• クロストーク
  • 2022.08.29

私たちが、「両備グループ」で働く理由

  • チームだからできる
  • コロナ禍だから得られた気づき
  • 挑戦を後押する風土
私たちが、「両備グループ」で働く理由

自己紹介

藤田 舜也

両備ホールディングス株式会社

両備経営サポートカンパニー

藤田 舜也

山本 人暉

岡山交通株式会社

山本 人暉

八杉 彰久

両備ホールディングス株式会社

両備テクノモビリティーカンパニー

八杉 彰久

岡田 真記

両備ホールディングス株式会社

バスユニット統括カンパニー

岡田 真記

山本 梓沙

岡山両備タクシー株式会社

山本 梓沙

福品 和孝

岡山交通株式会社

福品 和孝

大谷 峰史

両備ホールディングス株式会社

両備テクノモビリティーカンパニー

大谷 峰史

平本 清志

両備ホールディングス株式会社

バスユニット統括カンパニー

平本 清志

テーマ:なぜ、私たちは両備グループで働くのか?

様々な事業を行なう両備グループでは、職種も仕事も違い、多様な働き方があります。それぞれの領域で活躍する若手社員が、自らの立場から自分のキャリアやお客様、地域の未来をどのように考えながら仕事をしているのか、語り合いました。

▼コロナ禍だから芽生えた強い想い
 地域の方に寄り添い、喜んでいただける付加価値を提供したい

―厳しいコロナ禍だったからこそ得られた気づき、変わったことはありますか?

福品:私はタクシーのドライバーの仕事をしていますが、その中で感じるタクシーの利点はDoor to Door。バスや電車が通っていないエリアで、お客様の移動を支えている仕事です。コロナ禍で通勤時間帯の移動に抵抗がある高齢者の方が増えたことにより、タクシーを利用していただくお客様も増えました。お客様の見えない不安に対し、タクシーのサービスがスムーズな移動だけでなく、不安の払しょくにも役立つ仕事だと感じることが増えました。バスも電車も、グループの中で事業を行なっているため、お客様にご利用いただきたい気持ちはあります。ただ一方で、お客様の気持ちやニーズにお応えすることが最も大切です。ニーズの異なるお客様お一人おひとりにお応えすることができるのは、様々な移動手段を事業として抱えている両備グループだからこそ、できることだと感じました。

お客様の不安を安心に変えたタクシーの存在は大きいと思います。
明るい話題もありましたね!岡山交通の山本さんが担当されている「黄ニラタクシー」はみなさんご存知ですか?

岡田:知っています! 黄色い制服を着た社員の方が運転をされているタクシーですよね!

大谷:黄ニラは岡山の特産物ですよね~。

藤田:私は岡山県の出身ではないので、実は黄ニラが岡山県の特産物だと知りませんでした・・・。岡山交通さんの黄ニラタクシーを見て、初めて岡山の特産物だと知りましたが、そのような方も多いのでは?と思います。黄ニラタクシーを担当されていて、お客様の反応はいかがですか?

山本:岡山県の方でも、ご存じない方が多いですね。私も詳しいわけではなかったので、黄ニラタクシーができあがった際に、黄ニラ農家の方に、栽培方法や調理方法といった黄ニラに関する知識を教えていただきました。お客様に「岡山の特産物」としての魅力を伝えるために必要な知識として学びました。お客様の中には「黄ニラタクシー」とはご存知なくご乗車いただくことも多く、ご乗車されると、内装に驚かれることや、喜んでいただくことがあります。「ご乗車いただく空間をお客様に楽しんでいただくこと」も、私たちドライバーとしてお客様に提供できる価値だと考えています。

