ではなく、会社全体の資産・負債の管理をする財務です。一部(旧両備バス)と二部(旧両備運輸)という形をとりますが、将来的には一本にして併合していきたいと思います。

もうひとつは創夢本部です。今両備グループが進めている両備ハッピーライフプロジェクトを念頭に置き、社員が幸せになるように企業オペレーションをしていくことが基本業務になりますので、あえて「創夢」の文字を使いました。社員が幸せになるように、健康から能力、やる気に至るまでしっかり管理をして、両備に入った社員が幸せな一生を送れること、それを目指しながらやっていきましょう。社員の幸せは本人の意識が第一ですが、我われは万全のサポートをしていくことになります。

「忠恕」という両備グループの精神をもとに、我われは社会に対する思いやりをもって仕事をして、お客様第一に物事を考え、その結果として社員が幸せになるという思いやりを持った企業になりましょうと言っています。

総務の場合はバイ両備等を通して、グループ全体を考え、グループ全体の商品やサービス、我われの支援をしてくださっているお客様の商品をみんなが共有し、自分たちのためになるように取り組んでいかなければなりません。

人事は社員の採用から退社に至るまでのロングランで捉えることが基本となります。入社以降のジョブローテーションをしっかり考え、マンネリにならずに個人の能力を引き出し、人材力発揮のために、その社員をどのレベルに教育し、どこへ配属し、どのような経験を積ませていくか。それらを真剣に考えるのが今度の人事の役割です。どれだけの人材をつくりこみ、育てていくかについて、どれだけ企業が計画的に考えていけるかということで極端に言えば、企業の帰趨(きすう=ゆきつくところ)がきまってくるのです。

「3年経てば慣れがきて、5年経ったら飽きがきて、10年たったらダメになる」と私が申し上げていますが、専門職としての技量をしっかり身につけたうえに、管理力、経営力を身につけていくことが基本になります。両備グループは能力主義的安心雇用を掲げていますが、他社よりも早く60歳定年制から65歳の選択定年制に切り替えました。2010年にプロジェクトが完了し人事管理ができるということになれば、年功型の定年制をやめ、能力型の定年制に切り替えていきたいと考えています。極端に言えば、若くても能力が無ければ定年が来るし、能力があれば年をとっても現役社員としてバリバリ働ける。本来の人の努力、意気込み、会社に対する貢献度をしっかりみていける人事のオペレーションをしていきたいと思います。

事務所についてですが、両備経営サポートカンパニーと役員室は、この伝統のある錦町7-23から両備ビルに移転します。これもいろいろ考えた末のことです。

錦町7-23は伝統があり歴史があるところなので、今後も大事にしていきます。この地には同じく伝統のある両備バスの観光とシビルバスが残りますが、これは意義のあることだと思います。空いたところは思い切ってレイアウトや内装も変えて、会議室に使ったり、教育をしたりと、グループの皆さんがしばしば来られるような形をとりたいと考えています。

おわりに

一番やろうとしているのは、今までの枠組みをはずそうということ。両備バス、両備運輸が”ニコイチ”になって、足して「2」になったのではダメです。両社のいいところを掛け合わせて、3倍にも4倍にもなるよう、コラボレートしていき、企業力を高めていかなければなりません。究極の「こうあるべきだ」という目標をまず捕まえてから今やれることは何だろう、というふうに考えていっていただきたいと思います。ミッションは3年で両備ホールディングスが確実に機能していくことです。ぜひ勇気を持って大革新をして、それだけの効果が上がるように執行レベルを上げてください。

意欲と努力と出てくる成果によって両備グループの21世紀の帰趨が決まると思っています。皆さんもぜひがんばっていただき、夢を創っていただきたい。そして夢を実現させていってください。

両備ホールディングス組織図


両備ホールディングス