両備が挑んだ 未知の巨大プロジェクト。 その裏側を全部お話します

どんな街が理想なのか? 両備グループはいまもその答えを探し続けている。
2022年9月「イトーヨーカドー岡山店」の跡地に、「住む人、働く人、訪れる人、誰もが幸せになる街」をコンセプトに、「杜の街グレース」をグランドオープンさせた。オープン直後から館内は人であふれ、開店前から多くの来館者が詰めかけるなど、街の新しい賑わいの中心として大きな注目を集めた。
なんと当時、グループには商業施設運営のノウハウが、ほぼなかった。
経営陣の構想が固まった直後、「誰かやりたい人いる?」の一言に手を挙げたのが、佐藤さんが新卒2年目だった2017年。現在は杜の街グレース責任者でありながら現場に立ち続け、来館者・テナント・レジデンスにお住まいの方の満足をどう成立させるか、正解のない問いに向き合い続けている。当初は思い描いてもいなかったこの経験が、佐藤さんの仕事人生を「倍速」で前に進めていた。
新卒2年目、
「自分に無茶ぶり」を課す。
――Q.何故、手を挙げたのでしょうか?
A.マンション、オフィス、商業が一体となった街づくりで、両備グループとしても未知の巨大プロジェクト! その規模は、想像もつきませんでした。それでも手を挙げなかったら後悔する気がしました。自分に無茶ぶりを課した感覚でしたね。でも、あの時の決断がなかったら、今の仕事観はなかったと思います。
プロジェクトはすぐにスタートしました。東京へ足を運び事例を学び、持ち帰って自分たちの理想と照らし合わせて話し合う。「分からないままでも、覚悟を持ってやる」という経験でしたね。それが今も原点になっています。
正解がないから、面白い。
――Q.まず何から手をつけたのですか?
A.初期の杜の街グレースメンバーは、商業運営のプロ集団ではありませんでした。不動産、ICT、スーパーなどグループ横断のメンバーが集まり、「どんな街にするか」から考えました。業界の常識が分からなかったからこそ、自由に考えられた部分は大きかったですね。
ただ、テナント誘致もイベント企画も、とにかく目の前のことをこなすのに必死でした(笑)。

運営ルールひとつとっても、通常は施設側のルールに合わせてもらうのだと思います。でも、杜の街では対話して「一緒につくる」ことを選びました。例えば、定休日を希望する店舗には営業時間内のアイドルタイムを提案し、代わりに定休日をなくせないかを相談する。そんな調整を店舗ごと行なっていきました。
ルールで縛るより、まず声を聴く。企画も机上で終えず、店に足を運び、必要があればメーカーまで行って確かめる。正解がないからこそ考え続ける。その不確かさを、佐藤さんは「ロマン」だと語る。
感情を動かせた瞬間に、
すべてが報われる。
――Q.責任者に抜擢された佐藤さんにプレッシャーはありますか?
A.正直、今も実感はあまりなくて。自分では「調整役」だと思っています。僕らには、三方向のお客様がいらっしゃいます。来館者、テナント、入居者、それぞれのお客様に100%満足いただくことは難しいかもしれないけれど、それでも対話して、調整することで、皆さんにとって限りなく100%に近づけることはできると思っています。逃げずに調整する、それに尽きます(笑)。
一番しんどかったのは開業当初。平日も休日も関係なく現場に立ち、1か月間毎日入場制限を行なった。「分からない」ことそのものが、一番しんどかったという。それでも来館者やテナントの声を聞き、調整を重ねた先に、大きな手応えを感じるイベントがあった。
――Q.どんなときに幸せを感じますか?
A.3回目の「THE MARKET…」で、オープンするのをたくさんの方が待っていてくれて、時間になったとたん、人がわっとお店に流れ込んでいく様子を見て『わ、すごいな!』って。行楽シーズンで街中にイベントが多い日だったのに、こんなに来てくれた。『幸せだなぁ。』と純粋に思えた瞬間でした。

杜の街グレースには、暮らしがあり、働く場所があり、食事や買い物をするお店がある。完成したら終わりではなく、毎日表情を変える街を育て続ける仕事です。だから判断に「正解」はない。いまは、答えを探す過程そのものが面白いです。
杜の街グレースの運営は、完成形のない仕事だ。状況が変われば、判断も変わる。だからこそ、現場で考え、現場で決める力が求められる。その裁量を若手にも任せる土壌があることが、佐藤さんがここまで走り続けてこられた理由の一つでもある。
「流さない」から、
挑戦が根づく。
――Q.最後に、佐藤さんにとって両備グループとは?
A.社員一人ひとりを「流さない」会社だなって思います。聞いたら、「じゃあ考えておくよ」で終わらない。現場の意見をちゃんと拾ってくれる会社だと思います。

地図に残すなら建物をつくればできる。だけど、私たちが目指すのは岡山県民が自慢できるような施設、人の感情を動かす「まちづくり」。両備グループというフィールドでならかなうと思っています。

profile

両備ホールディングス株式会社 まちづくりカンパニー
杜の街グレース事業部 マネージャー
佐藤さん
2016年入社。
不動産営業2年目に「杜の街グレース」プロジェクトのメンバー入り。以来、商業施設運営の最前線に。2026年に第二子の育児休暇を1カ月取得。