―同じタクシーでは、お客様から「女性ドライバーの方に来てほしい」というオーダーもいただくと伺いました。

山本(梓):実際に、お客様から女性ドライバーをご要望いただくことはあります。多くの場合は同じ女性のお客様で、女性であることで安心できる方や、産婦人科など特定の場所に向かう際に伝えやすいというお声もいただくことがあります。同じ女性として、そのようなお声にはできる限り寄り添いたいなと思いますし、女性ドライバーだからできることとして、安心できる空間づくりを意識しています。また、タクシーを利用していただくお客様には、運転免許を自主返納されたご高齢の方がたくさんいらっしゃいます。その方々は、杖や歩行器を利用される方が多いため、バスや電車のようにステップがある乗り物では、乗降に時間がかかってしまう。だから、どうしても他のお客様をお待たせしてしまうことになる。お待たせしてしまうことが申し訳ないため、私たちタクシーのサービスをご利用いただくケースがあります。そのようなお客様のお話を伺うと、「わざわざタクシーをご利用いただいている意味」を想像します。例えば、ご自宅から病院までといった、お一人おひとりの移動を丁寧にお手伝いしようと考えます。このような瞬間に、地域のお客様に支えられていると考えると共に、少しはお役に立てているかなと、思えたりします。

全員:・・・素晴らしい!タクシー素晴らしい!! ちょっと感動しますね(笑)

山本(梓):ありがとうございます!(笑)

▼公共交通を通じて、人が動く街を創る。その起点にはバスがある

―同じ「公共交通」として、バスを担当されている平本さんにもお話を伺いたいです

平本:バスの中でも、私は路線バスという地域に一番近いところで仕事をさせていただいています。外から見ると、お客様が減少しているといったように「大変な事業」というネガティブなイメージがあると思いますが、一方で移動手段として必要とされている方が絶対いらっしゃるのが路線バスです。また、人が移動をする手段は、様々な選択肢があると思いますが、街中にバスが走っているか走ってないかで、街の活気は全然違うと思っています。そういう意味で、今私が携わっている路線バスの事業は、岡山をはじめ、地域の街の活気にとって必要だと感じながら仕事をしています。そして、バスを通じて人が動いてくれることで、街中も活性化し、明るくなっていくことを想像しながら向き合っています。そして、そのようにこの業界をみてくれる方が増えると良いなと考えながら取り組んでいます。

―高速バスはいかがでしょうか?

岡田:私は今、高速バスの部門で、路線を守っていくという視点と、お客様との接点を創出し、お客様の声を吸い上げていくという視点を大切にしています。高速バスはコロナで運休が相次ぎ、運行の有無が、お客様にとってはわかりづらい状況になっていました。そこで、新しいツールを活用し、お客様に運行状況をメールでお知らせする取り組みを始めました。最初は、お客様にとってのメリットがどの程度あるのかわかりませんでしたが、意外にも「お知らせしてくれてありがとう」というご連絡を、わざわざいただき、そのご連絡をきっかけにお客様と接点を持つことができるようになりました。小さなことですが、お客様の立場になって考え、サービス化まで挑戦してよかったと感じる事例です。

また、移動の手段としては、「車があれば十分」と考える方も多くいらっしゃいますが、先ほどのタクシーの話のように、車に乗れない方、運転できない方が多数いらっしゃることを実感しました。そのような方にとって大切な「移動の足」は、公共交通と言われるバスが大きな役割を担っています。その「移動の足」を守ることは、案外当たり前ではないということを学びました。街をみていると、当たり前のようにバスが走っていますが、私たちのような企画担当、営業所、そしてドライバーさんの存在がなければ、当然運行は成り立ちません。そのような当たり前の光景が当たり前ではないという事実は、正直入社をするまで実感できませんでした。今はその「当たり前を守る仕事」に携われているという実感を持ちながら、地域にお住まいの方にとって、なくてはならないものを守っていきたいという使命感で、仕事をしています。

藤田:日常の見え方が入社をされ、バスのお仕事に携わる中で大きく変わった事例ですね。

岡田:そうですね、とても変わったと思います。

▼両備の「ものづくり」は、1つのものをチームで造り上げる精鋭たちの集まり

―ものづくりを担う両備テクノモビリティーカンパニーの特徴をおしえてください。

八杉:両備テクノモビリティーカンパニーの大きな特徴の1つとして、「お客様のニーズに応じた商品を造る」というオーダーメイドを行なっていることです。そのため、お客様のご要望に応じた商品を製造し、引き渡した後、その商品を使用していただいている様子を見ることができると、とてもテンションが上がります!笑

というのも、私は前職で造船会社に勤めており、船の設計を行なっていました。仕事は楽しかったのですが、「1つのものを造り上げたい」という自分自身の想いに対して、船はとても大きく、どうしても「ものづくりの一部を担っている」という感覚がぬぐえませんでした。1つのものを造り上げる、完結させるという仕事にチャレンジしたいと考え、現在の両備テクノモビリティーカンパニーに転職をしました。

―実際に転職されて、1つのものを造り上げるという夢は、叶えられていますか?

