(公財)両備文化振興財団
夢二郷土美術館
館長 小嶋光信
このたび、浦添市美術館において夢二生誕140年、夢二郷土美術館創立60年を記念して、当館のコレクション約130点を一堂に展観いただけますことを心より感謝申し上げます。
沖縄では2012年に浦添市美術館でグラフィックデザインを中心に展覧会が開かれ、今回は油彩を含めた肉筆作品やスケッチブックなど、マルチアーティストといわれる夢二芸術の真髄を初めてご覧いただけると思っています。
夢二郷土美術館は、初代館長の松田基が「夢二のふる里・岡山に美術館を」という思いで館名に郷土と冠し、1966年に創立して今年で60年を迎えます。大阪・梅田の古書店で夢二の油彩画《女》と軸装の《加茂川》に魅せられて購入したことから始まり、里がえりを念じて作品を蒐集した松田基コレクションが礎になり、大作の屏風や油彩画などの肉筆画を中心に木版画・人形や著作本など3,000点以上に及び、現在も蒐集を続けています。今回の展覧会では、新収蔵の油彩画《西海岸の裸婦》と《アマリリス》、夢二の最期を看取った医師で友人の正木不如丘に託した外遊スケッチなどが沖縄で初公開となります。
夢二郷土美術館は、周遊していただくと夢二の全貌を体感いただける美術館となっています。岡山後楽園の外苑にある「夢二郷土美術館 本館」は、夢二生誕100年を記念して1984年に岡山・西大寺からわたしども両備グループの母体である西大寺鐵道の後楽園駅跡地に移転して開館しました。尖り屋根に風見鶏があり、赤レンガとなまこ壁の和洋折衷のノスタルジックな建物で、夢二の世界観や大正ロマンの風情をたたえています。夢二の故郷の瀬戸内市邑久町には、数えの16歳までを過ごした茅葺屋根の生家を「夢二生家記念館」として公開、夢二の次男である不二彦の監修で復元した晩年の夢二が自ら設計したアトリエ兼住居「少年山荘」をあわせて夢二の原点を体感していただけます。いずれも年に4回の企画展を開催して様々なテーマで夢二芸術をお伝えしております。
私は詩人になりたいと思つた。けれど、私の詩稿はパンの代りにはなりませぬでした。ある時、私は、文字の代りに繪の形式で詩を畫いて見た…
竹久夢二『夢二画集 春の巻』
大正浪漫を代表する竹久夢二は稀代の詩人画家であり、デザイナーでもあるマルチアーティストです。夢二作品の真骨頂は「心の詩を絵に描く」ことであり、夢二式美人の根底には優しい母や美しい姉への思慕があり、夢二芸術の原点には楽しかった少年時代の故郷での思い出があります。この展覧会をきっかけに夢二のふるさとも訪ねていただくことができたら幸いです。







