CMSOインタビュー

「見たこともない赤字」
から脱却する方法、
教えましょうか(笑)

大上 真司さん
  • 両備グループ CMSO Chief Mobility Service Officer:最高モビリティサービス責任者

コロナ禍で日本中の移動がストップした2020年、バスのトップになったばかりの大上さんは眠れぬ夜を過ごしていた。ステイホームでお客様がまったくといっていほどいなくなり、「このままだと、赤字は最悪100億」の報告が上がってきた。

大上さんは、自分の夢とか信念のことを「筋のいい仮説」という。そして、口ぐせは、「元気いっぱい動き回っていると、いろんな良いことが起きる」だというが、一体どんなことが 起きているのか聞いてみた。

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「筋のいい仮説」が、
日本を動かす

仕事を進めるうえで、大切にしている考え方は何ですか?

「筋のいい仮説」を持って日本中ウロウロしていると、「よし、応援してやろう!」という仲間が必ず現れるんです。で、頭のいい人と議論していると、仮説がブラッシュアップされて進化していく。仲間ができて、仮説が実現できる。明るく、楽しく、元気よく、日本中動き回っていると、なんかいいことだらけなんですよ!

「筋のいい仮説」から生まれたものを、具体的に教えてください。

大ヒットしたのが、貸切バスの受発注DXと高速バスの在庫接続です。「貸切バスの受発注を、一元デジタル化する」という仮説。もう一つは、「日本中の高速バスを全部ターミナルで束ねて、繋いで、日本中どこへでも行ける交通インフラにする」という仮説です。この2つが大ヒット! そこで東京に「MIRAHOOP(ミラフープ)」という会社をつくって、そこに事業を集約し、サービスをスタートさせたところです。

「MIRAHOOP」から全国スケールで実装。地方創生・観光立国につなげるべく稼働を開始した。人財不足には、バスも路面電車も運転できる乗務社員のマルチタスク化、いわゆる「二刀流」で解決するなど、大規模需要に応える体制を構築した。
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「見たこともない赤字」
からのV字回復

コロナ禍で公共交通のトップへと抜擢された大上さん。折しも、2020年のコロナ禍で公共交通事業は大赤字に転落。

当時の心境はいかがでしたか?

正直、「まじかよ」って感じですよね。シミュレーションの中で一番悪いシナリオは、交通部門の赤字100億円でした。両備の祖業、地域の足、これらの事業に携わる皆さんの雇用をどう守るか。「さあ、どうする?!」と1カ月間、夜も眠れないほど悩みに悩みました。

打開策はありましたか?

とにかくいろんな人とディスカッションして、出たのが「9つの階段」です。打ち手を9つの階段状に設計し、それを一つひとつ確実に実行できたら、間違いなくV字回復できる。そう確信したので、実行に移しました。

社内からの反応は?反発などありませんでしたか?

まず、保有しすぎているバスを適正な台数にする決断をしたんです。その時、「刀狩」だといわれました。バス会社からバスを取りあげるのは刀狩だと。揉めに揉めましたが、「必ずグループのためになる」と確信して断行したところ、結果めちゃくちゃよかったです。

有言実行で資産・収益を再設計する9つのステップを断行。結果、トランスポーテーション&トラベル部門の利益は約3億円から20億円超(2026年1月現在)へとV字回復を遂げた。自己利益の追求だけでなく、業界全体の向上につながればと、ノウハウを他社へ「丸パクリ歓迎」でオープンに共有もしている。

先輩方の世代は運輸交通業界、地域交通の再生を通じて貢献をされてこられた。一方、新しい仕組みや仕掛けで生産性を上げたり、総需要を増やす策を展開することで業界全体に貢献をしていくというのが私たちの世代の芸風かなと思ってやっています。先輩方から、私たちは『自分たちだけがよくなることを考えるのではなく、みんな(業界)がよくなることを考えて実行するのが両備グループである』という価値観を受け継いでいます。

 

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「両備だとなんでもできちゃう」
やりがいと面白さ

両備ならではの可能性について教えてください。

日本で初めて本格的な「MaaS(Mobility as a Service)」※を作れる存在感はあるんじゃないかと。空港からバス、タクシー、ハイヤー、路面電車、フェリーまで運輸・交通モードを全部持っているのは、瀬戸内では両備グループだけです。
それと、まちづくり、不動産デベロッパーとしての機能と交通の機能の組み合わせによっても、両備グループだったらいろいろなサービスが提供できちゃうんじゃないかって思いますね。
※複数の交通手段を一つのアプリで検索・予約・決済まで完結できる次世代の移動サービス

出発点は夢と信念。全国を回って議論・実地検証を重ね、業界全体を良くすることを使命に、今日もウロウロする大上さん。現在は、まちづくり×交通の相乗効果や都市活性化など、不動産と交通の組み合わせを視野に入れている。
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若手を育てるなら
「旅をさせろ」

若手に望むことは?そして、両備で働く魅力とは?

まず打席に立って、打率を上げること。「見逃し三振」は避けたい。僕は「かわいい子には旅をさせる」というのが人財育成の原理原則だと思っていて、全国の出張に若手を連れて行きます。いろんな仕事の経験をして、いろんな人に会う。そういう中で、力を増幅させていってほしいですね。
一緒に働きたいタイプには4つあって、「生徒会長、オーラのある人気者、体育会系、学者」。こういう人たちを組み合わせると、課題解決のための総合力が高まりそうでしょう?
両備グループの魅力は、岡山を拠点に日本・世界にインパクトを与える仕事ができること。最初のドアノックの段階で、皆さんが話を聞いてくださる。これは先輩方が築いてくださった両備グループのブランド力ですからありがたいですし、これからもそうであるように取り組みます。

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仕事人生を
捧げられる場所。

最後に。大上さんにとって両備とはどんな場所?

力いっぱいチャレンジできる場所。
残りのぼくの職業人生は、もうここに捧げられます(笑)。

両備グループ CMSO
(最高モビリティサービス責任者)

  • 大上 真司さん

新規事業を支援するビジネスプロデュース会社を経て、2018年入社。 バス、鉄軌道、タクシー、フェリー、物流、旅行などの運輸交通分野において、業界全体、事業全体を横断しながら、新たな挑戦を仕掛けている。