八杉:そうですね。その点ではとても叶えられていると思います。私たちの仕事は、お客様と「どのようなものが欲しいのか?」と仕様を決めるところからスタートします。そこでの話し合いを経て、製造部門や開発部門と、どのようなものを造るか打ち合わせを行ない、実際に製造に入っていきます。その後、営業部門とどのように販売するかを話し合い、最終的に3つの部門が1つのチームになって、完成を目指していきます。

―たくさんの部門・人が関係する仕事のようですが、個人の裁量はどの程度あるのでしょうか?

八杉:新しいものを造る際は、チーム全体でアイディアを持ち寄って話し合いを行ないます。どうすればお客様に喜んでいただけるか、ということはとても重要なので、様々な視点で意見を出し合い、試行錯誤を繰り返しながら、形にしていきます。お客様にとって良いものを造るために、年齢や経験は関係ありませんので、そういう意味では、個人のアイディアや考えをしっかり発揮できる場だと考えています。

藤田:ものづくりの部門は、これからの両備グループを支える1つの大きな柱になるとも言われている中、新しい取り組みにもたくさんチャレンジをされているように見えます。一人ひとりの考えや意見を尊重するという風土が、会社の勢いを加速させているのかもしれませんね! 

▼立ち止まらず、挑戦する。その先に見たいもの、誰かのためになると信じるから。

―個人の尊重を実感したことや、挑戦を後押する風土を感じたことはありますか?

山本:タクシーはいろんな場所へお客様をご案内するサービスで、遠方に行くこともあります。私の場合、津山に行ったことがあるのですが、その運行だけで大きな収益になりました・・・(苦笑)。タクシーの仕事そのものが、頑張ったら頑張った分だけ「給料」という形で返ってきますので、良かったら、皆さんタクシーの仕事に・・・・(笑)

全員:そこに話が繋がるんですか!?(笑)

山本:冗談です(笑)。ですが、自分が頑張ったことが、分かりやすく、見える形で返ってくる仕事であるということは、事実です。実際、世の中に様々な仕事がありますが、自分の頑張りが形になって見えるものは、そう多くありません。また、業務時間内でどのように働くか、いつ休憩をとるのか、一日の時間の使い方も、実はドライバーの自由です。そういう意味で、ドライバーとして業務について責任をもちながら、個人としての裁量も持ち合わせている仕事だと考えています。

藤田:タクシーの仕事は、ドライバーとしてのルールを守りながら、個人にかなりの裁量を委ねられている印象ですね。

―やってみたい!を実際に形にした経験はありますか?

岡田:やってみたい!を形にする、裁量をもって挑戦した経験でいうと、私は両備バスのインスタグラムを立ち上げた経験が該当すると思っています。立ち上げた当初は、コロナ禍でバスが運行されておらず、バスの存在がお客様から遠くなってしまう、疎遠になりがちな時期でした。バスが運行しなくても、両備バスのことを思い出せるきっかけがないかな?と考えた際に、思いついたのがSNSでした。すぐにカンパニー長に相談し、インスタグラムを立ち上げたという経験があります。その際、自分の上司も提案を好意的に受け入れてくださいましたし、それこそ平本さんにも相談をさせていただくと、「ぜひ一緒にやろう!」とおっしゃって下さって、スタートできた背景があります。本当に上司に、挑戦を後押ししてもらったなと思っています。

平本:基本的に、お客様にとって良いことであれば、否定されるようなことはないという風土があります。逆に、そのような提案はどんどん欲しいと思っていますし、新陳代謝じゃないですが、やっていかなければならないというのが、今のバス事業だと思います。

―他にも、個人の観点が活かされて、形になった事例はありますか?

