あのプロジェクトで 仕事への向き合い方も変わりました

両備グループの大きな特徴のひとつが、プロジェクトの多さだ。時にはトップの強烈な一声で、時には現場のボトムアップで、大小さまざまな挑戦が立ち上がる。
入社以来、長くバスに関わってきた平本さんが2022年から巻き込まれたのが、「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」。
ことの発端は、岡山市が発表した衝撃的な調査結果、「岡山市内でバスを使う人はたった2%!」だった。
突きつけられた2%の現実と
松田CSOからの無茶ぶり。
――Q.「交通分担率」2%って、どういうことですか?
A.「交通分担率」というのは、移動にバスを選んでいる人の割合のことです。ある時CSOから「100人の内、たった2人しかバスに乗っていないぞ!」と突きつけられたのは、衝撃的な数字でした。改めて「これはビジネスとして致命的だ、ヤバいぞ!」って、危機感を感じました。
新車のバスは1台約3000万円。燃料代や人件費も高騰が続く中、主な収入源は初乗り160円の運賃だ。まずはバスに乗っていただかない限り、大きな投資には限界がある。
――Q.バスに乗るきっかけづくりって、どんな方法ですか?
A.結果、決まったのは「毎月1台、バスの可能性を広げる面白い企画バスを走らせる」っていうプロジェクトでした。 合言葉は、「日本一や世界一では面白くない。宇宙一を目指して突き抜けよう!」。正直、最初は戸惑いしかありませんでしたね(笑)。 なにしろトップの口癖は、「もっとトガっていいよ」なんですから。
「常識」との戦い。
現場発の自転車操業が始まる。
かくして1年間、毎月面白いバスを企画して記者発表するというアイデア出しの「自転車操業」の日々が始まった。当時プロジェクトを率いていた松田CSOのハードルも高く、企画案へのダメだし、練り直しもたびたび。せめて臨時便で走らせようと提案したものの……。
――Q.臨時便で走らせようとの提案はどうなりましたか?
A.速攻で、却下されました(笑)。「ただでさえお客様が乗らないのに、追加で走らせてどうするの? 通常の時刻表の中で走らせなさい」って。だから最初は、強制的に飛び抜けるところから入っていく感じでした。バスなのに、ほんと自転車操業ですよ(笑)。

当初は「お客様から苦情が来たりしないか」と、無意識にブレーキをかけていました。
必死に知恵を絞った彼らが第1弾としてリリースしたのが、「幸運のプラネタリウムバス」。
夕方の運行ながら子連れ客などであふれ、利用者は通常比139.8%を記録。 移動手段だったバスが、乗ること自体を「目的」にされた瞬間だった。以来、車内で勉強できる「学び場ッス」、健康チェックができる「健康な未来 考えバス」など、月1台のペースで怒涛のリリースが続く。
「やらされ感」が
「使命感」に変わった日。
怒涛のプロジェクトの中で、メディア対応の一部も平本さんが任されるようになる。「このプロジェクトで一番成長した」とは、CSOの彼に対する評価だ。
――Q.プロジェクトをやり始めて、どのように変わっていきましたか?
A.最初は、強制的に振り切るよう「矯正ギブス」をはめられみたいな感覚で、まさに「やらされ仕事」でしかありませんでした(笑)。ところが企画を続けるうちに、熱心なファンができたり、お客様の楽しそうな姿を目の当たりにしたり。「何のためにやっているのか」が腹落ちしていったんです。

月に1台のリリースですから、貯金をするヒマもない。私が泥臭く動く姿を見て、職種を超えてチームが一つになりました。「次はどう面白くする?」と前のめりに議論ができる土壌も育っていきました。まとまりのあるチームとしてやれる土壌ができたことは、本当によかったと思っています。
バスの未来を
バスだけで考えない
「移動のサービス」という本質だけではやっていけないのが現実。交通×健康、交通×エンタメといった、両備グループが持つ多様なリソースを掛け合わせ、いかにシナジーを生み出すかがこれからのカギになる。可能性は無限に広がると平本は考えた。
――Q.平本さんより若い人たちに何をして欲しいですか?
A.若い世代には「バス会社」のイメージを塗り替えてほしい。「バス会社だからできない」と諦めるのではなく、「バス会社だからこそできること」を熱く議論したいんです。たとえ失敗しても、それを笑い飛ばして次へ進める強さが今のチームにはあります。

バス会社の未来を、バス会社だけで考えないようなムードを作っていきたいですね。面白い企画でみんなを喜ばせたいエンタメ志向の人や、街そのものを設計したり変えたりしたい人は大歓迎です。子どもたちや高齢者のために親身になれる人も、きっとやりがいを感じられるはず。そんな人たちとプロジェクトを組んで街にインパクトを与えたいです。
――Q.最後に。平本さんにとって両備とはどんな場所?
A.「多様性の塊」ですね。 入社して17、8年になりますが、本当にどんどん変わっていっています。一つのグループにこれほど多くの事業と可能性がある場所は珍しいですよ。本当に飽きない会社です。

profile

バスユニット統括カンパニー
乗合バス統括部シニアマネージャー
平本さん
2008年入社。
以来、グループ中核事業の一つであるバス事業を長く経験。「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」の企画バスすべての開発に関わる。