2013.09.04
一般財団法人 地域公共交通総合研究所 理事長兼両備グループ代表兼CEO
小嶋光信
この8月末に、ラオス国の公共事業と交通を担当する省とヴィエンチャン市の首都路線バスを運営する公社の幹部8名の視察団が両備グループを視察に訪れた。
岡山への訪問は今回で3度目という。それは、岡山市における路面電車や路線バスと、市内中心部の天満屋バスステーションや西大寺のバスターミナルなどの公共交通施設が、ラオスの首都機能を高めるための公共交通事業をどのようにするかを調査、研究する対象として、大変向いているという事情で選ばれたためとのことだった。
ミャンマーでの経験やラオス国などの事情から、アジアの開発途上国にとって公共交通の問題は下記のような様々な大きな悩みを抱えている。
確かに、これらの問題の解決には、日本で確立されている公共交通のノウハウが極めて有効だが、コストや国策による支援レベルは中国や韓国が強烈に進めていることで、日本が劣勢であることは否めない。
開発途上国の公共交通支援には、短期的には路線バス事業が有効で、国の発展度合と財源との兼ね合いで、大量輸送による高速交通化、快適化の要請が出てくるので、中長期的には鉄軌道が必要とされるだろう。
特に開発途上国でも、いわゆる首都をはじめとして大都市化したところは、いずれもそれほど先進諸国との隔たりは少なく、市内中心部においては早急なLRT化が有効と思われる。両備グループの岡山電気軌道がインドなどアジア諸国のLRT化の調査、研究に協力しているのはそのためである。
民間が事業として単独で開発途上国の公共交通事業に参入することは、あらゆる点から難しい。JICAや国土交通省という国の機関と、公共交通事業者と輸送手段のメーカーや商社が総合的な協力チームを結成することが、アジア新時代の日本の国際的貢献に有効な手段になるといえる。
ホームページには当日説明に使ったラオス語と日本語でのPDFをつけてあるので参考にしていただきたい。
参考資料
地域交通の再生と地域づくり
>ラオス語版(PDFダウンロード)
>日本語版(PDFダウンロード)
以上