平本:同じ観点でいうと、今私が携わっている、公共交通にお客様に戻ってきていただくコンセプトで「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」が該当します。先程から裁量の話が出ていますが、いろんなことをやりたいなと思っても、路線バスの難しい所は、アイディアは面白そうだけど、様々なお客様が乗車されることを想定すると、サービス化が難しい、厳しいお客様がいらっしゃるよね、といったように、様々な角度から考える必要があるという特徴があります。自由な発想と、法規制、お客様の多様なニーズという中で、バランスを考え保ちながらやっていくことが、今行なっているプロジェクトの大きな意味だと考えています。

―アイディアはOKでも、一定のルールの中で取り組む難しさもある?

平本:仕事に対して面白い企画をやってみたい、こんなことをやってみたいと、誰しも思い描くと思いますが、社会にでると、その想いだけでは実現できないこともたくさんあります。ただ、それをどのようにすれば実現できるのか?ということを、社内の先輩や上司、ステークホルダーとよばれるような方々と調整を図りながら、サービスを追求してくことが、ある意味面白いことなのかなと考えながら仕事をしています。

藤田:企画やアイディアを実現するために、バランスや様々な関係性を考慮しながら進めていく。難しさがあるからこそ、やりがいを感じられるのかもしれないですね!

▼「思いやり」で仕事がつながり、人もつながる

―通常難しいと思うことも、両備だからできたこと、両備グループのシナジーによって成し遂げたことなどありますか?

大谷:2021年に、主にトレーラーを製造しているソレックスカンパニーと、大型の車両を中心に整備をしているテクノカンパニーという2つのカンパニーが一緒になり、両備テクノモビリティーカンパニーという新しいカンパニーができました。元々、トレーラーを作っていた製造や開発の社員と、テクノカンパニーで整備を担当していた社員といった、2つの分野・技術が違う職人たちが一緒になり、1つのカンパニーとなっています。「持っている技術が違う」それぞれのチームが、1つのものを造るという目的を達成するために集まった場合、それぞれの立場からものに対する考え方、ものの見方は、多種多様な物があり、その考えや着眼点が合わさって、全く新しい1つのものが完成してく、そのようなプロセスをこの目で見てきました。また、私が設計したものを、そのようなプロセスで進めてきた企画も何件かあります。

そのような経験をすると、両備のグループの中でいくつかの会社が集まって、私たちの仲間として、1つの大きな会社となって物を作っていったという事実でもあり、両備グループの今後の在り方としても、大きなシナジー効果を発揮したプロジェクトともいえると思っています。両備テクノモビリティーカンパニーは、両備グループの中でも唯一製造をしている、メーカーとしてものづくりを行なっているという特徴もあります。

また、大手のメーカーさんとは違って、1つの開発の技術者やスタッフのもつ責任や提案する企画がかなり大きくなっているので、こういう所で、自分の造りたいものや、やりたいことを提案しやすい社風や、上司に推薦しやすい環境が、新しいカンパニーになりより一層強くなりました。今は、そのフレッシュさを維持していこうとしています。

―聞くだけでもワクワクします!何か具体的な話ってありますか?

大谷:そうですね、シナジーを発揮した経験を1つお話ししますと、私が受けた特別注文のお客様に対しての提案案件です。元々、お客様からの要望に対して、私たちの技術ではどうしても実現できない部分があったのですが、整備側の技術を応用し、新しく会社で導入した機材を使用することを検討しました。

それらの手段を用いて私が設計を行ない、今回のトレーラーについては、仕様を満たすような形に仕上げることができました。この案件は、今までであれば、お断りをしなければならないような内容です。お断りすることなく、お客様のニーズにお応えすることができたのは、ものづくりの事業と、整備の事業のシナジーの成果だと考えています。もちろん、最後はお客様に無事納品をすることができました。

藤田:お客様の反応がきになりますね!

大谷:非常に喜んでいただきました。今まで、様々なメーカーから断られ続けた案件だったそうなので、その難しい案件を、私たちが対応できたという意味でも、私自身もとても嬉しかったです。

―まさにプロの仕事です。あきらめなかった背景には何があるのでしょうか?

