両備とアートのつながり
文化も、地域のインフラ。
地元の「宝」を次の世代へ受け継ぐ。
それも大切な企業のミッション。
- 公益財団法人両備文化振興財団
- 夢二郷土美術館 館長代理
岡山・瀬戸内を盛り上げる、地域の魅力や誇りを発信する、次の世代を育てる・・・。
両備グループには、「地域や文化」を支える取り組みがいくつもある。
そのひとつが「夢二郷土美術館」、アートで人々の心を癒し、子どもたちの感性を育む。
なかでも、岡山出身の画家・詩人・デザイナーである竹久夢二のコレクションは世界的に有名だ。
夢二郷土美術館の創立者で初代館長の松田基の思いを継ぐのが、現館長代理の小嶋ひろみさん。彼女が見つめているのは、作品を保存し、展示することだけではない。夢二の作品、そしてアートを通して地域と向き合い、次の世代へ誇りを手渡していくことだ。
夢二との出会い。
どのようなことから夢二郷土美術館ができたのでしょうか?
戦後、松田基が大阪・梅田の古書店で出会った二点の竹久夢二の作品が美術館のはじまりでした。当時は、まだ今ほど知られていなかった夢二ですが、その作品に強く惹かれて、夢二が岡山・瀬戸内市の生まれでもあったということで、「この作品を岡山へ」里帰りさせ、美術館で公開することで社会貢献したいと、収集し始めました。
岡山が生んだ作家の作品を、ふるさと岡山に残したい。芸術文化を守ることも、企業の大切な使命だと松田基は考えていたのだと思います。
人の心に余韻を残す、夢二の魅力。
夢二の魅力。
夢二の魅力はどこにありますか?
夢二は「心の詩」を絵で表現した人かなと。子どもからお年寄りまで、自分の物語として受け取れる。そして、激動の時代に柔軟な思想を持ったマルチアーティストを先駆ける芸術家で、社会の弱い立場の人々に寄り添う人でもありました。だからこそ、時代を越えて愛され続けていると思うんですよね。
「走っている馬は、子どもには8本に見える。感性や個性を尊重する姿勢が、作品にも通じている」
小嶋さんはそう話す。
アートは、誰かの
「拠りどころ」になれる。
小嶋さんが考える美術館の役割ってどんなことですか?
東北の大震災後に岡山へ来られた方が、「夢二の絵を見て、初めてほっとした」と話してくださったことがあって。アートは、人の心の拠りどころにもなれるんだと実感しました。
次世代へ夢二を伝える。その使命から生まれたのが、小嶋さんの企画「こども学芸員」だ。
子どもが関わると、
文化はますます花開く。
アートと地域と子ども、どのような思いでつなげましたか?
美術館は、静かに鑑賞するだけの場所ではなく、能動的に関われる場所でもあってほしいと思ったんです。子どもたちが学び、感じ、伝える。美術館でのできごとが「自分ごと」になるようにと始めました。 2011年から続く取り組みは、少しずつ形を変えながら続いている。大学生になっても、社会人になっても、「アンバサダー」として関わり続けられる。ここには、美術館と「深くつながる」関係が育っています。
アートが街を楽しくする。
小嶋さんが考えるアートを身近なものにする方法って?
美術館には、夢二の作品に出てくるネコそっくりの、お庭番頭の黒ネコ「黑の助」もいるんですよ(笑)。ネコをきっかけに来てくださる方も多く、間口を広げながら、夢二や岡山の魅力に触れてもらえたらと思っています。
夢二の生き方や作品のように、これからも柔軟に間口を広げつつ、さまざまなアプローチで夢二の魅力を伝えたい。岡山のよさを知っていただける場づくりを続けたいですね。
以前、POP−UP MUSEUMを出した「杜の街グレース」は商業施設でありながらアートラウンジもあって、自然とアートに触れられる場所です。それが、ゆくゆくは感性の豊かさにつながるのではないかと感じています。アートを発信し、提供するというのは、地域に育ててもらった両備グループにとっての使命であり、とても大切なことだと思います。
求めるのは、
“前向きで挑戦できる人”。
どんな人と一緒に働きたいですか?
前向きで、挑戦する勇気のある人。美術館って、使命感を感じられやすい場所であるかなと。“文化を守る”という使命を自分ごととして捉えられることはとても大事なことだと思っています。
最後に。小嶋さんにとって両備グループはどんな場所?
真心からの思いやり、「忠恕(ちゅうじょ)」の精神を、実践できる場所。お客様の立場で、誠実に、やさしく向き合う。その理念があるから、私たちは文化を守り続けられるんじゃないかと思います。
公益財団法人両備文化振興財団
夢二郷土美術館 館長代理
- 小嶋 さん
幼少期より夢二の作品に親しむ。一番好きな作品は、夢二の子どもへの深い愛情が感じられる「童子」。アートを軸に、文化発信、次世代育成・教育普及、展覧会プロデュースなどに尽力している。