大谷:お客様も、ずっとたらい回しにされてきたという状況でもあったようです。私たちとしては、そのようなお客様がいらっしゃれば助けて差し上げたいという想いもありますし、両備グループが掲げる理念でもある「忠恕=真心からの思いやり」の精神にものっとって、できれば受けたいという案件でした。そのため、今回無事にお受けし、納めることができ、とても安心しました。今後、後輩にもしっかり伝えていきたいなと思う、思い入れのある案件となりました。

難易度の高い案件ですが、全てを一人で担っているわけではないですよね?

大谷:今回、私は開発者としてプロジェクトにジョインしました。それ以外に、生産、購買、開発など、各部門の担当者が集まり、制作の可否、どのようなものを制作するかを話し合います。その話し合いのプロセスで、様々な部署の社員が集まり、1つのチームとして1つのものを生み出していきます。一人ではできないことを、それぞれの知識や技術を持ったメンバーが集まりアイディアを出し合い、1つのものを造っていくというプロセスは、両備ならではのスタイルではないかなと考えています。

藤田:まさにチームだからできるものづくりですね! 

―他にも、「チームだからできた」と感じる経験はありますか?

山本梓:チームだから・・・・と言えるか自信はないのですが、岡山の道路を走行していると、両備グループのバスやタクシーとすれ違うことが非常に多いです。また、岡山市の中心部は交通量も多く、例えば「右折ができない」という状況に陥ることも多々あります。そのような状況で両備グループのバスやタクシーと遭遇すると、必ず道を譲ってくれます。そして、走行後に「ありがとう」のサインを出すと、手を挙げて返してくれることが多々あります。たった一瞬のやり取りではありますが、「同じグループの仲間だから停まってくれたんだな」とか、「やっていることは少し違っても、仲間として仕事しているんだな」と実感したりしますね。

藤田:両備グループの経営理念である「忠恕=真心からの思いやり」を体現しているエピソードですね。さらにいうと、経営方針である、「社会正義」や「社員の幸せ」にも通じる行動だと感じます。

福品:両備グループのバス事業もタクシー事業も、そこで働く社員の多くは「岡山の公共交通を担っている」という意識や責任感で働かれている方が多いと思います。そういう意味では、当たり前のことを当たり前に行なっているだけなのかもしれませんが、実際にそのシーンに遭遇すると、「仲間に助けてもらった」というプラスの気持ちと、自分も誰かに返していこうという、よい循環が生まれるなと感じたことがあります。

▼遠くに行くなら、みんなで。たくさんの仲間がいるから、辿り着ける場所がある

―両備グループの中で、助け合い仕事を行なっていると感じられるシーンはありますか?

岡田:バスの整備は全てテクノモビリティーカンパニーさんにお願いしています!!他にも、日常で両備グループの社員と仕事で関わることはすごく多いなと感じています。バスの運行だけを取り上げても、企画を行なうチームがあり、営業所の存在があり、また、安全に運行するために欠かせない整備や点検をしてくださるテクノモビリティーカンパニーの方がいらっしゃいます。それだけ見ても、大きなチームで運行が成り立っています。また、私たちが働くオフィスを振り返ってみると、両備リソラさんがコピー機の点検やデスクの納品を行なってくださっています。日常の業務を行なうだけでも、両備グループの様々な会社の力を借りて仕事をしているなと感じることが多いです。

―両備グループには「ユニット」という考えもありますよね。

平本:先程のお話しは、バスの運行に関わる様々な業務、例えば整備、給油、備品管理等で関わる、両備グループ各社のお話だったと思いますが、バス事業1つとっても、両備グループには様々なバス会社があります。そのため、今バスの事業では「バスユニット」という組織体をつくっています。

私は両備ホールディングスの社員でバス事業に従事していますが、今は岡山電気軌道㈱さんと同じ事業所で仕事をしています。なぜかというと、岡山市内の交通は両備バス(両備バスカンパニーが運行するバス)と岡電バス(岡山電気軌道が運行するバス)で7割くらいお客様のシェアを抱えています。そのシェアをもつ会社同士が一緒に事業を行なっていくことで、地域の交通が変わっていくのではないかと思い、取り組んでいます。

―今までは、別々で運行をされていたのですね。

平本:実は、とても当たり前のような話でありながら、つい最近実現した話です。少しマニアックな話になりますが、岡山は両備グループを除いても、バス事業者が元々多いエリアであり、そのため競争も激しいです。そのような環境下にありながら、両備グループの中でも、「両備バスカンパニーと岡山電気軌道がそれぞれバス事業を行なっています」いう実態になっていました。同じグループであっても、別会社であれば、やはり各々の考え方で事業を行なってしまいます。その結果、同じエリアを両備バスと岡電バスが運行を行なっていても、両備バスは両備バスで時刻表を作成し、岡電バスは岡電バスで時刻表を作成します。せっかく同じエリアを走行しているにもかかわらず、2台のバスが同じ時間帯に連なって走っている。このような実態がありました。シンプルに見ると、「すごくもったいないよね」と感じるようなことが、実は長い期間行なわれていたんです。そのような実態を解消しようという取り組みが、2021年にようやく実現することができました。2社で調整を行ないながら時刻表を組むことで、均等な時間でバスが運行されるようになり、お客様にとっても便利で、事業者にとってもロスがない運行ができるようになりました。

―お客様目線を追求した結果、変わることができた事例ですね。変化がおこると社内の考え方や雰囲気も変わるのではないでしょうか?

平本:今は「バスユニット統括カンパニー」という組織が新しくでき、両備バスも岡電バスも机を並べて仕事をしています。そのような変化を経て、今は「2社で一緒にできることはやっていきましょう」という雰囲気ができあがっていると思っています。

「チームで仕事をする」この言葉の意味をどう捉えるのか、捉え方は様々あると思いますが、私たちは「業界の中でチームをつくり一緒に仕事をしていこう」。このような姿勢を築けているのではないかと考えています。

―このような変化の背景には、法改正もありますね。

平本:そうなんです。バス事業者同士が、ダイヤを調整することは当たり前のように感じるかもしれませんが、「独占禁止法」に抵触する恐れがあったためできませんでした。どんなに仲の良いバス事業者同士があったとしても、事業者同士が裏でダイヤを調整することは行なえないルールでした。でも、それは地域のためにならないんです。競争ばかりが起こってしまいます。そのため、競争よりも「協調」して地域のために路線を残していこうという法改正がなされました。そこから、両備グループの中でもその法律に沿って、共同経営という形をとることになったという背景があります。

―従来とサービスの在り方や、事業モデル、考え方の変化はあるのでしょうか?

平本:それでいうと、今私が携わっている「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」で取り組んでいる利用促進でしょうか。単純に「乗ってください」というアピールだけでは難しいと思っています。移動の便利さを比較すると、マイカーには勝てないんですね。Door to Doorは一番便利なもので、移動する人にとって有効な手段だと思います。でも、バスには移動だけではない価値があると思っていて、それは何かというと、「移動する時間を自由に使える」ということです。これは、バスだけではなく、タクシーも同じことが言えるかもしれません。バス停から乗車したお客様がバスを降りるまでの時間は、お客様ご自身がハンドルを握る必要がありません。その中で何ができるかということ、その時間の価値をお客様にPRを行ない、有効に時間を活用していただきたいと思っています。

―面白い取り組みですね!具体的な事例があれば伺いたいです。

平本:毎月行なっている企画発表がありますが、例えば4月であれば、バスの移動時間で勉強できませんか?という内容を企画しました。一日30分の通勤時間の場合、1か月であれば約20時間、半年であれば約120時間の時間が生まれます。その時間は、実は資格も取得できてしまうくらいのインパクトがあると思います。この企画は1つの例ですが、見方を変えると、「バスってこんな形で時間を使えるんだ!」とお客様に見直していただけるような価値を提供したいなと思っています。

藤田:「移動手段」だけではない、「新しい価値の提供」ということですね!

平本:そうですね。

★座談会一部終了★

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